存在意義 存在価値
教授「内木田くん。何も無いに越した事は無いが 備えは必要だ。タイムパラドックス次第だが 君が生き残っているパラレルワールドも 十分にあり得る筈だ。万が一の時は 躊躇なく 自分を撃つんだぞ」
「教授 ただ タイムパラドックスの影響を 見たいだけじゃないですかー?」
教授「はは」
司令官「教授 内木田 和やかだな? ここからは 職員さんの情報提供を受けて もう少し 対策を練りたい」
そう言うと 司令官は 立ち上がり 厨房に職員を 呼びに行った。
改めて 俺 司令官 教授 神尾 職員で座る。
司令官「まず あなたの素性と 知り得る情報を お願いします」
職員「私は 陸上自衛隊 特殊部隊『サイバー』の春山と申します。実は 司令室にいるオペレーター3名も『サイバー』の隊員です。まず 今まで 監視 報告していた事を 謝らせて下さい」そう言うと 職員は少し涙ぐんで
頭を下げる。そして 話を続ける。
職員「我々は いずれ このシステムを『サイバー』で 引き継ぐ事になる。と聞かされています。ですから 『失敗した場合の責任をとる上官』『いずれ破棄予定の射殺部隊の孤児』それら以外を 『サイバー』の隊員で固めています。そして 滞りなく 運用が『サイバー』に移行する事を目的としています」
司令官「はぁー。では 司令室のオペレーターにも 見張られていたと?」
職員「そうです。ですが この事は 知らなかった事として 秘密で お願いします」
司令官「わかってますよ」
職員「上は もっと早い段階で 何か失態をするだろうと予想してました。その時に 司令官の責任を追求 孤児達の破棄を行う つもりでした。ここまで 運用が上手くいくとは 予想外で。上は 失態を虎視眈々と狙ってました。今回の様な事態を 待っていたと思います」
司令官「ちなみに もし 失態した場合に 我々の扱いは?」
職員「司令官は 室長に降格処分。実質的な閉職です」
司令官「孤児達は?」
職員「申し上げにくいですが。。処分と聞かされてます」
司令官「つまりは?」
職員「殺処分かと。。」
俺は なんともいえない気分になる。最初から 上手く任務をこなそうが 失敗しようが 俺達3人は 殺される以外の選択肢が無い様にしか思えない。俺達の存在意義って? 俺達の存在価値って?
司令官「だからかもしれないな。私は不思議に思っていたんだよ。なぜ 未来の私が タイムアネステシアで 内木田を送って 赤岩を殺させたか? そんな事をすれば 問題になる事は明らかだ。上からの命令だったにしても。。
腑に落ちなかったんだが。。これは もしかしたら 未来の『私』からの メッセージなのかもしれないなぁ」
職員「おそらく 司令官が 官房長官に報告すれば システム譲渡 司令官の降格 孤児達の処分を 命令されると思います。もし 司令官が 抵抗なさった場合は 孤児達をライフル射殺事件の犯人として 実力行使に出るはずです」
教授「結局 政府は 子供達に この国の歪を背負わせて 責任取らせて殺す。同じ大人として 恥ずかしい限りだね。職員さん 実力行使って 具体的には?」
職員「おそらく『サイバー』による この建物の制圧かと」
教授「そっか。そっか。では 司令官 君は 出来るだけ 官房長官への報告を長引かせ 時間を稼ぐ事。職員さんは 可能な限り 武器 弾薬を集めて来て。そして 司令官が孤児達を説得中だとか 司令官と孤児1人だから 制圧に手間取る事は無いとか 上手く報告して 突入する隊員の数を少なく 突入時間を極力 先に引き伸ばす事」
司令官「はぁー。そうですね。その方向での準備が必要ですね。わかりました。そういった事なら 報告が20時まで 出来なかった事はラッキーでした」
職員「わかりました。出来るだけ その様に 頑張ってみます」
「教授 俺は?」
教授「とりあえず 今は 神尾の側にね。それか 神様にお祈りかな?」
「・・・」
教授「冗談はさておき 僕は 赤岩くんを連れて行くよ。責任を持ってね。司令官は すまないが オペレーター達に 休暇か何か出して この建物から出て行ってもらっといてね。僕は 内木田くんに 歪を背負わせてる大人として 準備して 21時頃 必ず ここに戻ってくるね」
そう言うと 教授は 食堂を出て行く。
「私も 出来るだけしてきます」職員も食堂を出て行く。
俺は ふと 時計を見ると 18時を過ぎていた。
「お腹すいたー」と 隣の神尾が 言った。




