ワールドモディファイ
『左手に リボルバーの短銃を持った 赤岩が 食堂に入ってくる。赤岩は ひどく動揺している様に見える。
突然 赤岩が こちらに向けて 発砲する。更に もう一発。隣の神尾が 倒れる。俺は 神尾に駆け寄る。
神尾は腹部から 出血している。俺は 何か 神尾に声を掛けている。神尾は動かない。
赤岩は 左側にある厨房に向かって 更に 2発 発砲する。食堂の職員が倒れる。俺は 机を蹴り倒すと 赤岩に向かって走る。赤岩が 俺に向かって 短銃の引き金を引く。右の脇腹を少し掠めたが 俺は そのまま 赤岩の左手の銃をはたき 右足を払って 倒し うつ伏せにし 無力化する為に 両手首を後ろ手に拘束しようとして 赤岩の右手の手首から 先が無い事に気付く 俺は赤岩に向かって 何か叫んでいる』
そんな 映像だけが 無声映画の様に 直接脳内に 流れ込んできた。
「うー。うー。痛いよー」神尾の声に 我に帰る。
俺は ショックで気を失っていたのか? それとも 白昼夢を見ていたのか?
「神尾 大丈夫か?」
「うん。何かね。何かね。お腹痛くて 死んじゃうかと思った」神尾が 無邪気に言う。
「・・・」
「神尾 俺がわかるか?」
「うん?」神尾は 首を傾げて 不思議そうに 俺を見る。
俺自身 心が折れそうなる。涙が出そうになる。
『なんで こんな事に』
ふと 視線を感じ 顔を上げると 食堂の職員と 目が合った。
「い 今のは?」食堂の職員が 驚いた様に言う。
どうやら ワールドモディファイの際 死傷された者達には 自分が受けた被害時の状況が 脳内に流れ込んでくる様だ。
まさか 自分が ワールドモディファイによる 事象修正を体験する事になるとは 夢にも思ってなかった。




