心の在処
私は これから 大脳システムが沈んでいるプールに入る。
これは このシステムの発案者たる 私の枷だ。
ウエットスーツに着替え 酸素ボンベを背負い プールに入る。
私の脳に 直接 思念波の様なものが入ってくる。
『俺は 死んだのでは?』『ここは 何処? 何もわからない』『助けて』
大脳システムに 初めは取り込まれているが 突然 心ないし自我?とでも言うべきものを 取り戻す個体が出てくる。個体をそのままにしておくと システム自体の支障となりかねない。
早急に 新しいものと交換する。
個体のシナプスを切断。新しい個体と入れ替え シナプス ニューロンの再構築を行う。
今回は 3個体 交換した。
「今まで ありがとう。ご苦労様。安らかにね」
こんな 人の身体の死 魂の利用で 成り立っている『人口減少阻止計画』
なんとも 愉快で 歪だ。
人口減少阻止を掲げながら その実 多くの人の死の上に成り立っている。
しかし 私は 自分の理論が証明され。 満足している。
よく 問われる議論だ。
『人の心は 何処にあるのか? 心臓? 脳? それとも心は そもそも身体なのか?』
プール内を 隅々まで チェックする。
一つ 憂いがあるとしたら この歪みを 3人の子供達に押し付けている事だ。
子供達にも 心がある。今は まだ純粋で無垢だから 気付いていないのかもしれない。いや 内木田は 聡明だから 気付いているだろうか? いつか この歪みに気付く事だろうか? 気付いた時に。。。
いや 深く考えるのは 止めよう。
なんだかんだと言っても 私も所詮『人口減少阻止計画』の歯車なのだから。




