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婚約者はアホだったみたいです

長編って苦手なんですが頑張って書きます。

自己満なので温かく見守って下さい。

 


「すまない婚約を解消してくれ」

「は?」


 そう言ってきたのは久しぶりに会う婚約者

 アラン・ブラケット伯爵令息。


「アラン、一体どうしたの?」

「突然すまないっ! けど君の為にもこうするしかないんだ!」



 どうやら仕事で忙しい私と会えない時に優しくしてくれた令嬢とつい魔が差してやってしまい更に妊娠が発覚。

 アランはその責任としてその令嬢と結婚する事になったそうだ。


 なので私との婚約を解消する事に……。



 極力笑顔で接していたが内容を聞いている内に顔が引き攣る。

 確かに仕事を優先していた私が悪いのかもしれないけどそれでも休みの日は婚約者のアランを優先していたのに、アランはそれではダメだったみたい。



「そう……分かったわ」







 ※






「まぁ! それで今日1日変だったのね」

「……私事で失礼いたしました」


 話を聞いて下さっているのはこの国の王妃、エカテリーナ様だ。

 可愛らしい顔立ち、柔らかな雰囲気とハニーブラウンの髪色がとても合っている。


 私はリリアン・バイデン侯爵令嬢。

 私が普段忙しく婚約者にも会うのが難しかったのは王妃付き侍女をしているからであった。


「わたくしはずっと付いてくれてるお陰でとても助かっているのだけれど、そのせいで貴方に迷惑を掛けてしまったのね」

「とんでも御座いません!!」


 シュンとするエカテリーナ様は可愛らしっ……んほん!

 これは私自身の問題でエカテリーナ様に非があることは絶対にない!


 それにエカテリーナ様は隣国から嫁いで来られたのでこの国の作法など分からない事もたくさんある。それをサポートするのが私の仕事なのだ。だから他の人に任せるなんて安心出来ない。



 そもそも婚約者がいる相手に近寄ってくる令嬢もどうかと思うし、普通そんな分かりやすい誘惑に引っかかるか!?ばかなの!?




「いいんです。元々幼なじみで恋愛感情は特になくて家族愛みたいな感じだったんです」



 アランと結婚する令嬢は赤ブラウンのふんわりとした髪型に守ってあげたくなる要素があった。


 それに比べて私はと言うと……。

 金髪に曲がり知らずのストレートの髪、目だって少しつり目で可愛いとは程遠い。



 アランとは昔から家族ぐるみでの友人で2人とも恋人がいなかったから両親からの案で婚約する事になったのだ。


 まぁ、今回のことで私の両親はかなり怒っていたし、ブラケット家はかなり気まずい様で頭を何度も下げに来て今回の慰謝料も用意してくれていた。


 けど私は慰謝料は受け取らないと決めていた。

 このお金を受け取る事で許したと思われたら嫌だし、無かったことにされるのは納得出来ない。



「それよりエカテリーナ様、紅茶のお代わりは如何ですか?」

「そうね、頂くわ」



 これで気にする事なくエカテリーナ様のお傍にいられるのは良かったと思っている。




 思っていたのに………。





 ヒソヒソ

「見てあの方よ」

「え! 王妃様付き侍女じゃない!」

「婚約者に好きな人が出来たからって怒って慰謝料も謝罪も受け取らずにいるみたいよ」

「でも自業自得じゃない?」

「確かに、婚約者を蔑ろにしてたのにね」




 なんでこんな噂が立っているのかな!?

 そもそも婚約者を蔑ろになんかしてないわよ!最低限の交流はしていたしアランの浮気が先なのに何故か私が悪者になっているんですけど!!


 どうやら私は、婚約者が他に好きな人が出来たのにそれに駄々をこね婚約破棄も最初は同意せず、慰謝料も謝罪も腹いせで受け取らなかった悪女らしい。


 逆にこれ考えた人に拍手送るわ!!


 だからか廊下を歩いていてもヒソヒソと噂されるし避けられるしでちょっとイライラしてきた。


 ダメダメと思い深呼吸してからノックをする。

「エカテリーナ様失礼します」



「お! 噂の悪女じゃないか!」

「ちょっ、エリオット様! リリィは今ナイーブなのよ!?」

「はは! エカテリーナ、私が選んだ侍女がナイーブになるわけないだろ」


 エカテリーナ様の部屋にいたのは国王陛下のエリオット様。

 私は陛下直々に声を掛けて頂き王妃様付き侍女になったのだ。


 ただこの陛下は人をおちょくるのが好きで良く私や陛下の側近の方が餌食になっている。


「陛下にご挨拶申し上げます」

「いい、いいそんな挨拶」


 そんな挨拶って……。


「で、どう? 注目される気分は?」

「陛下!」


 エカテリーナ様は私を気遣って怒って下さっていますが私はそこまでやわではないので。


「そうですね、想像力が豊かな方がたくさんいらっしゃるなと思いました」

「本音は?」

「羽虫がどれだけ騒ごうがただの虫。ただ鬱陶しいです」

「え?」

「それでこそリリアンだ」


 ニヤニヤとする陛下とポカンとするエカテリーナ様。



「な? エカテリーナ私の思った通りだろ。リリアンはそんな事で落ち込む様な令嬢じゃない」

「リリィ本当に無理してない?」

「お気遣いありがとうございます。私は大丈夫です」

「そう……それならいいけど。でもエリオット様は酷過ぎます!」

「そりゃあ、リリアンがこれで泣いてたら私だって考えたさ。でもこの飄々(ひょうひょう)とした顔を見たら……な」

「それでも乙女心をそんな風に弄るなんて」


 泣きそうになるエカテリーナ様に焦った姿を見せる陛下。


「エカテリーナ!?」

「わたくしもエリオット様がそんな事をしたら胸が苦しくなります」

「わ、私はそんな事はしない! 愛しているのはエカテリーナだけだ!」

「分かってます。勿論、信じていますけど」


 わたわたと自分が如何に誠実か説明している陛下に内心そんな事しているからだと思いつつ顔には出さない。



「大丈夫ですよ。エカテリーナ様」

「リリィ」

「陛下のエカテリーナ様への愛情は私共も感じております」

「リリアン」

「もし、陛下が不貞を行う事があれば復讐はこのリリアンにお任せ下さい」

「……リリアン」


 私の事を思ってのことですが、この後陛下からグチグチ言われるのもめんど……エカテリーナ様には笑顔でいて欲しいですしね。





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