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千里眼、失いました。  作者: 巫闇
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師匠、話してください!後編

トラブルがあって非常に焦りました。

置き換えにも成功したので、どうぞ…泣

さてさて、聞こうと言っても、夜にならないと何も始まらない。まだ朝である。今日一日を乗り越えなければならない。

「おい、なにぼーっとしてる?ほら、あの山は見えんのか?」

私は、お手伝いかなにかかな?

指さされた洗濯の山を見る。

私は言いたい。

すっと椅子から立ち上がって、寝室に向かう背中に、

「師匠、貴様さまこそ、なに寝ようとしてるんですか?手伝おうとか思わないんですか?」

「…私は…いいんだ…おやすみ。」

あ、これも洗えと、パジャマを脱ぎ私に投げつけ、パンツ一丁で部屋に入っていった。


何が、私はいいんだ、だ。

理由にもなっとらん。というか、朝からあのスタイルは、まことにけしからん。

そんなことを思いながら、山と呼ばれた…皿と洗濯物を包んで、川に行く。

……御伽噺のおばあさんもこんな気持ちなのだろうか。

いや、じいさんは竹を切りに山に行っていたではないか。蟻とアブラムシの関係…実に羨ましい。


私たちはなんだって?イモムシと寄生蜂だよ!

あーあー、やってらんない!


投げ出してしまえばいいものの、昔からの習慣とは恐ろしいもので、体が勝手に動いている。


しばらく歩いて、水の渦ができた場所に着いた。

誰が設置したのかわからないが、よく考えて作られていると思う。相当頑張ったのだろう。


そして私は、自分は疲れることもなく、何食わぬ顔でその恩恵を受ける。別段迷惑はかけていない。

素晴らしい片利共生。

いや、これを作った人はきっと、やりたかったからやったに違いない!つまりは理想的な共生である!


先に入れておいた自分の洗濯物を引き上げて、

笑顔で師匠の洗濯物をぶち込んでいく。その時、

「はっ、まだ教育が足りんか?」


…空耳かな?そうだよな…えっ、でも…いやいや、ありえない。寝てる人が起きるはずがないもの。

「あぁ、素晴らしき、共生!そして、片利共生だと思うと、罪悪感のない優越感っ…いや…ちょっと違うか…んー。」

次の瞬間、私は水面とあついKISSをかわし、そして異世界が見えた。


「まだ寝ぼけているのか?人を死人呼ばわりしよって。普通に寝てるんだから、起きるだろうが。」


元の世界…つまりは水面に顔を出すことに成功し、安心したところに、師匠の顔がうつる。


「あ、んー…暴力反対?反対!」

「何が暴力だ。愛だ。愛。」

ほら上がってこんか、と引き上げられ地べたに座らされる。

「師匠、それが家庭内暴力と呼ぶのです。」

「おまえはそこまでしないとわからない。」

「あ、んーいや?」

…んーって詰まったのは、意味はないです。

「まあいい。今日は一日帰ってこんからな」

え?

「え?」

「お?寂しいのか?一緒に寝れないんだもんな?そうかそうか…でもな、もうお前は大人になったほうがいい。」

神妙なおもむきで言われる。

うちにはベッドがひとつしかないだろうが、このやろう?

「一ミリも思ってないです。」

「じゃあ、なんでいて欲しいんだ?」

あ、あ、今?今なの?言うの?

「えっ、いや。その…」

師匠はため息をつく。

「まぁ、大体分かっている。が、次帰ったら教えてやろう。千里眼についてな?」


あ、あっさり…朝に言えばよかったんじゃん。なんで夜聞こうと思ったんだよ。朝は言ってはいけない気がする?アホか。誰がそんなこと言ったんだ!


「あ、今、ありがとうっておもったろ?」

ドヤ顔が気に食わない。

「ありがとうとか思ってないですけど、てか、どこ行くんです?」

「ん?あー、町に行こうと思って。千里眼云々の…」

「えっ!教科書ですか?!」

あなたは女神です!お師匠様!一生ついていきます!

「絵本だ。じゃあ、行ってくる。」


師匠は、固まった私を置いて行ってしまった。


えほん?絵本?あっ、【えほん】という教科書かな?

師匠が私を馬鹿にしてるなんて…ないよな、ここまで来て…

師匠の今まで私を馬鹿にしてきた数々の忌々しい記憶が走馬灯のように流れて、


全身の力が抜け、地面に横たわる。

「師匠っ!ししょうの、ばかー!!!」

誰がついていくか!離れていってやる!


ちょっとした突風が、頬をしばく。

風よ、私の声を師匠に届けておくれ。


しばらく横たわったままだった。



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