第五十三話 そして未来へ
「皆さんは今日から二年生です。そろそろ大人の仲間入りが近づいてきました。これまでよりも気を引き締めて生活していきましょうね」
「はーい」
あれから3ヶ月、俺達は魔法特選科二年生になった。
一時間目が終わり、皆と会話する。
「二年生か~。あんまし実感ないわね」
「学生時代は後二年だけよ?」
「ん~、もっと学生でいたい~」
「俺は後二年も、かな。学生は一年間だけだけど非常に濃いものを体験させてもらってるし。とてもゆっくりとそれでいて楽しい時間を」
そうだな、ここへ来て一年色々あった。
暴れてばかりだった気もするが。
「レイは将来の仕事、もう決めた?」
「まだだね」
「出来ればお金を稼げる仕事が良いと思う。今なら獣人族との商売なんかが凄く稼げるみたいだぞ~」
「新しく開拓された仕事だよな。そーいうのもおもしろいな」
「ギルドも儲かるよ」
「男は稼いで奥さん、子供を食べさせていかないとね」
「そうだな」
(特に貴方は大変になるでしょうから)
休憩時間の終わりを告げる音楽が聞こえる。ほどなくして先生が教室へ来て授業を始める。
今日の授業が終わり、帰って訓練。皆と別れてボーマン邸で食事、就寝。
週末になり、今日は朝からギルドへ。
「ハッハッハ、もう慣れたもんだな、レイ」
奥から出てきたボーマンに話しかけられた。
「ギルドの仕事は俺にあっているかもしれませんね」
「そうかもしれんな」
(イリス、早くレイを落としてくれよ! 体を使ってでも!)
(父さん、だからそういうもんじゃないでしょ……)
「今日は朝から雨だから無理はすんなよ。じゃあな」
「はい」
依頼を受け片付けるを繰り返しお昼になる。昼食後また依頼。
「依頼終了ー、今日はここまでね」
「後は訓練場でもいきましょ」
「ああ、それと、今日はお父さん帰ってこないらしいからどこかで食べてこ?」
「そうしようか」
訓練場に着くとフロイア、ルーナが居た。
「今日は一日中中途半端な天気だったね。霧も出てるし」
街中に霧が立ち込めている。
フム、例の場所へ行ってみようかな。
「四人共、この前うろついていたら景色がとても良いところを見つけたんだ。夕飯までもう少し時間があるし行ってみる?」
「お、いーねー! レイもようやくわかってきたか」
「お姉ちゃんがそれを言うか」
「いきましょう」
「いくいくー!」
魔王城が建っている場所から少し距離が離れている場所、小高い崖の上にたどり着いた。
「ここからの眺めが絶景なんだ」
ルーナと一緒に見たときと同じ、非常に幻想的な景色が広がっている。
「わー、キレイ」
皆言葉を失ない、食い入るように城を見ている。
(魔王だった頃の功績の一つだな)
昔を思い出す。そして転生してから今日までのことが頭の中に流れだした。
ふとこれからのことを考えてみた。わからない、わからないから不安? いやいや、わからないから面白い。
「恐怖の魔王の頃とは全く違うな」
ぽろりと言葉を漏らしてしまう。慌てて彼女たちをちらりと見る、よかった、城の景色に夢中で誰も気づかなかったようだ。
(フフ、レイったら迂闊なところがあるよね、イリス)
(ん、何のこと?)
(あ、多分お姉ちゃんだけ気づいてないと思います)
(そうなのね……)
(?)
魔族は千年生きる、まだまだ先は長い。
これから楽しい一生を送れたら良いな。




