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魔王にさらわれた聖女の君は、僕の言葉で堕とされ『花嫁』となる【短編/なろうR15版】

作者: 天沼来未

 魔王にさらわれた聖女が、大切に扱われます。


【!】『対話体小説』の読みにくさを軽減させる為、独自の「改行ルール」、「句点(くてん)ルール」を使っています。

【!】対話体小説(Wikipedia)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E4%BD%93%E5%B0%8F%E8%AA%AC

(※SSではありません)


「……は、はなして」


「ふふ。聖女さまに抱きしめてもらえて、とても心地よかったよ。

 どうしたんだ。

 君から、僕の方に近づいてきて、抱きしめてくれたじゃないか。うら悲しげな表情で、目を潤ませないでくれ。もう一度、こっちにおいで、アリス。僕だけの聖女さま」


「いや……私は、エリオットとは……っ」


「ほら、もう僕の腕の中だ。()する僕に抱かれたいと、再び、アリスの方から手を伸ばして近づいてきてくれたじゃないか。

 ははっ。

 無駄だよ。

 君は、もう、この魔王エリオット・ジールゲンの物。(めい)じられるまま、その()を捧げるしかないんだ。諦めて、この手に頬をなでられる事に、喜びをおぼえるといい」


「そんなに強く抱きしめないで……やめて……私は、魔王を倒すの……」


「うんうん。

 聖女さま、君以外のもの、瞳に映したくない。この魔王エリオット・ジールゲンに、そう思わせているんだ。アリスは聖女として、十分な働きをしたと思うがね。

 王の()で二人きり。

 (いと)しい君と過ごしたいが故に、僕は、人間どもの街を襲いに行く事ができないよ。ああ。強く抱きしめられて、楽しそうだね。僕の手に、髪をゆっくりとなでられたら、アリスは、どのような反応をするのだろうか――」


「も、もうやめて……私の髪をさわらないで……」


「驚いて、息が荒くなってしまったのかい?

 その漆黒のドレスは、僕が与えたもの。ふふ。僕が与えた()(まと)う君が、告げられる事もなく、髪をなでられるなんて、至極当然なんだ。(ろん)()たない。肩が露わになるよう、意匠を凝らしたそのドレスだけでは、寒くないか?

 抱きしめてやろう。

 アリスは、この城の(あるじ)にして、魔族の王である僕に(いだ)かれる。君は、もう、聖女ではない。烏夜色(うやいろ)のマントを(まと)う、魔王エリオット・ジールゲンに(きょう)された(にえ)にすぎない」


「いや……私は、世界のみんなの為に、魔王を倒す力を持つ者……魔王の物にされるぐらいなら……生贄(いけにえ)であると言うのなら、いのち……を……ひっ!」


「おやおや。

 僕の尻尾(しっぽ)が、頬にふれただけじゃないか。どうしたんだ。驚きの声をあげたりして。あははっ。ゆっくりと、しかしながら幾度(いくど)となく、僕の尻尾(しっぽ)でなでてやる」


「あ、やめて……エリオット……顔を近づけてこないで……頬や髪をなでないで……!」


「可愛らしい(さま)、満足がいくほど見せてもらったので、褒美だ。

 ふふ。

 僕の方から、顔を近づけてやったんだ。ほら、魔王である僕に、感謝の念に()えぬと伝える為、アリスの方から、強く抱きしめてきてくれないか。君は、僕のそばにいる事で、聖なる力を奪われ、すでに魔の者に近い存在。(めい)に従え」


「か、身体が……お、おねがい……と、止まって、私のからだ……くっ」


「実に情熱的な(さま)で、僕を抱きしめてくれたが、本意無(ほいな)いのか。

 あはははっ。

 表情を(ゆが)め、歯を食いしばっている。

 アリス。

 先ほど、(みずか)ら認めたじゃないか。

 生贄(いけにえ)であると。

 そう、君は、人間どもを恐怖で支配する魔王エリオット・ジールゲンに捧げられた供物(くもつ)も同然。()の自由だけを奪われ、心はそのまま。想いを絶えず引き裂かれながら、これからもずっと、(むご)たらしい扱いを受ける。

 魔王の(うたげ)の主菜として、(たく)に飾られるのは、アリス、君だ。さあ、もう一度、尻尾(しっぽ)で頬をなでてやろう」


「は、はなして!」


「あははははっ。君の身体は、どこにも逃げ出せない。

 くくっ。

 魔族の頂点に君臨する者だけが()する事を許されるこの場所で、魔王の僕を楽しませる存在として、一緒にいるんだ。

 聖女さま、もっと強く(いだ)かせてくれ。

 うんうん。君が、この僕を喜ばせ続ければ、人間どもを護れるのではないか。街を滅ぼしに行くなど、できる訳がない。(いと)しい君の可愛らしい姿を、ずっと、眺めていたいじゃないか」


「やめて……エリオット。あの時、優しくしてくれたのは、私を(だま)す為だったの……こうやって、私から聖女の力を奪って、魔王が(めっ)され、世界に平和が戻る未来に辿(たど)り着かせない……そうする為に、私を(だま)したの!」


「おやおや。さすがは、聖女さま。気丈(きじょう)に振る舞ってくれるものだ。生贄(いけにえ)の祭壇に、鎖で繋がれているにも等しいというのに」


「も、もう……やめて……命で償わせて……魔王だと気づかずに(だま)されてしまった事……命で……」


「君の身体は、今や、僕の操り人形も同然だが、涙を頬に伝わせた、その切ない顔を見ていたら、もっと抱きしめてやりたくなった。

 不安の中に、悔しさをまぜる(さま)を見せる君も、可愛らしく思うよ。だが、僕の腕の中で抗拒不能(こうきょふのう)のまま、抱きしめられるというのは、どうかな? きっと、心が(おど)るような想いが残るのではないか。そう、追憶(ついおく)できる。

 あははっはっ。

 アリスのお望み通り、本当に(にえ)になれるんだ。魔王の玉座(ぎょくざ)の前で、抱きしめられ、我が()がこれからどう扱われるのか……ただ待つだけとなる! 君の身体の自由を奪っている『魔の力』から解放してやる。王の()から逃げ出せたら、人間どもの街に帰す事を約束しよう。さあ、僕が手を離したら、ゲーム開始だ」


「え……あっ!

 はあ……はあ!

 えっ!」


「ふふふ。

 駄目じゃないか、もっと素早く動かないと。

 出口の前には、僕がいる。先ほどまで、希望の扉に見えていたのかな? だが、これ以上、扉に近づくというのは、この魔王エリオット・ジールゲンの胸の中に飛び込んでくるという事だ。

 最後のチャンスをやろう。

 僕に身体をつかまれなかったら、自由を与えてやる」


「エ、エリオット……ああっ……」


「ああ、残念。

 アリスは、また、僕に(いだ)かれる存在に戻ったようだ。必死に身体を揺らそうとして、僕の腕の中で、無意味な抵抗を続ける君の事、(いと)おしく感じるよ。そうだ。(きょう)として面白そうな事を思いついた。『魔の力』から解放したまま、抱きしめてやろう。(おのれ)の存在を失いたくないと、最後の足掻(あが)きを見せる(にえ)として、君は、魔王の腕に抱きしめられる」


「……いいの?

 『聖なる力』を使うわよ……私の命と引き換えに、魔王エリオット・ジールゲンを倒す」


「へえ、聖女さま。そういった最後の足掻(あが)きを見せてくれるのか。やってみたまえ。力を使う事、邪魔するような野暮(やぼ)な真似はしないさ。

 さあ、アリス」


「お願い……あの日、私に、本当の優しさをくれたエリオットも、あなたの一部だと言うのなら、二人で一緒に滅びましょう――オスブ・イツパー・カ」


「――本当に、残念だったな。

 しかし、これで理解しただろ。君は、僕の滅びなど望んでいないんだ。抱きしめられるたび、僕と共にありたくなり、(おの)が『聖なる力』を討滅(とうめつ)させたのは、君だ。アリス」


「わ、私! 私っ!」


「おいで。ふふ。生贄(いけにえ)となる者には、絶望の面持(おもも)ちこそが調(ちょう)。その表情、僕に抱きしめられる事によって、さらに引き立てられるのではないかな。一段と美しい(さま)、見せてもらおう」


「い、いや……もう、これ以上、(みじ)めな(さま)(さら)したくない。抱きしめないで……お願い、やめて」


「駄目だ。

 分からないのか?

 供物(くもつ)が、(おの)が扱いを選べる道理はない。ほら、身体をもっとよじって、しっかりとあがいてくれ。(あらが)ってくれなくては、この(きょう)の意味がないだろ。逆らった挙句、敗北し、魔王の腕に抱きしめられるんだ。

 すべてが無意味だった。

 僕の腕の中から逃げようとしても、()(わず)かに前に引っ張られるだけ。逃げ出す事かなわなくなったと実感してほしい。

 ――ああ。魔王の腕に、しっかりと抱かれてしまったようだ。もう、どこにも行けなくなったのではないかな、僕の聖女さま」


「……ううっ。世界のみんなの為に……お願い。『聖なる力』をもう一度……おねがい」


「もはや、仕留(しと)められるのを待つだけ。それなのに、人間どもを護りたいなどと。

 あははっははっ。

 やはり、そんな君を、我が花嫁に迎えたくなった。(うつつ)如何(いか)なるものにも護ってもらえぬ君を、妻として(いつく)しみたい。これからも()でる事を約束しよう。だが、今からは、石床の冷たさに心を凍らせてもらおう」


「ああ……や、やめて。

 エリオット……抱きついてこないで!」


「だめだ。聖女さまの香りを(じか)に感じながら、深い味わいを得たいじゃないか。もうしばらくの間、抱きしめていてやろう」


「も、もうやめて……エ……リオット……わたしのこころ……これ以上、奪わないで……」


「アリス。

 ()らされて、苛立(いらだ)ってきているのか?

 可哀そうに。

 では、そろそろ、慈悲を与えてやろう。烏夜(うや)――闇夜烏(やみよからす)と人間どもにたとえられる黒衣(こくい)(まと)う僕に愛されているのは、この世で君だけだ。

 君が、魔族の身体を得られるよう、『魔の力』を注いでやる。狩られる(がわ)の獲物として、(くっ)した事を、身体の動きを使って表現してくれ」


「……ああ!」


「あははっ。

 抵抗しようとしたが、かなわなかったようだ。しっかりと、僕に抱きしめられている! 一切の抵抗を認められていないんだっ」


「……や、やめて……ま、魔族になりたくない……魔族の身体に……っ!」


「我が運命の花嫁アリス。さあ、永遠(とわ)に共に生きる為、僕を受け入れて魔の者となるんだ。魔王に強く抱きしめられ、君は、『魔の力』を受け取り――」


「……あああ!」


「アリス。

 もう少し、『魔の力』を注いでやる必要があるみたいだな。魔族の身体に徐々に変えられていく事、苦しくはないだろうが、ふふ、抵抗している間は、もがくように身体を動かしてしまう。身体を激しく揺らす(さま)、しばらく楽しませてもらおう。

 僕の聖女さま。

 君は、最高の(にえ)であり、理想の花嫁だ。(あと)で、ソファに座って髪をなで、可愛がってやろう。君が望むと言うなら、人間に化けていた頃の僕で接してあげるよ。優しさで、(つつ)み込むように」


 エッセイを書いた後に、実際にR18警告を受けた作品をいくつか見せていただきましたが、たとえば『ヒロインを鎖で縛ります』とあらすじに書き、『作品の売り』とし、『それがメイン展開である(他の要素が薄い)』と警告される場合があるようです(R18商品の実売がメジャーなシチュエーションだと警告されやすい)。


 警告による削除の日が来るのは……その作品を知ってしまった一読者としては寂しいなと思いました。作品はどこかへ移転したりできますが、感想欄などは失われますし、読者たちが続きをワクワクしながらブクマした時の想いも、同時に削除されますから――。


(コノ抱きつきONLYでダメだったら……いちゃラブ書いた場合、キスなしでもR18指定しますわ……)


【※】

 アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/)投稿作品【魔王にさらわれた聖女の君は、僕の言葉で堕とされ『花嫁』となる】同一作者によるレーティングdownです。


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