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ミミッ子ちゃんの鍵穴が股間にあるって本当かい?

 ミミッ子は恐るべき追跡能力を誇り、俺が逃げても行く先々に“回り込んで”は、俺を悩ませつづけた。


 死ねば王都の下町にある教会前で「あ! ロジャーさんじゃありませんか? いやー偶然ですねこうしてお会いできるだなんて。きっとわたしとロジャーさんって、運命の赤い糸で小指と小指がチュッチュしちゃってるんですよ」と、おかしなことをのたまうのである。


 蘇生後、所持金(へそくり除く)を全額没収された俺に「まあ気を落とさないでくださいってば! 一杯おごりますから!」と、もはや保護者かなにかのような慈愛でミミッ子は俺を保護するのだった。


 死にたい。


 こんなやつに世話を焼かれるなんて盗賊王の名折れだ。


 死なずとも彼女は俺についてきた。


 日も暮れて宿屋で一泊する際には――


「一番安いお部屋か馬小屋に二人で一泊お願いしま~す!」


 と、ミミッ子は勝手に部屋を決めてしまった。


 かろうじて屋根だけはある馬小屋で、藁をベッドにした夜の事だ。


「……ZZZzzz」


 無邪気に俺を追いかけ続けて疲れたのか、身体を投げ出すように藁の山で寝息を立てるミミッ子に溜息すら出ない。


 身体を横にして藁束を抱きしめながらヨダレをたらす銀髪の美少女は、スカートの下から白い太ももを出しながら無防備だ。


 馬小屋の小窓から射し込む月明かりで神秘的かつ……少々いやらしいというかエロい感じになっていた。


 俺とて男児である。いかに相手が擬態しているといっても、艶めかしい太ももをつい……そっと撫でてしまった。


「ん……あん……もう……食べられませんよぉ」


 寝言が食いしん坊なアレである。しかし……なんとすべすべな白い肌だろう。


 まるで絹の反物でも撫でているようだ。このままずっと内ももをすべすべさらさらし続けたい。


 無防備な下半身につい思う。


 人間に擬態したミミックの鍵穴はいったいどうなっているのだろう。


 やろうと思えばミミッ子のパンツをちょっぴり下ろして確認できてしまう。


 いや、それは人としていかがなものか。


 人間の尊厳を失いかねない。


 とはいえ、知的好奇心というものは人間だからこその感情だ。


 魔が差した。


 だいたい脱がしてもいないのにスカートからお尻を丸出しにして眠っているのはミミッ子の自己責任である。


 彼女の白いパンツが月明かりに照らされていた。


「いやいやいやまずいってさすがに」


 と、自分に言い聞かせてはみたのだが俺の手は少女のパンツの両サイドをつまんでいた。


 無論、穿いたまま股を覆う布の部分をちょっとズラぜ鍵穴を確認もできるだろう。


 だが、それはそれでとてつもなく変態的に思えてしまったのである。


 確認するなら全部まるっとべろんと脱がせてしまう方が、いっそ清々しいのではなかろうか。


 男らしいってこういうことさ。


 もし、薄布一枚挟んだ向こう側に鍵穴ではない穴があったなら……。


 脳が痺れて心臓が早鐘を打つ。


 息が荒くなったが、ゆっくり深呼吸すると……藁の匂いに混じって少女の甘酸っぱいような匂いに頭がくらくらした。


 これがミミックの技の一つ――甘い息か。


 普通なら甘美な吐息に眠りを誘発してしまうのだが、俺の興奮はさらなる上り坂を駆け上がっていった。


 俺は冷静だ。興奮なんてしていない。あくまで事実関係の確認をするために、ミミッ子の鍵穴について視認しなければならないのだ。


 彼女のパンツを両手で掴んで刷り下ろそうとしたその瞬間――


「むにゃむにゃ……ロジャーさんといっしょで楽しいです。とっても嬉しいです。これからもいっしょにいてくださいね……むにゃむにゃ」


 俺はミミッ子に背を向けて藁の上に寝転んだ。


 魔物のくせにピュアな奴め。すっかりよこしまな気持ちが吹き飛んでしまった。




 翌朝――


 二束三文の宿代を払って、今度こそ無一文になってしまった。


 馬小屋で眠そうな目をこすってミミッ子が俺に微笑みかける。


「おはようございますロジャーさん。とってもいい朝ですね」


「おはようミミック」


「ミミッ子って呼んでくださいよぉ」


 涙目で訴えるな。俺が悪い事をしたみたいじゃないか。


「おはようミミッ子」


「わああ! 嬉しい! ミミッ子って呼んでくれて、わたしは世界一幸せな箱ですね!」


 呼び方一つでこの嬉しがりようだ。


 こいつ……本当に悪い奴じゃないのかもしれない。問題は俺が逃げても死んでも見つけてくるストーカーっぷりも、ある意味懐かれてしまったといえなくもない。


 仲間は不要なのだが、ぶっちゃけミミッ子の方が俺よりも強い公算は高いわけだし、最悪の場合、ピンチに陥って見捨てられるのはむしろ俺の方だ。


 おまけに無限アイテムボックスなのだから、今まで挑戦できなかったダンジョンも、彼女の力があれば踏破できる……かもしれない。


 さらにおっぱいは大きいし、美少女だし、ちょっと舌が普通の女の子より長いような気がしなくもないし、隙あらば俺をペロペロしようとしてくるのは玉に瑕だが……。


「なあミミッ子……無限の地下迷宮って知ってるか?」


「なんですそれ?」


 俺の質問に少女は無邪気に微笑みながら首を傾げるのだった。

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