表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

4.彼女は主人公(ヒロイン&ヒーロー)

現代パート2話目です。


彼女の家は地元で曾祖父の代からの医者の家系で、今ではそこそこ大きい総合病院を経営している。

年が離れたお兄さんが二人いるらしいのだが、その二人も医者でその病院に勤めているらしい。

そう言えば小学校5年の時に腕を骨折した時の整形外科の若い先生も柴原って言ったっけ?

あれがお兄さんだったのか。もっと愛想よくしておけばよかった。

そうお金持ちのお嬢様。

なのに彼女は私立ではなく僕が通う普通の公立の中学に通っている。

聞いた話では小学校は有名な私立の小学校に通っていたらしいのだが中学校は彼女の強い意向で公立に進む事にしたそうだ。

偶々校区が一緒だったので僕と同じ中学校になったのだ。

え?何でこんなに詳しいかって?ストーカーだろ?

ち、違う!

こんなに彼女の家の事情に詳しいのは僕がストーカーをして調べた訳では断じて無い!。

一応彼女以外にも可愛い女の子達の情報は中学校内の男子ネットワークによる情報共有で知れ渡っているんだよ。

有志達が集計したデータによる独自ランキングも逐次更新されている。

そのランキングによる彼女の評価は絶対1位のレア度SSR。

容姿端麗文武両道でお金持ち弱気を助け強気を挫く男子の中では天使だの聖女だのと言って崇めている人も居るくらいだ。

流石に一部の狂信者による過大評価な部分も有ると思うのだけどそこを引いても彼女が男子たちのあこがれの的である事は変わりないし僕もそう思う。

そう彼女は少年漫画ではヒロイン、少女漫画ではヒーロー、所謂主人公だ。

モブを自覚している僕では到底手が出ない高値の花。

でも主人公を目指すと誓ったんだ。

出来るだけ足掻いて少しでも近づいてやる!



それから1ヶ月毎日死ぬ気で勉強を頑張った。

ゲームや漫画もはるか昔にゲームの名人が言ったとされる「ゲームは一日一時間」の言葉に従い極力控えて。

いや息抜きは必要だから…。

授業中もまじめに先生の話を聞きノートを取り、分からなければ休み時間や放課後に先生に聞きに行くと言う日々を送った。

おそらく小学校から中学2年までの8年間に行った自主学習時間の合計と同じ位じゃないかと思えるくらい勉強に打ち込んだと思う。

ただ如何せん今までが怠けていたので実力テストの結果にはそこまで結びついてはいなかったのでしばしば過去の自分に怒りの愚痴をよくこぼしている。


前に話した地域一の有名進学塾に柴原蛍通っているのを知り、親に頼み込み入塾を果たした。

だ、断じてストーカーでは無い!とは言いきれないなぁ。

今まで気にはなっていたけどそこまで入れ込んでこなかったのに最近の自分の行動に自分で驚いたりしている。

塾は成績によってクラス分けされているので成績優秀な彼女は最上位クラス、平凡な僕は今の所最下位クラスとなって、開始と終了時間もずれているので顔を合わす機会はなかなか無かったのが残念だ。

クラスのアップダウンは毎月末に行われる総合テストでそれぞれのクラスの上位3名下位3名が入れ替わるシステムだそうだ。

ちなみに僕がいる最下位クラスの場合は、下位3名は退塾させられるとの事なので恐ろしい。

前回の総合テストは何とか真中より少し下くらいの成績だったのでセーフだった。


学校生活では彼女と話す機会がかなり増えた。

一緒の高校を目指している事や、勉強に頑張っている事に対して評価してくれているのか勉強以外の事も良く話しかけてくれる。

こちらからは勉強以外の話題で話しかけるのは彼女居ない歴=年齢の僕には経験値が足りなくてまだ出来そうもないや。

僕がLV1の村人ならリヤ充達はLV50位の戦士なんじゃないかと思ってしまう。

クラスで人気の陽気で明るい今風に言えば陽キャ?なリヤ充男子を横目に見ながら同じ歳なのになぜこうも違う星の下に生まれたのかこの不公平さを神様に訴えている毎日だ。

ちなみにリヤ充な彼は何度となく柴原蛍に告っているが今のところ連敗記録を更新している。

しかしそれにめげず陽キャで居られる精神構造に対して、彼女に告っていると言う行為については複雑では有るのだが一応畏敬の念は抱いたりしている。


「柴原さん、さっきの授業で出てきたこの問題の所が良く分からないんだけど…」

勉強に託けて彼女に話しかける。

「ああ、ここね。これはまずこっちから解いて…」

彼女はいつも嬉しそうに問題の解説をしてくれる。

もしかして僕に気が有るんだろうか…?

いやいや彼女は頼られると誰にでも手を差し伸べる天使の様な優しい子なのだ。

なんか彼女に対する崇拝度が最近上がってきているな。

「あっそうか!そっちからやるのか。ありがとう!うーんまだまだ勉強が足りないなぁ」

「いえいえ、一緒の高校を目指すんだから助け合わないと」

彼女はそれこそ天使の様な笑顔を浮かべそう言ってくれる。

自分の不出来な頭に凹みながらも彼女のその言葉に心を癒されていると、


「あれあれ~?最近蛍ちゃんと豊川って仲良くない?」

なんて事を先程言っていたリア充男子が会話に割り込んで来た。

「そ、そんな事ないよ。ただ勉強を教えて貰っているだけだよ」

心の中でこのお邪魔虫め!と思いながら、リヤ充耐性×な僕はドモリながら慌てて否定する。

「そんな事分かってるってw ジミーな豊川と蛍ちゃんががどうこうなる訳ないじゃんww」

リアルで会話にwを入れて来る奴初めて見たわ!

やっぱりこいつは敵だ!

畏敬の念は何処へやら心の中でぐぬぬと歯軋りしながらも顔では愛想笑いを浮かべる。

「蛍ちゃーん、今度二人でカラオケ行かない?俺最新曲全部網羅してるし自分で言うのもなんだけどむっちゃ歌上手いんだぜ」

とリヤ充男子(名前覚えてないや)は俺を無視して彼女を口説き出した。

「俺の歌に聞き惚れて付き合いたくなるの間違いないよ」

本当にめげない奴だとは思うのだがあまりの展開に心の中に黒い炎が渦巻きながらもどうする事も出来ず、自分の情けなさを嘆きつつとぼとぼと席に戻る。


その時背後から殺気?威圧?背筋がゾクッとするような空気と共にマシンボイスの様な抑揚の無い声が聞こえてきた。

「ごめんなさい。今そう言う事に興味無いの。それに今年受験なんだから小路君も遊んでばかりいて良いの?」

背後から聞こえて来たその声に僕は驚いて振り返った。

その内容から間違いなくこの言葉を発したのは柴原蛍...彼女なのだろう。

しかし、今ので撃沈カウントが2桁の大台に乗ったリア充男子の名前が小路だったのかと初めて顔と名前が結びついたよと言う感想は置いておいて、今まで彼女からそんな冷たくて抑揚の無い声を聴いた事が無かった。

彼女を見ると声と同じく感情見られない能面の様な冷めた顔で小路君だよな?を見つめていた。

表情の無い顔とは裏腹に体全体からはオーラが見えるかのような威圧感がにじみ出ていた。

見つめていた、いやその目には光も無く…そう暗黒としか形容出来ない穴でも開いているかの様に何も写していない。

顔は小路君を向いているのにその視線は彼に焦点が合っておらずまるで虚空を見ているかの様だった。

みんなも見た事の無い彼女のこの態度に教室の時間が止まったかの如く固まっていた。

そのまま数秒?数分?長い沈黙の時が流れた。

彼女はそんな雰囲気に気付き慌てて「だから勉強頑張ってね小路君」と、いつも通りの天使スマイルを浮かべてその場を取り繕った。

先程まで感じていた異様な雰囲気も解除されたようだ。

「アハハ…ハ、ソウダネ…ガンバルヨ」

真っ青な顔で頬をヒクヒクと引き攣らせながら片言でそう言うと小路く、いやもう名前はどうでも良いや、リヤ充男子は自分の席に逃げていった。

しかし周りは、いや僕も何が起こったのか気持ちの整理がつかず金縛りの様に固まったままだった。


キーンコーンカーンコーン


その時、次の授業のチャイムが鳴りそこでみんな金縛りが解け慌てて自分の席に戻りだした。

僕も席に戻りながらチラッと彼女を見ると少し困った顔をしながらも片目を瞑り少し舌を出してテヘペロな感じに笑っていた。

?彼女の真意は分からない。

けれど先程の信じられない光景による動揺と相反するリヤ充の惨めな退散劇にスカッとした気持ちで頭がぐるぐるなりながらも何とか笑顔で返した。



「柴原怒らすと怖え~」

「あの殺気は人一人殺しててもおかしくない狩る者の…」

「彼女は一子相伝の暗殺拳の伝承者だそうだ…」

「俺はあの目で『この豚が』とか言って欲しい」

「いやむしろ拙者は無言のまま見下ろして体を踏みしだいて欲しい」

「いや拙者ってお前誰だよ」

それからしばらくの間男子ネットワークの女子ランキングが激しく乱高下するのであった。


書き溜めが尽きましたので書き次第1話ずつ追加していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ