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「ところで、ルークは日本にいたときに、日本語を習ったの?」
そうなのだ、これまでの私とルークの会話はすべて日本語で行われている。
大使館で働く人が言語に堪能なのはわかるが、ルークは王族だ。国際的にはマイナー言語の日本語をこれだけ話せるのは、不思議としか言いようがない。
「ああ、それは僕たちの祖母が、―――つまり皇太后が日本出身だからだよ。だから、カイや僕には日本人の血が4分の1ずつ流れているんだ」
「ええっ! そうなの? 全然そうは見えない!」
「はは、ぼくの外見は完全にヨーロッパ風だからね。妹はもう少し日本人の面影があるんだけど…… ぼくらは子どものころに祖母から日本語を教えてもらったんだ。それは厳しくね。もちろんカイも日本語を話せる。小学生の頃には、漢字練習なんてものもさせられたから、簡単な小説だったらまだ原書で読めるはずだよ。ほら、カイって名前は少し日本風でしょう? そういうわけで王家は親日家なんだよ」
驚いた。
王族の集合写真を見たけれど、王子とルークの姿にばかり気が取られていて、全然気づいていなかった。
それにしても、何十年前に外国の王族に嫁ぐなんて、大変なこともあっただろうにすごい女性だな!
「そういえば、子どものころに何か悪さをすると、カイトと一緒に“正座”をさせられて、‘論語’を暗唱させられたよ」
「え……?」
「師、曰くーだっけ。まだ覚えているもんだな」
思いっきり、和風だった。それも、思いっきり昭和の匂い。
「ははは……。ある意味、今の日本の子どもたちより日本っぽいかも」
「日本人は季節を大切にして、いろんな行事をするよね。行事のたびにおやつを手作りしてもらったから、食べるのが楽しみだったよ。あ、そろそろ着くみたいだ」




