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ルークは視線を宙にさまよわせた。
それを見て、美男子はどんな姿をしても絵になるなあ、と場違いなことを思う。
「さて、どこから話しましょうか…。実は、我々の国は共和国とはいえ、代々続く国王一家がいらっしゃいます」
私は小さくうなずいた。
「現国王には3人のお子様がいらっしゃいまして、一番上の20歳になる王子は、現在スイスの大学で勉強しておられます」
ルークは一瞬、言葉を続けようかどうかを躊躇したように見えたが、そのまま話し続ける。
「その第一王子ですが、来年からロンドンの大学院へ進学することになりました。ですが、ここで重大な問題が生じたのです。スイスの人里離れた山奥では、王子の身の安全を確保することは、それほど難しいことではありません。ただ、大都市ロンドンともなると、話は違います。お恥ずかしい話ですが、王子はわがま――、自由気ままなところがありまして、警備の目をかいくぐって自ら行方不明になってしまうのです」
は?
なんの話が始まった?
やんちゃな王子様の話か?
「今回のロンドン行きも、我々には全く相談もなく、ご自分で決めてしまわれて…… ただでさえ人口の多いロンドンで遊び歩かれると、どうやって警備したらよいものか……」
ルークの声に徐々に熱がこもっていく。
「我々のような小国では、王子の警備に大金などかけられないのです! それでなくても、国民から厳しい目で見られているというのに―――」
「はぁ」
こほん。
今まで無言だったカミーロが、小さく咳払いをした。
その音に我に返り、また元の落ち着いたトーンで話し始めるルーク。
「そこで、王子をお守りする効率的な方法はないかと考えました」
ルークが私の顔をじっと見つめた。その目がぎらりと光った。
ズキッ!
あ、まただ。
なにか、悪いことが起こる前兆!
私の顔がこわばったのを知ってか知らずか、ルークは言葉を続ける。
「理沙さん、あなたには――」
これ、聞いてはいけないやつだ。できれば、走って逃げ出したい!
私の気持ちを察知したのか、私の横に、さっとカミーロが体を寄せてくる。
うっ、逃げられない。
「あなたには、危険を察知する特殊能力がありますね。その力を私たちに貸していただきたいのです」




