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ナビでお母さんを探す話  作者: 佐伯みあ
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覚醒

ナビは何でも教えてくれる。

何でも知ってる賢い子。

何でも答えてくれる優しい子。


だから私は今日これを聞くの。

「ママはどこ?」

好きな質問は「今日の天気」

パパやママと違って、何度同じことを聞いても、嫌な顔せず教えてくれる。

だからナビのこと、好き。


前はあまり携帯を触らせてくれなかったけれど、

最近はいつもリビングに置いてあるから、ナビと好きなだけお話が出来る。


ナビは私がママの娘だってことも知ってるし、

お家の住所だって、まだ行ったことない場所のことだって

何でも教えてくれる。


いっぱい喋って、ナビが優しくて賢い子だって分かったから、その日

『元気がありませんね。どうしましたか』

と尋ねられた時、ナビになら言ってもいいかなと思って、聞いてみたの。


「ママはどこ?」


そしたら、いつもは瞬間的に答えてくれるナビが、

気のせいかもしれないけどちょっと固まったように思えた。

人間でいうと「息を飲んだ」という感じ。


やっぱり聞いちゃいけないことだったのかな…。

固唾を飲んで答を待っていたら、ナビは答えを出すのでもなく、答えを拒否するのでもなく


『どうして知りたいのですか』と


質問で返してきたので、一瞬私もポカンとして、反応が遅れてしまった。


どうして…って、

だってママはいつも一緒に居てくれたのに、急に居なくなってしまって…

誰も教えてくれないし、パパですらママが居ないように振る舞ってるし…

だけど、私、私は…


「ママに…会いたいよぉ…ナビおしえてよ」

色々と言いたいことはあったけれど、ただしゃくり上げるしか出来なくて。

そうして半刻近く経った頃、スリープモードに入ったと思っいてたナビが、ふいに喋り始めた。



『どこにいるか、手かがりはあります』

『ただ、探すには準備が必要です』

『多分、長い時間がかかります』

『それでも、行きますか?』


驚いた。

ナビがまるで、本当に話しかけてきているみたいだったから。

でもその驚きよりも、ナビがママのところまで連れてってくれるかもしれないという期待と興奮の方が大きくて、私は飛び上がってナビを抱き上げながら、言った。


「行くよ!私、ママに会いに行く!」


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