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史上最強の医療魔術師《ヒーラー》  作者: Eve
第二章 少年偏〜聖獣の森〜
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第十五話《 シグとルーレイ 》


「あの・・・。実は僕、男なんですよ。」


「へ・・・?」


いつもいつもそうだけど、僕って女の子に間違われすぎじゃないだろうか。

男としては悲しいな産まれる性別間違えたかな。

今度から自己紹介の時には性別も伝えようか真面目に考慮する案件だ。


目の前のルーレイさんは羞恥心の欠片もない姿で地べたにへたりこんでいる。

勝手に勘違いされただけなんだけどね。

でもまあ、良いものも見させてもらえたしな!

この脳内保存された彼女の姿は宝物にしよう。

家宝には・・・残念ながら出来ないけどね、僕だけの宝物だ。


「いや・・・ですから、男なんです。」


「へ?だ、だだだって!?シグルスティアさんは・・・嘘でしょう。」


信じられないっという様子で目をパチクリさせている。

僕の言葉を聞いても尚信じられないようで、ゆっくりと僕の体と顔を交互に見ている。

まあ確かに僕は身長も小さいし顔も中性的な方・・・いいや、言いたくはないけど女性的だよなあ。

適度な運動はしているがこの体、筋肉もつきにくくて体つきは華奢だし僕って本当に男なのだろうか。

え?僕が間違えているわけじゃないよな?

うん。よかった、ちゃんとついてる。

あえて何がとは言わないけどね、ちゃんと付いてるよ!


「まあ、昔からよく間違われますからね。こんな見た目なんですけど男なんです。」


「そ、そうなんですか、すみません勘違いしてしまって申し訳__ッ!?」


彼女は気づいてしまったようだ。

ゆっくりと目線を自分の体に目線を移していく、そのあられもない裸体にだ。

僕は終始ルーレイさんの体からは視線を大袈裟なほどずらしていたし、見てませんよアピールは完璧だ。

隙あらばチラ見してはいたけどね、バレてはいないはずだ僕のチラ見技術は並みのそれじゃあない。


「・・・み、見ました?」


「あー、えーっと・・・。」


さて、どう答えたものか。

紳士ぶって「いいえ、僕は何も見ていませんよお嬢さん。」と格好をつけるか。

それとも正直に話して「すみません、でも美しい体つきでしたよ安心してください。」とキザに褒めて誤魔化すか。

うーむ、難しいところだがどちらにするか・・・。


「すみません、見てしまいました・・・。」


ごめんなさい僕はヒヨりました。

嘘をつくことも格好をつけて彼女を褒めることもできませんでした。

ビンタの1回や2回、10回くらいは覚悟しておこう。

さあ、こい!来るなら、こい!


「えーっと・・・と、とりあえず!着替えますので向こうに行ってください!」


「あっ・・・はい。」


彼女は驚く程冷静だった。


------------------------------




「本当に男性だったんですね、シグルスティアさん。」


「す、すみません・・・。」


ビンタは一回も飛んでこなかった。

むしろしてくれた方が罪悪感は消えたんだけど、いやこれは僕のわがままか。


「謝らないでください。私が勘違いしていたわけですし、私こそすみません。」


「い、いえ!そちらこそ謝らないでください、いい物も見れましたし・・・。」


ボソッと呟いてしまった。

見てしまったものは見てしまったのだし仕方ない、許してもらおう。


「いい物・・・。ッ!?」


彼女も思い出したのだろう、僕に裸を見られてしまったことに。

茹で蛸みたいに真っ赤になって恥じらう女の子って感じだ、いやはや大変可愛らしい。


「あ、あああああ・・・。も、もう私、お嫁に行けません・・・。」


「いやいや!ルーレイさんは綺麗ですし大丈夫ですよ!なんなら僕が頂きたいぐらいです!」


「え?ほ、本当ですか・・・?」


しっかりと頷いた。

本当のことだし彼女ならお嫁さんの貰い手なんていくらでもあるだろう。

ちょっと余計な一言まで言ってしまったが、彼女の自信に繋がるなら問題ない!・・・と思う。

思いたい。


「なら、貴方を信じましょう。私はルーレイ・フェリコレット、17歳です。」


自己紹介?

急に改まってどうしたのだろうか。


「は、はあ・・・。」


「私、自己紹介はしていなかったですよね?」


ああ、確かにそうだったな。

なんか避けられてる感じだったしな、理由は分からないが心を開いてくれたのか?

裸まで見られたら吹っ切れるのかな?ルーレイさん、僕も裸見せましょうか?


「じゃ、じゃあ僕も改めてシグルスティア・リーンハルト今年で11歳になります。」


「まだそんなに若いんですか!?信じられませんね。えーっと・・・あの、シグと呼んでもいいですか?」


「え?はい、是非どうぞ!」


「にしても凄いですね!わずか11歳であれだけたくさんの魔法を自由自在に操るなんて!」


僕に裸を見られた事とマッドフロッグの件以外では彼女は表情の変化があまり見えない人だった。

それが今は目をカッと開いて僕と鼻が当たってしまう程まで身を乗り出している。

おそらくこっちが彼女の素なのだろう。

少しそっけなくてクールな感じのルーレイさんも良かったが僕はこっちのほうが断然好みだな。


ソロでBランクの冒険者だっけ?

魔術師でソロなんて凄いよな、彼女がここまで感情を表に出すってことは魔法が好きなんだろうか。


「そ、そうですか?ルーレイさんの《水》魔法も凄いですよね、詠唱の短縮に威力も中級とは思えない威力でしたよ。」


「わっかりますかあああ!!!」


!?

ちょっと想定外だった。

僕の手をガッシリと握っているし、ちょっと痛いぐらいだ。

意外と力強いんだな、まあ僕の体が弱いのもあるかもしれないけど。

さっきあれだけ身を乗り出していたのに更に近づいている。

ていうか鼻当たってる、ガッツリ!鼻息荒いよルーレイさん?


「ようやくわかってくれる人が現れました!私は冒険者を始めた頃から今と同じくらいの魔法は使えたんです!なのにどの人にも新人なんだから誰かと組んだほうがいい、実力がないのにソロなんて生意気だ!とか。みんな全然わかってないんですよ!なのに私がソロでBランクにまで到達した瞬間に手のひらクルッですよ!?一緒に組んで欲しい、一人でソロなんて凄い、私は出来ると思ってたとか急に煽ててきて!アンタが出来るわけないとか言うから努力したのになんなんだって感じですよ!そうは思いませんか!?」


すごい勢いで捲し立ててくる、もはや頭に入ってこない。

食いついたなんてレベルじゃなかったな、スイッチが入ってしまった感じだ。


「まあ、シグに魔法を褒められても嫌味にしか聞こえませんけどね。」


「へ・・・?なんでですか?」


「なんでって・・・シグのほうが私よりも魔法の腕は上でしょう。そんな人に褒められても嫌味にしか聞こえませんよ。」


「そ、そうですかね?」


「そうですよ!自信のあった《水》魔法が11歳の年下に負けてるなんて悔しい通り越して尊敬すらしています。」


「《水》魔法といえば水耐性を持つジャイアントリザード相手にも、《水》属性魔法を使っていましたが・・・。なぜですか?ジャイアントリザードには効かないとわかってはいたみたいですよね。」


「んー・・・。私、《水》魔法以外は好きじゃないんです。《水》魔法以外を使うくらいなら死んだほうがマシとすら思っています。」


明らかに拗ねてますよって表情でフグみたいに頬を膨らませている。

可愛らしい、あの膨らんだ頬をツンツンしてみたい。


にしても《水》属性魔法信者か。

確かに彼女は髪も青いし目も綺麗な青、加えて着ている服もローブも青だ。

これだけ主張をしていれば確かに一目瞭然だな。


「それなら尚更凄いです!ソロで、しかも《水》魔法オンリーでBランクなんて普通無理ですよ。」


「そ、そうですか?そこまで言ってもらえるとなんか嬉しいですね、えへへ。」


新しい発見、ルーレイさんは褒められる事に弱い。

顔をやたらにやけさせている、気持ち悪いくらいだ。

いや、可愛いんだよ?なんて言うんだろう不快じゃない気持ち悪さ?

実は感情豊かな人なんだな、最初会った時からはガラッと印象変わったな。


「さて、お話も凄く楽しいですがそろそろ戻りましょうか。他の方々も水浴びはしたいでしょうし。」


「あっ!あと一つだけ!」


「?・・・なんですか?」


「シグはどうしてそんなに強いんですか?」


「どうして?それは・・・小さい頃から努力して__」


「い、いえ!シグの魔術師としての強さの秘訣も魅力的ですが・・・それはまた今度で!」


強さって言ったら僕なら魔術だよな、他になんだ?

僕の剣技・・・ではないだろうしなあ。

なんだろうルーレイさん真面目な表情ではあるけどもっと何か・・・焦っているような、怯え?


「彼等はどんな状態だろうと魔獣に挑んでいました。シグと合流する前からもです、避けられる時ですら彼等は挑んでいました。」


「は、はあ。まあ、彼等ならそうでしょうね。」


「私は何も言えなかった、でもシグは違いました。しっかりと自分の意見を伝えていました、私は彼等が怖くて言えなかった。どうしてですか!?」


「ど、どうしてと言われても・・・。」


別に僕は言いたいことを言っただけだからな。

アイツ等が怖い・・・か、まあ女の子ならそう思うかもな。

相手は自分より大きな男、それも3人だ。

怖くて何も言い出せなくて当然かもな。


「彼等の言うことを聞いて身を委ねる事も出来たはずです。なんで怖いとも思わずに自分の意見を言えるんですか?やっぱり彼らより自分は強いって自信があるからですか?」


「うーん・・・自信があるか、ないかは関係ないですよ?別に怖いって思うのも悪くないと思います。」


「悪く・・・ない?」


「僕はたとえ臆病者の弱者であっても自分の意見を言ったと思いますよ?だって__」


「だ、だって・・・?」


「一度間違いを認めたらそれから全部譲る事になってしまうでしょう?そんなのは嫌なだけですよ。僕ならそれから自分の意見を言えなくなる事のほうが怖いですよ。」


彼女は僕の意見を聞いた後からはいつもの表情に戻ってしまった。

もしかして、地雷踏んだ?







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