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第1話◆樹海に行く…◆

青木ケ原樹海…

富士山の麓に広がる青木ケ原樹海は富士、噴火の溶岩流上に形成された樹海として特異な様相を示している。多種多様な動植物と出会うことのできる人気の観光スポットであると同時に樹海にはもう一つの顔…


青木ケ原樹海の俗称『死の原生林』…

一度入ると二度と出ることができない、360度変わらぬ風景で人の方向感覚を狂わせ樹海の奥へといざなう、自殺の名所中の名所。


この物語はあるひとりの男が自殺を決意し死の原生林に入るところから始まる。




『富岳風穴駐車場』


「ソフトクリームくだちゃーい」


「あいよ!」


小さな女の子はソフトクリーム片手に楽しそうにお喋りしている。

沼津ナンバーの車、仲の良さそうな家族である。今日はハイキングにでも来たのだろうか?


「やっぱ樹海いいっすね!アガリクスやらアホウタケやらレアなキノコ最高っス!そもそも樹海とは…」


「………」


今度は樹海マニアだろうか?マニアックな話で売店のおばちゃんも困っている様子である。


ブチュー!


今度はトイレの裏で抱き合っているカップル発見!なるほどこれが青姦か?てかホテルでやってもらいたいものである…


樹海にはハイキングに来た者、デートに来た者、野鳥を撮りに来たもの、目的は違えど皆、楽しそうにしている…ひとりの男を除いては。


名古屋ナンバーの車である…その男は何をするわけでもなく車の中から人の流れを観察している。男の名は清水和也、25歳。男は時々車の中からブツブツ独り言を言っているようである。

この男こそがこの物語の主人公である。清水が何故自殺を考えたのかは後々書いていこうと思う。


まず問題は風穴入り口売店のおばちゃんの目をどうごまかすかである。このおばちゃんは長年自殺志願者を見てきている。自殺志願者には独特のオーラがあると言う…もしもこのおばちゃんに捕まってしまうと警察送りになることは目に見えている。これでは清水の自殺計画はパーである…

清水のとった行動は単純なものだ…一般の観光客と同じ素振りをする…


自殺への第一関門である…

「おばちゃんソフトクリームおいし〜!」


「ありがとね〜」


売店の前にはある家族と売店おばちゃんが楽しそうにお喋りしている。売店おばちゃんは樹海の見所を得意気に説明しているようである。家族も興味津々といった所−

と…そこに自殺志願者、清水和也が現れる。




「ソフトクリームください!」

女の子の後ろでとびきりの笑顔を見せる青年、清水和也。仲の良さそうな家族は何の不信感も抱いてはいない。清水は白のTシャツ、膝までのズボンをはき。肩には年代物のカメラをぶら下げている…どこから見ても爽やかな好青年である。この家族は夢にも思わないだろう。この青年が自殺志願者などとは…

だが売店おばちゃんだけは清水を違った目で見ているようである。


「兄ちゃん、ここに一人できたのかい?」


「そうだけど…」


「ふーん…」


清水はソフトクリームを受け取る。売店おばちゃんは清水をまじまじと見ているようである。


「どっからきたの?」


「名古屋…」

両者、沈黙が続く…清水は怪しまれるような様子を見せたつもりはないがおばちゃんの長年の経験が何か臭わせるのだろう。清水は沈黙に耐えられなくなったのかカメラを抱え声たかだかに言った


「今日は野鳥をとるんです!」


「そう…そうか!そうだよねーおばちゃん考えすぎ!いっぱい写真とれるといいねー」


売店おばちゃんは自分を問いただすように言った。清水は数分おばちゃんと話をし樹海に入ることに成功する。最大の関門突破である。あとは清水が下調べした通りに樹海を歩けばいい。

樹海と言っても案内看板や歩道が整備されキャンプ場やレストランまである。あらかじめルートを自分で決めておいた方がいい。樹海自殺は下調べが重要なのだ。


ちなみに清水がたどったルートは…


・青木が原自然歩道

・氷穴、紅葉台

・山道

・死の原生林


「………」


「………」



そしてついに清水は死の原生林の中に足を踏み入れるのだった…

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