第7話 Cross site request forgeries
「パ…パスタ、本当にお前なのか…?」
「ああ、俺だよ。忘れたとは言わせねえぜ。」
そういうと熊木ニタリと笑った。そうか…。アイツ、実際はこんな顔してたのか。
黒い髪から除くその瞳はまるで鮮血のような赤い目をしていた。まるで、吸血鬼のようだ。でも、なんでパスタがこの世界に…?考えるのは後だ。今は目の前のことに集中しよう。
「熊木、お前がやっていることは悪だ。更生する気が無いのならこちらも技を使う。」
そういうと熊木は「ほう…。」と呟き、かかってこいと言わんばかりに手をひらひらさせた。そっちがその気ならやるしかない。
「食らえ!!ブルートフォース!!」
…。空間に謎の静寂が走る。あ、あれ??指の角度を間違えたか!?ゲームのボタンを押し間違えたように何か間違ったのかもしれない。よ、よく間違えるからなぁ。
「ブルートフォース!!ブルートフォース!!!」
何も起こらない。なぜだ!?さっきは出来たのに!焦る俺をあざ笑うように熊木が口を開いた。
「お得意の技が出来なくなってるみたいだな。まぁ、驚くのも無理はないぜ。俺の禁術『Denial of Service attack』、通称DOS攻撃だ。この学校のサーバに負荷をかけて一時的にダウンさせた。」
「サーバを…ダウン…!?」
「そうだ。察しのいい明乃真ならわかると思うが、俺たちの技はこの学校のサーバを通して使えるんだ。だからサーバがダウンした今、お前の技はすべて無効だ。」
すべてを無効化だと?なら俺の得意技も何も使えないじゃないか!…と言っても今の所一つしか覚えてないのだが。
…待てよ?学校のサーバがダウンしているなら、アイツも技は使えないじゃないか!これは盲点だったな、熊木。
「悪いけど一つ言わせてもらおう、熊木。サーバがダウンした今、お前もこれ以上術を使えないんじゃないか?」
「それはどうかな…?じゃあ見せてやるよ、俺の秘術を。」
熊木は不気味な笑みを浮かべると教本のようなものを左手に抱え、念の籠った声で言い放った。
「漆黒の黒き旋風よ、復讐の黒煙を上げろ!!!クロスサイト・リクエストフォージェリ!!!」
おぞましい轟音と共に、教室中の机や椅子が舞い上がった。瞬間的に漆黒の黒い風が教室中に吹き荒れたのだ。前が、見えない…っ!!大風が吹き、砂嵐のように明乃真を襲った。
「ハハハッ!!ざまあねぇな明乃真!!!もっと苦しめ!!!」
そう、俺はあの時誓ったのだ。あの日の復讐を――――――。