第6話 Injection
隣の教室は…203教室。普段授業をする以外にはカギが掛かってると星沢が教えてくれた。じゃあ誰が?音の主に気付かれぬようこっそりと空いているドアの隙間から中を確認する。
そこには闇夜に紛れる中にうっすらと人影が確認できた。それは今日授業で技が出せなかった少年と…熊木じゃないか!!
「おい…わかってるよな?」
「は、はい…。でも今日はこれだけしか…。」
「ちっ、しけてんなぁ。もっと稼いでこいやクソ!!」
ドカッ!という鈍い音を立てると少年はその場にうずくまった。おいおい、カツアゲじゃねぇか。
自分は特別正義感が強いわけではない。だけど…とてもじゃないけど放っておけないよ!それに熊木ってやつ、エリートだからってその力をそんなところに生かすなんて…許せない。
思うよりも体が勝手に行動していた。明乃真は扉を思い切り強く開けた。
「おい!そこまでにしておけよ!」
「あぁ?誰だお前? あぁ…思い出したぞ。須藤明乃真だな…。まぁそれはどうでもいい。俺に何の用だ?」
「何の用…?。そいつから離れろよ、人目のないところでカツアゲしてたんだろ?」
「カツアゲ?何のことかさっぱりだな…。俺はただコイツが献上金を俺にくれるっていうから受け取ってるだけだぞ。ククク…。そんなことより就寝時間にこんなところウロウロしてていいのかよ、なぁ?エリートの明乃真君よぉ!?」
この言葉に僕はプッツーンと来た。頭に来たのだ。
「熊木…っ!もう許さねえ!ブルートフォースで木っ端みじんにしてやる!!」
「おー怖えぇ怖えぇ。かつての親友も忘れちまったのかよ?」
「親友…?ふざけたことを言うな!お前みたいな親友は…」
と、言葉を言いかけた時だった。なんだろう妙に違和感がある。いつもどこかで聞いていたようなこの声は…。まさか・・・っ!
「お?思い出したような顔してるな。誰だかわかったか??」
「お、お前は…。アーヴァウォッチのフレンドの…っ!?」
「――――――――そう、俺だよ。『パスタ』だ。」