第5話 Error message
俺たちは食堂でたらふく食べた後、男子寮に来ていた。中は意外と広く、クラスの皆はそれぞれのグループに分かれて各自話をしたり、カードゲームを楽しんでいるようだ。
「いっけー! 俺のエルダースパルトイトシキ!!」
「あああっ!ヤマグチエンジェルが!!」
…あぁ、こういう風景はどこの学校も同じなんだな。まだ就寝時間には時間があるし、少し学園内を散歩してみようかな。きっとこの儚い夢ももうすぐ覚めてしまうのだし。
いつまでも行動を共にしようとする星沢に見つからないようこっそりと寮の扉を開け、長く広い廊下に出た。なんというかこの学園…、あまりにも広すぎる!!
右も左も廊下と扉が続いているじゃないか。ま、まぁ少しくらい一人で歩き回っても迷うことはないよな?とりあえず右から行ってみるか。
右の廊下をただまっすぐに進んでみる。生物研究室、図書資料室、情報魔導実習室、購買部、中庭…。この廊下だけにこれだけの量の部屋があるならこの学園、一体どれだけの部屋があるんだ!!考えただけでも恐ろしい…。
現在の時刻は20時40分。就寝時間の22時まであと1時間とちょっとくらいか。ちょうど少し歩き疲れたことだし目の前にある中庭にでも行って少し休憩しようか。
中庭に置いてあるベンチに腰かけた。今までの疲れがどっと沸いてきて、なんだか眠くなってきたぞ。
少しだけだ…。少し目を瞑るだけ…。
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どれくらいたっただろうか?俺はこの時期には少し寒い夜風に当てられ目が覚めた。ん…、なんか直感的に寝過ごした気がするぞ!!時計を見ると見事的中、時はすでに0時10分を回っていた。
やっべ…。監督官がウロウロしている時間だ!見つかったら停学どころじゃないぞ!何とか見つからないように寮まで戻らないとな。
そろり、そろりと音をたてずに行動する。ここまでの道のりはそう遠くはないはずだ。人の気配がないか確かめながら慎重に寮まで盗人のように行動した。
(よし、何とか寮の入り口までたどり着けたぞ!)
どうにか監督官に見つからずに済んだようだ。扉を手をかけ、中に入ろうとした時だった。隣の部屋からガタッという物音が聞こえた。監督官か!?、と思ったが隣の部屋は203教室。授業以外では空くことのない部屋のはずだ。じゃあ、誰が?
この時明乃真は感じた。恐ろしいほどの嫌な予感を。