第2話 Brute Force
「なんだその技は!!なめてるのか!!!!!!」
突然の大声で目が覚めた。なんだ?ここは・・・?周りを見渡すと白を基調とした清潔感のある全く見たことがない教室だった。大きな窓からは暖かい日差しが差し込んでおり、この教室をぽかぽかとした暖かい室温にしている。
なんなんだここは? 夢なのか??
その優しい風景とは裏腹に教壇で怒声を上げている先生がいた。あれはだれだろう?
「ブルートフォースも使えんのか!! ベーシックシステム試験って糞だな!!!本当にお前ら試験合格したのか!? 次だ、次のやつ前出て来い!!」
大きな声で呼ばれると、前の少年が縮こまりながら教壇の前に向かった。そのおろおろとした少年は前に手を伸ばし小さな声でつぶやいた。
「ブ、ブルートフォース…」
そう言葉が放たれるや否や、空間が静かになるだけだった。何も起きない。
「あああ!?!?なんだその技!!俺ここまで侮辱されてるのか!!!」
と怒声を浴びせられると少年は何度も、すみませんと頭を下げていた。隣ではテストが終わったらしき男子たちの話が聞こえたので耳を傾けた。
「こんな技、俺たちは無理だよなこれ。だって今までできた奴なんてこの学校にいないんだぜ?」
「ああ、確かに。俺が使える技システム・アウトくらいだぜ?」
なんだよシステムアウトって…。ブルートフォースといいプログラムの言語ばかりが出てくる。ああ、分かった。これは授業で疲れ切った自分が見た夢なんだな。そうに違いない。
楽しそうに少年の怒られている様子を見て談笑している男子たちが僕の視線に気が付き、話しかけてきた。
「なぁお前もブルートフォース無理だよな?」
「さ、さぁ?無理だと思うよ?」
焦ったあまり、適当すぎる回答をすると男子たちはだよなー、といいまた自分たちの談笑会に戻っていった。するとどこかで僕の呼ぶ声が教室に響いた。
「須藤 明乃真!!次お前だ!!」
やっべ、呼ばれちまった。なんだかわけのわからない状況だ。どうして俺はこんな見ず知らずの人たちの前で技を見せなきゃいけないんだ!しかもプログラム言語って!!
教壇の前でどうしていいかわからず周りをきょろきょろとしていると、先生が早くしろ、とイライラした声で話しかけてきた。どうせこの夢でもおれは怒られるんだろうか、と考えたがどうせ夢の中だ。ここはかっこよく決めてやるか!
見よう見まねで先ほどの少年がやったように手を前に出し大きな声で技を口に出した。
「ブルートフォース!!!」
突如ズドン、と大きな地響きを鳴らすと前方に衝撃波が飛ばされた。教室に置いてあったものや机すべてを教室の奥へと飛ばしてしまった。教室の人たちからはあまりの衝撃で口を開けポカンとしている。
「す、すげえ!!!初めて見た!!!!」
そう口を開いたのは、後ろに座っていた眼鏡の男子だった。
「凄い!すごいよ明乃真君!!ブルートフォースが使えるなんて!!あ、僕の名前は星沢悠凛だよ。よろしくね!」
というと、僕の手を取り勝手に握手してきた。教室からも称賛の嵐だ。
なんだろう、夢の中なんだろうけど…。
「俺ってもしかして…この世界では最強!?」