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白く幼き妖と  作者: すなぷあ
一.「いつも通り」に過ごしたい
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2.家族

2014/10/28 文の修正

自分は今、公園に来ている

ここの公園はとても広く、木も多い よく友達とここで遊んでたのを思い出す


と言っても 思い出してる余裕など無いのだけども。

公園の時計は6時45分を指している 街灯が無ければ真っ暗な時間、いつもなら家に帰ってる時間だ。


帰りたくねぇ.....


住職さんに報告してもらってるとは言え この変わった姿を家族にを見られたくない、


「はぁ.....」


と 考えていると溜め息が漏れてしまう、今のこの姿を知っているのは住職さんだけなのだ、無理に帰らずとも、少し落ち着いてからじゃあだめなのだろうか

でも、住職さんに頼んで見ても「妖怪退治の報告を〜」とか言われて追い返されてしまったし


「.........はぁぁ」


また、深いため息をつく

考えてても仕方が無い これ以上の事は出てこないのもわかっている

家族も心配してくれてるだろうし さっさと帰った方がいいだろう




公園から自分の家まではそう遠くない 徒歩5分もかからないくらいだ

あのぶかぶかの服なのだが、住職さんにマフラーとコートを借りるって形で落ち着いた

本人は自分のお古だしもう使わないからあげるよって言ってくれていたけど...貰っちゃっていいのだろうか? 何かお香の香りが染み付いてる気がして...あまり落ち着かないので返したいと言う気もあるのだが

ズボンは履いて来たものを胸下まで上げて、それをコートで隠してる 服は紙袋を貰ってそれに入れている

貸してもらったコートは大きくて 地面すれすれの所まで下がってる 歩いているとときどき地面に着いてしまう

これだけでかなり傷が着いてしまっている気がする....。


何度も何度も羽織り直して、家へと足を進める、何度羽織り直しても やっぱり地面に擦ってしまうのだが....。




「・・・・」



玄関前に着いてしまった 

足を進めてたのはいいが、いざその時が来ると逃げたしたくなる

家族はどんな反応をするだろうか? なんと言われるだろうか? 信じて貰えるのか....?

考える事すら怖くなる



「.....ぅぅ」


家に帰らなければ寝床は無いのだ 親にも心配されるし....余計面倒くさくなってしまう

不安はありながらも 覚悟を決め、玄関の扉をそっと開けて


「っ...... だぃま...... 」


これが今の僕の精一杯の声、

かなり小さい声だったが ちゃんと親にその声は届いたようで、、、


「あら、お帰り.....? あぁ、白露ね ずいぶんと可愛くなっちゃって〜っ 一瞬誰かわからなかったわよ〜」




「.........。」








返事をしてくれたのは僕のお母さん




....お母さん 緊張感と家に入るまでの考え込んでた時間を返してください

すっげー悩んだんだからさ....もっちこいマシな反応を....


「ぇと....? 驚くとかはしないの? 」


母の反応があまりにもあっさりし過ぎてたのでついつい聞いてしまう ちょっとしたパニックになると思ってたし... 最悪追い出されるかとも思ってた


「だってあの神社の方が言うんだし 妖怪の仕業で変わったって言うんだから仕方ないでしょ?」

「ぇと....? それ仕方ないで済むの....?」

「妖怪の名前が出て来ちゃったしね.... 信じるしかないわ....変な事件も増えちゃってるし 仕方ないよ」


妖怪の仕業なら何されても仕方ないで済むってわけじゃないだろうに.....

「あなたの息子が妖怪の仕業で小さな女の子の体になりました」っていきなり言われて信じれる人の方が少ないと思うのだが... 見た目が変わっちゃってるのに


「白露が無事ならいいのよ 変わったのは見た目だけでしょ?」


母の言う通り自分は無事....ではないが、記憶もちゃんとあるし過去の事も覚えてる

変わったのは体だけだ 他の所は何も問題無い....見た目は問題ありすぎるのだけども。

でも、やっぱりお母さんの事だし、色々考えてたんだろうなと思う。 自分に何て声をかければいいかとかも練習していたんだなと、先ほどの台詞を思い出してそう思ってしまう...


「ほ〜らっ 何考えてるの? 晩ご飯できるからさっさとお風呂入ってらっしゃいな」


こう切り替えが早いのはさすが親だなって思ったりする、自分からしたら凄く嬉しいし、安心できるし.... そう考えていたら涙が出て来そうになる

それを堪えながら ゆっくりと、風呂場へ足を進める








風呂はいつも親が先に沸かしてくれている

いつも通り脱衣所に行き服を脱ぎ捨てる、

風呂場へ入りかけ湯をし、体を洗い、湯船に浸かって一息付く


何事も無く、いつも通りに事を進める...はずだったのだが。



どうしよう


今の自分の体は女の子の体なのだ...その、どこに目を向ければいいかがわからないっ

元の体は消されてしまい、この体は他人の体、だけど中身も消えてて今は自分の体。

消されてしまったので元に戻る事は不可能と考えていいだろう。

なので慣れなければいけないのだが....なんかその 申し訳ないと言うか見てしまっては何かが壊れると言うか

目を反らしたり、キョロキョロしたり、もじもじしたり



あああっもう何考えてんだ!そして何しようとしてるんだ自分!

いつも通りパッと洗って湯船に浸かればいいじゃないかっ


と、自分の中の何かの糸が切れて 勢いを付けて手を動かす。


ボディタオルで全身を擦る

皮膚が痛むくらい擦りまくる 赤くなるまで擦り付ける。全身が泡だらけになるくらいまで擦って擦って擦りまくる。


そして 泡を一気に流す.....


よーし体洗ったー 終わりましたー もう何もコワクナーイ ハズカシクモナーイ


全身を洗い終わり、ボディタオルをタオル掛けに投げつける うまい具合タオルが広がり、タオル掛けに干される。いつも通りの事、慣れた事だ 失敗なんてしない。


タオルを投げて一息つくと だんだんと気が冷めてくる そして今の自分の行動を振り返り、思う。


....何してんだ自分


恥ずかしいからと言って今の行動はどうなのかと考える、なんだか皮膚もヒリヒリするし 強く擦り過ぎたのかと今頃になって少し後悔する。

これから本当にこの体やっていけるのかが不安になって来た....



考えるのをやめ、シャンプーを手に取り頭に付ける。 だが、腰のあたりまで伸びている長い後ろ髪が気になり、洗っている手を止めてしまう。


今の自分の髪は凄く綺麗な銀色で、手で解いても引っ掛かからない。

髪を触ってて落ち着いて来る、触るのが気持ちいい 癖になりそうだ....


これは前のようにわしゃわしゃゴシゴシって出来ないな....と自分の髪を撫で続けながら呟く....。


泡を流して湯船に入る。

小さくなっているのを忘れて湯船に飛び込んだため、お湯を少し飲んでしまった




「...........ふぁふ...ぅ」



ゆっくりと湯船に浸かる....。

飛び込んで浸かるのではなく、飛び込んだ後に浸かるのだ、お湯がざばーっと溢れて流れていくのを見るのが好きでそうしてたのだが、あまり溢れなかったし...お湯を飲んでしまってそれどころではなかった... それ考えると、何か淋しさを感じると言うかなんと言うか....


そして今のだらしの無い可愛い女の子のような声... きっと僕の声なのだろう 可愛らしいようにも聞こえたが自分の声だと考えると.... ちょっとショックだ 今まで散々嫌だ嫌いだなんて言ってたあの野太い声が恋しくなる日が来るなんて思ってもなかった


風呂に浸かっている時は何かしら考え事をする。

今回で言えば先ほどの声の事や変わった体の事やらなのだが.....これ以上、あまり考え事はしたくない

色々な事がありすぎたのだ、正直 自分がどうなっているのかを未だに把握できてないのだ とりあえず、今は姿が変わってしまったと言う事だけはわかる。逆に、今の頭じゃそれくらいしかわかっていない、認識してないと言うことだ とりあえずこれ以上は考えない様にする..... 考えすぎと逆上せで頭がくらくらしてきたのだ


湯船から上がり、風呂場にかけてたタオルである程度水滴を落とす。 

脱衣場でバスタオルを取りだし髪と体をよく拭いて 持って来た着替えを手に取って.....



あれ・・・着替え?



持ってきてたのは自分の着替え、だが今の体ではぶかぶかで着れないのだ。

全く考えてなかった.... いつも通りに着替えを持って来た....そう、いつも通りにしてたのだ この体に合う服なんて持って来てるはずがない

しかたない、タオル一枚の格好では出たくないので扉を少しあけて母を呼ぶ。服を持って来てもらおうか...


「おか〜さ〜ん....服まちがっ ....ぁぇ」


扉を少し開け 声を出そうとした....が 扉の前には人影が.....。


「えっ....何この子っ めっちゃ可愛い幼女がいるんだけどっ!?  ...じゅる」


その人影は、今 一番会いたく無かった 自分の兄だった....


「どこから来たの?お名前は?お兄ちゃんと一緒に遊びましょうか〜? ぐへへぇ」


兄は幼女を見つけたらすぐこうなる 所謂ロリコンという奴だ。

本当に気持ち悪いのだ グヘヘとか言ってるし

自分は兄が苦手だ 嫌いではないのだが....こいつのお陰で何度友達を失いかけたことだろうか。


とりあえずこの格好と兄をどうにかしなければいけない、早い所兄の暴走を止めないと....自分が大変な事になってしまいそうだ 手っ取り早く正直に話した方が早いが....信じてもらえるだろうか? だが考えている暇は無い。


「白露だよ バカ兄.... とりあえず何か着替え取ってきてくんない?」

「.....ぇ 白露........。」


兄が石になった.... 気がした

当たり前っちゃ当たり前かな 弟がこんな姿になっているのだ 驚かない方がおかしい 

というかお母さんは兄に何も知らせて無かったのかな? 一番危険な兄に一番最初に伝えて欲しかったのだが...


「し....白露ちゃんかぁ〜っ 弟と同じ名前だね!お着替えだっけ 僕の部屋にいくらでもあるからそこでお着替えようかぁ」


.....!?

まさかこんな答えが帰ってくるとは思わなかった...いや、何も知らない兄に今の自分が弟だと言う方が無理あるとも思うが.....。そもそも何で兄の部屋に今の自分に合う服がいくらでもあるんだ!? そしてなんで兄の部屋で着替えないといけないのだ?


「本当に僕だってっ!ちょっ引っ張らないでよやめてっ...」


何を思ったのか、兄が強引にタオルを剥がそうと引っ張って来る。

僕、こいつ嫌いになったかもしれない...悪寒がヤバい


「着替えが欲しいのでしょ〜♪」

「ちがうからっ! 母さぁぁんっ! 助けてぇぇ!」


助けを求め、大声で叫ぶ 出せる限りの声をだしたつもりだが、そんなに声は出ていなかった...ちゃんと聞こえたかな

こういうのはホント勘弁して欲しい... 家に帰りたく無かった理由は兄の存在があったからでもある...


「はいはいそこまでねー ご飯できたよー」


いいタイミング...でもないが、母が助け船を出してくれる

にしても、母さんは何故こんなに落ち着いているんだ... 慌てて兄を引き剥がしたりはしてくれないのか?


「母さん!?家にこんな可愛い子が来てるなんて聞いてないよ?絶対この子を僕の彼女にして....」


そしてお前は何を言っている。


「とりあえずあんたは落ち着きなさい、詳しい話はご飯食べてからね」


ひとまず ではあるが 兄の暴走が止まる。

そして兄は何を考えてるのか、何を期待してるのか、凄く嬉しそうな顔をしてこちらを見てくる。

自分のことを説明してもらえばあの緩みきった顔は崩れ去り僕が襲われるなんて事はなくなるだろうに...


「あとあんたは服着なさい」

「僕が手伝ってあげるよぉ〜!」


うん、暴走は止まって無かったよ....








飯を食べ終わった後、母さんがバカ兄に自分の事を説明してくれていた


自分で言っても聞いてくれないし、まともに話す暇すら貰えなかったから助かる

着替えはとりあえず、とのことで自分が小さいときに来ていたパジャマを出してくれた


数分して、母と兄の話が終わる

すると、兄がこちら側にズカズカと歩いてきて、兄の顔が鼻先に当たりそうになる位まで接近し


「お前ほんっと羨ましい奴だなぁ!」


と大声で叫ぶ

耳が痛いです 唾飛ばさないでください凄く汚いです


「に、しても弟が幼女...いや、妹が出来たって事だよな〜 ははは〜」


と、自分に言い聞かせようとしている兄を冷たい視線で刺している自分と母。

そう言えば前に「妹が居れば俺のやりたい事できるのになぁ」なんて言ってたような気がする


あれ? これ寧ろ危険度増してないか?


「って!? 何気ない顔して胸触ろうとすんじゃねーよ! 頭も撫でるなぁ!!」


完全に子供扱いしてやがる....と言うか何故胸触ろうとした?頭撫でるのは自分でもわからないでも無いが、何故こんなぺったんな胸をっ!?

考える暇も無く兄の次の攻撃が飛んでくる、避けは出来るが 何故か母も参戦してしまって捕まってしまう

無駄にノリの良い母も自分弄りに加わり、自分は弄ばれるのだった


いきなりの二人の行動について行けず、やりたい放題される自分。

いや、本当にやめていただきたい あなた方はわかっていてもまだ自分の頭が追いつけてないのですっ....


アーッ



1話ごとの長さがバラバラですが気にしないで頂けると幸いです^^;


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