0.プロローグ
寒い、頭がくらくらする....。
何だろう、体が動かしにくい.... そして何より....寒い
自分はしっかり着込んできたはずだ、ジャージにはカイロも入れてきた。
ここまで軽く走ってきたので寧ろあつく無いといけないはずだ...いや、思い返してみるとさっきまでは確かに体が熱かった気がする。
もう日は暮れて辺りも暗くなってきている、そして強い風も吹いている、...だかココまで寒いのはおかしい気がする。
「……」
服の隙間から冷たい風が入って来る。
ここに来るまではこんなに風は入って来なかったのに
と……言うより自分の服にこんなに隙間があっただろうか? いや、そんな事は無い、さっきまではちゃんと服も着ていたし ファスナーも閉めていたはずだ、サイズもぴったり合っていた、ぶかぶかの服など着ていなかった。
だが、今の自分の服を見てみると、着ているのはぶかぶかのジャージ そしてぶかぶかのズボン。
しかもズボンはずり落ちてしまっていて、下は何も履いてないように感じる。
....冷たい風が体全体を駆け巡る。 一応パンツも履いてるが...引っかかっている状態でとても履いているとは言えない。
このままではさすがに寒いので、ずれてるズボンを腰の辺りまで持ち上げる。
だが、ズボンはストン.....と音を立て、地面に落ちてしまった
「......ぁぇ 何で僕の服......大きくなって....?」
ここまでして、今の自分の格好がどんなに酷い状態かがわかる。
服が大きすぎて着れない....
今着ている....とは言えない状況だが、この服は確かに自分が着てきた服だ。
服もそうだが、今の声....自分が思った言葉が聞こえた気がする。
僕は声の事でクラスでも地獄のオッサンと言うあだ名までつけられていたのだ、自分の声って事は無いだろうし...
「あー ぁ・・あぁ? あれ.....?」
そんなはずはないと思いながらも声を出そうとすると、小さな女の子の用な声がした。今の声、自分の口からでたような気がしたが.... きっと気のせいだろう。耳が少しおかしくなってたんだ、ぅん
....もう一度確認してみようか
「僕の声は地獄の.... あれっ あれれぇぇ!?」
今の言葉は確かに自分が発した言葉だ、動揺して変な声まで聞こえてしまったが...間違いない。
どうなっているんだ?今のは本当に僕の声?でも僕が言おうとした言葉だし...間違いはない。
大きくなった服、小さい女の子のような可愛い声、他に何か変な所は無いかと見回してみると、白く綺麗でサラサらとした髪のような物が見えた。
よく見てみると、それは自分から生えているものとわかる。
その白い髪は、自分の腰の下くらいまで伸びており、風に吹かれてなびいている。
髪を見ていて気づいたのだが、かなり目線が下がっている事に気づいた。
変わった声 ぶかぶかの服 可愛らしい女の子の声 さらさらとした白く綺麗な髪 そして下がった視線.... 確実に自分の身に何かが起こっている。
......一体、何が起こったんだろうか?