第7話 ハルの美尻とほっぺの紅葉?
いや〜、参った参った。
まさかハルがお手洗いしてるとはさすがの俺も空気が読めなかったぜ〜。
ハルの綺麗なお尻が頭から離れない。
柄にもなくドギマギしてしまった。
見た?っていうから正直に見ちゃったって言ったらコレだもんなぁ。
お陰様で左頬のもみじがジンジンする。
おそらく紅く腫れ上がっていることだろう。
なんだよ、最初にトイレって言ってくれりゃあ心配なんかしないだろうが。
チクショー、ほっぺた痛ってぇ。
しかも変態だの痴漢だの言われたしな。
俺ら彼氏彼女だろうが。
ブツブツ待つ事さらに数分。
どうやらハルが戻ってきたようだ。
「シルヴィー、お待たせ〜。」
おい!俺には一言も無しかよ!
「ソラくんなんか知らな〜い、フン。」
あ〜あ、怒ってら。
旅立って早々険悪な雰囲気に包まれる。
「だからさっきも謝ったじゃねぇかよ。ごめんなって。」
「プンプン〜。」
ダメだ、今は何を言っても聞いてくれない。
まぁ、熱りが冷めるのを待つしかないか、トホホ〜。
一難去ってまた一難かよ。
ま、今回は別な意味だが。
シルヴィーは意味が分かっていないのか俺とハルを交互に見回しながら困ったような顔をしていた。
シルヴィーがしきりに俺の左頬をペロペロ舐めてくれる。
なぐさめてくれてるのか。
ありがとよ。
もう1時間程歩いただろうか?
俺はあることに気付いた。
そう、慣れない緊張からか、すっかり忘れていたが、お腹がすいてきた。
しかし、弁当はカバンに入れたまま地球に置き去りだ。それはハルも同じ。
さっきからハルのお腹がグ〜ッと鳴っている。
そろそろ機嫌治ったろうか?
「腹減ったぁ〜。」
「そうだねぇ、お腹すいたねぇ〜。」
おっ、機嫌治ったみたいだ。
良かった良かった。
村まで後どのくらいだろうか?
まだ戦闘は一回しかしていないが、このまま着けるに越したことはない。
と思ったらまた気配を感じた。
すぐさまシルヴィーがハルのフードに移動する。
「ハル、またモンスターかも。何かいるぞ。」
「うん、分かった。ソラくんを援護するよ。」
ハルはすぐさま詠唱を始める。
俺は気配のする方に視線を向けつつエトワールを構える。
だが、向こうもなかなか出てこない。
ハルの補助魔法の詠唱が終わった。
「天駆」
おっ、身体がさらに軽くなった感じがする。
よし、こっちから仕掛けてみよう。
リザードマンは俺の速さについてこれなかったからな。
俺はグリフォーンクロアックを目深にかぶり、走り出す。
一気にトップスピードまで加速しモンスターの気配がするところまで移動した。
すると一匹のオークだろうか?
棍棒を持ったデカいモンスターがいた。
3メートル級だ。
俺はそのまますれ違いざまに棍棒を持つ右手首に狙いをつけ一閃する。
「疾風斬りっ!」
シュパーン。
目にも止まらぬ速さで斬りつけたオークの右手首はあっけなく切り落とされた。
そのまま背後に回り込み一閃。
スパーン。
オークの背中がパックリ裂ける。
しかしトドメはさせなかった。
なかなかデカいので、生命力もタフなんだろうな。
オークが怒ってこっちに振り向いた。
だが遅い!
今度はオークの左腕に一閃。
シュパーン。
早い斬撃を浴びせる。
左腕が落ちるのを確認し、今度はガラ空きの胴を一閃。
ザシュッ。
オークはあっけなく崩れ落ちる。
まだ息があるようだが、トドメを刺す。
ブシュッ。
俺はオークの大きな胸の真ん中にエトワールを突き立てた。
とその時後ろからもう一匹のオークが現れ、棍棒を振り下ろした。
しまった!
一匹だと思って油断した。
殺られる。
一緒そんな思考がよぎったが、振り下ろされた棍棒をすかさず左腕の彗星の腕輪で受ける。
ガキィーン。
甲高い音がしたが、ダメージは無い。
良し、イケる。
俺はすぐさまガラ空きの胴を力一杯一閃。
ザシューッ。
二匹目のオークも地に倒れ伏した。
だがトドメは刺さない。
まだいる気配がするからだ。
敵に隙を見せるとまた殺られる。
俺は油断なく構えなおす。
後ろからハルがやって来た。
「うわっ、大きいね〜。これ何ていうモンスター?」
ハルが話しかけてくると同時にモンスターの気配が遠ざかって行く。
どうやら勝てないと察して逃げていったようだ。
「多分オークじゃないのか?」
俺は二匹目のオークにトドメを刺しながら答えた。
オークの攻撃を受けた左腕は全然何ともないが、何故か左頬の大きなもみじがまだジンジンしていた・・・。
女の子は怒らせるととんでもない力を発揮するようだ。
俺は女の子を怒らせてはいけないと学習した。
「あのさ、ハル。今度からはちゃんとお手洗いって言ってくれな。」
俺は左頬を、さすりながら懇願したのだった。