第6話 初めての戦闘⁉︎
勇ましくシルヴェスタの巣を出た俺たち一行は、死火山を下る。
目指すはべオン帝国のティルト村。ここから歩きだと半日程だそうだ。
シルヴェスタが教えてくれた方角へまっすぐ歩く。
この辺りは死火山なので周りには木々が生い茂っていて見通しはあまり良くないし、歩きづらい。
いわゆる獣道が続く。
「結構歩きづらいなぁ。大丈夫か、ハル?」
「うん、まだ大丈夫だよ〜。ソラくんがゆっくり歩いてくれてるから、えへへ〜。」
シルヴィーは俺の肩の上に乗っかって居眠り中だ。
まぁ今はまだ重くないからいいけどな。
この先重くなってきたら問答無用で落っことしてやる。
しばらく進むと俺は何かの気配を感じた。
何だろう?何かいるな。
「ハル、この先に何かいるぞ。注意しろ!」小声で囁く。
「うん。」
俺たちに緊張が走る。
空気に気付いたシルヴィーは、ハルのフードに隠れた。
意外に怖がりなドラゴンだな。
そんな事を考えながら俺とハルはエトワールと杖を構える。
『ガサガサッ』
茂みから飛び出して来たのは何というかトカゲ型の人間みたいなモンスターだ。
リザードマンってやつか?
エルシオンに来て初めて見たモンスターだ。
武器は持っていないが、デカいキバに噛まれたら痛そうだ。
体長は2メートル級。俺の身長は155だからデカく感じる。
俺は剣先に集中し、先制攻撃とばかりにエトワールで素早く奴の左肩口を斬りつけた。
気合一閃。
ザクッ。
鋭い音がしてリザードマンの左腕が落ちた。
「ギョア〜〜!!」
リザードマンは、左腕を落とされていながらも、大きな口を開けて俺に突っ込んできた。
俺の前で旋回し長い尻尾が迫る。
ハルが後ろから魔法を唱える声が聞こえた。
俺は避けずに屈んでエトワールで受け流し、再度斬りつける。
パシュッ。
今度は奴の尻尾が中程まで裂けた。
イケる。
そう思った時にはハルの詠唱が終わった。
「焔の迸り」
リザードマンの足元から火柱が上がる。
ゴオォォォ〜。
リザードマンは叫ぶ間も無く炎に包まれて瞬く間に灰になった。
「やったな、ハル。やっぱスゲ〜な魔法って。一撃じゃんかよ。」
「うん、この杖で魔法唱えたらすごいの〜。何かね〜、周りから魔力を集めてくれるみたいな感じぃ。」
へぇ〜、魔力を増幅する効果でもあるのかもしれない。
他にモンスターの気配は感じないのでエトワールを鞘にしまった。
何とか初めての戦闘でリザードマンを仕留めることに成功した。
やはり竜の加護のおかげか、身体が軽い。
一撃目に斬りつけた時に感じたが、リザードマンには俺の動きが目で追えてなかった。
シルヴェスタ様々だ。
奴の焼け跡には鱗が残っていた。
戦利品か、とりあえず持っておこう。
金になるかもしれないし。
「さてと、じゃあ先へ進もう。日が暮れるまでには村へ着きたいしな。」
「うん、そうだね、ハルはまだまだイケるよ〜、えへへ〜。」
再び歩を進めていく。
今の戦闘では一匹だったが複数で襲われると厄介だな。
俺なら敵の攻撃をかわせるが、運動音痴のハルでは無理だろう。
そんな事を考えながら進んでいると、
「ソラくん、シルヴィーとココでちょっと待ってて〜。」
「ん?どうした、ハル。」
「いいから、いいから〜。ココで待機しててね〜。」
ハルは俺とシルヴィーを残してそそくさと茂みの向こうへ消えていく。
一体どうしたんだ?1人で行くなんて。
・・・。
とりあえず待つこと数分。
ハルはまだ帰ってこない。
何かあったか!
心配になってきた俺はハルが進んでいった方角へ急ぐ。
いない!どこだ?ハル!!
俺の中で焦りが生じる。
竜の加護を受けているとはいえ、ハルのやつは運動音痴だ。
1人の時にモンスターに襲われれば殺られるかもしれない。
っと茂みの中を走り回ると先に白いローブが見えた。
居たっ。
ハルだ!
俺はすぐに駆け寄る。
「きゃあ!!」
「えっ!?」
俺はハルのそばに寄って気付いた。
見てしまった。ハルの・・・、その・・・、
「もお、ソラくんの馬鹿ァ〜!!変態!痴漢!最低〜〜!!」
美尻を。
綺麗な白いお尻でした。