第2話 未知との遭遇、バカデカいトカゲ?
俺たちは風の来る方へ歩き出した。
長い。ホント長いッス。
地下道を歩き出してから30分は経っただろうか?
一向に出口に辿り着く気配がない。
地下道自体は、それなりに広いので並んで歩く分には問題ないが。
「なぁ、ハル、この地下道やたら長くないか?」
「そうだね〜、学校遅刻しちゃうよね〜。」
あぁ、そうだ。どこに出るのかわからんが、完全に遅刻するのは間違いない。
「それもそうなんだか、何か空気が違うくねぇか?しかも何かゴォー、ゴォー音が聞こえるしよ。」
俺はさっきから気になっていた事を歩みを進めつつ聞いてみる。
「う〜ん、そうだねぇ、何か獣臭い匂いだね〜。音は風の通る音かな〜?」
ん〜、やはりだ、どうもさっきから嫌な匂いがプンプンすると思ってたが、やはり獣の臭いか。
「犬か猫でもいるのかな〜?」
歩みを進めると開けた空間に出た。
四方が40メートルぐらいの空間だ。
「ハル、犬や猫ならまだマシだと思うんだが、どうも違うような気がするぞ。」
ハルも目を凝らして先を見回す。
俺は開けた空間の奥の台座のような所に鎮座する獣を見て戦慄した。
ヤバいぞ、何だあのとんでもないバカデカい奴は。
心拍数が一気に跳ね上がる。
「おい、ハル、ヤバいぞ。見たこともないデカいトカゲがいやがる。」
俺は声のトーンを落としてハルに耳打ちする。
「ホントだね〜、おっきいねぇ。アレってファンタジーに出てくる竜みたいだね〜。」
何て緊張感のない返事をするんだ・・・汗。
確かにファンタジーによくある竜の様に見えなくもないが、そもそも地球に竜なんているのか?
居たら居たで世紀の新発見だ、なんて喜べる状況じゃねぇ〜泣。
まさかなぁ、ただデカいだけのトカゲであってくれと祈る。
しかしデカい、ゆうに30メートルはあるだろうか?
40メートル四方しかないこの空間は竜には狭いように感じた。
人間なんてきっと一口だろう。
台座の上でとぐろを巻くようにデカいイビキをかきながら眠っている。
俺の額を汗が流れる。
ゴクッ。
飲み込む唾の音が地下道に響いた気がするぞ。危ねぇ〜汗。
「でもソラくん、あのおっきい竜寝てるよ〜。」
ハルが緊張した面持ちの俺に囁く。
「なぁ、ハル、このままゆっくり音を立てずに進むか?、それとも竜がいなくなるのを待つか、どっちがいいと思う?」
「えっとね〜、このまま進んでも大丈夫だと思うよ〜。」
「やっぱりか、竜イビキかいてんもんなぁ。」
さっきから聞こえていたゴォー、ゴォーという音は、風が通る音かと思ったら、どうやら竜のイビキだったようだ。
俺は意を決してハルの手を握り壁伝いにそ〜っと歩く。
慎重に、慎重に、音をたてないように。
目の前に竜の顔がある。
鼻息が当たる度に前髪が揺れる。
生きた心地がしない。
頼むから目を開けないでくれと祈りながら歩をゆっくりと進めていく。
汗が止まらないぜ。
10メートル程進んで立ち止まり、視線をハルの方に目を移す。
ハルも軽やかな足取りで後をついてきている。
何でそんな緊張感のない軽やかな足取りなんだ、ハルは怖くないのか?
しかもニコニコしていやがるし。
ハルのいつもの「えへへ〜。」が聞こえる気がする。
とりあえずハルの方は問題なさげなので、繋いだ手に少し力を込め、視線を竜に戻し、進み始める。
やっと20メートル、デカい前足の辺りまで来た。
よし後半分だ。
竜はまだ夢の中だ。
大丈夫、イケる。
少し歩みを早める。
はやる気持ちを抑えながら歩を進め、後10メートル。
一気に走って行こうか迷う。
しかし陸上部の俺は足には自身があるが、ハルは全くの運動音痴だ。
2人では早く走れない。
このまま歩こう。
その時だった。
ゴロッ。
何かが台座から転がり落ちた。
俺たちがサッと壁際に伏せるのと同時に、竜が頭を上げた。
心臓止まりそう、泣きそう、ヤベェー、超ヤベェー。
こっち見んなよ〜、気付くなよ〜と祈りながら息を殺す。
どうやら台座から丸っこい石ころが落ちたようだった。
運の悪い事に何故かこっちに転がってきやがる。
コロコロと、そりゃあもう一目散にコロコロと。
ってヤバッ、竜が俺たちに気付いた!
俺は立ち上がり、ハルの手を引いて一目散に出口であろう方へ走り出す。
竜が怒ったように吠えた。
『グオォォォ〜〜〜ッ!!』
竜の咆哮によって、突風が吹き荒れる。
「ハル、急げ、気付かれたぞ!」
「精一杯急いでるよ〜。」
と言いつつも遅い。
後10メートルが遠い。
運動音痴め。
あっという間に竜の起こした突風が俺たちを吹き飛ばす。
「ぐぁ〜っ。」
俺は吹き飛ばされながら体をハルの方へ入れ替えた。
「きゃっ、スカートがぁ〜。」
ハルはスカートのすそを押さえながら俺の方へ飛んでくる。
俺は吹き飛ばされた勢いで背中からしたたかに激突した。
「ぐゔぇ〜。」
そんなうめき声も漏らしながら壁とハルの身体でおもいっきりサンドイッチにされ、俺は不覚にも意識を失った。