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第18話 レソトの奴隷商⁉︎

俺はキメラが落としたアイテムを手に取りながら、サイフォンに聞く。

「そういやこれって売ったらそこそこ金になるのか?」

「はい、ハーピィはそれ程ですが、キメラはレートによってはそこそこの金額にはなりますね。今は帝国クエストに名前が挙がってますので、高く売れると思いますよ。」

「そうか、じゃあ今のうちにたくさん倒しておく方がいいな。」

「うん、そうだね〜、アレぐらいの敵だとソラくんと私がいれば、まだまだ楽勝だね〜、えへへ〜。」

確かにあのレベルのモンスターなら手こずる程の敵ではない。

だが、もし俺やハルより強いモンスターが現れるとも限らないわけだから、そこは安易に考えてはいけない気がする。

特に今俺たちが居るこの異世界では油断は死に直結する。

「ハル、今はそうかもしれないが、この先きっと強いモンスターに出会うことになると思う。油断しちゃあダメだぞ。」

「はぁ〜い。」

ったく本当にわかってんのかな、ハルは?

まぁ、俺が前線で頑張りゃあ済むことか。


「サイフォン、この辺りのモンスターは、これ以上強い奴はいないのか?」

「そうですね、山の方からの下りてきてなければキメラ以上に強いモンスターはいないはずです。

ただこの辺りの山の方にはロック鳥が、沼池にはヌエも生息していますので、出会う事もあるかもしれません。キメラ以上に厄介な相手ですが、ソラ殿の速さをもってすれば、恐らくは敵ではないかと。」

「そうか。そのロック鳥とヌエはどういう風に厄介なんだ?」

「ロック鳥というのは、口から吐く息に石化の効果があります。ヌエは雷獣とも呼ばれ、攻撃そのものに、麻痺の効果があるのです。油断すれば一気に全滅も有り得る難敵です。」

「なるほどな、状態異常は厄介だな。」

「状態異常を防ぐ装備をして挑むのが基本ですね。」

「なぁ、ハル。ハルなら魔法で治せるんじゃねぇ?」

「うん、大丈夫だよ〜。毒や麻痺、石化くらいなら治せるよ、えへへ〜。」

「じゃあ万が一俺が状態異常になった時は頼むわぁ。」

「はぁ〜い、任されました〜。」

まぁ、俺の速さにそうそう追いついてこれるモンスターがいるとは思えないが、治せるならば安心だ。


「あのう、先の方に馬車が停車しておりますが、どうしますか?」

御者がサイフォンに指示を仰ぐ。

「何かあったのか?とりあえず近くまで行ってくれ。」

「わかりました。」

御者は前方の馬車近くまで移動させる。


すると前方の方から男が現れ、

「おぉっ、旅のお方、すみませんが手を貸してくれませんか?ちょうど前輪が穴にハマって身動きが取れなくなってしまいまして。」

「そうですか、わかりました。ソラ殿、我々で馬車を押して来ますので、しばしお待ちを。」

「俺も行くよ、ハルはシルヴィーと待っててくれ。」

「う〜ん、わかった〜。」

「ギャア〜。」

眠そうな顔で答えるハルとシルヴィー。

ったくしゃあねぇな、馬車に揺られて眠くなってきたのか。


俺とサイフォンと御者は、動けなくなっていた馬車の方へゾロゾロと歩いて行く。

一見脱輪してるようには見えないがな。

「じゃあ後ろを押しますよ〜。」

サイフォンが声をかけ、皆で押そうとすると、


「かかったぁ、やっちまえ、野郎ども!」

野太い声と共に茂みに潜んでいた奴らが一斉に俺たちに襲いかかってきた。


ちぃ、油断した。罠だったのかよ、こいつら盗賊か?


数は20人程だが、一斉に来られると御者やサイフォンを守りきれない。

俺はすぐにエトワールを抜き放ち、前に出て構える。


「ハル、こいつら敵だ!気を付けろ!!」

俺は馬車の中で待っているハルに叫びながら、迫り来る賊共を迎え討つ。


賊の3人が俺目掛けて切りかかってきたが、遅い。

2人の間をすり抜けながら、振り向きざまに横薙ぎ。

背中から斬撃を受けた呆気なく2人は倒れ伏す。

それを見ていた3人目は、ターゲットを御者に切り替え、剣を振るう。

俺に背を向けたガラ空きの背中を一刺し。

3人目は剣を振り切る前に倒れ伏した。


「助かりました、ありがとうございます。」

「ああ、その辺りでじっとしていてくれ。」

俺はサイフォンと御者に言って、次の獲物を探す。


「あの緑の小さい奴動きが速いぞ、あのチビを殺れ!」


一言余計だ。

イラっとしたので、一足飛びで吠えた奴の所まで行き、

「そんなっ⁉︎速すぎる!!」

「チビで悪かったな、デブ!死んで詫びろ!」

そんな悪人のような捨て台詞を吐きながら斬り捨ててやった。

偉そうな事を言ってた奴がアッサリやられたところで、賊共は敵わないと悟ったのか総崩れになった。

散り散りに逃げ出す。

御者とサイフォンも無事だし、1人くらいは生け捕りにしなければ襲われた理由がわからんな。

俺は逃げ足の遅い奴に狙いを定めてダッシュ。そいつの首根っこ引っ掴む。


ガシッ。


「うわ〜、助けてくれ〜。」

「おい、動くな!」

俺が低い声で脅すと、剣を捨てて尻餅をつく賊。

「ひぃぃ〜、嫌だ、死にたくない、死にたくないんだぁ、頼む助けてくれ〜。」

「おいおい、お前らが勝手に襲ってきたんだろうが。一体どんな理由で襲ってきたんだ?話せば見逃してやらん事もない。」

「あぁ、わかりました、わかりました。話しますよ。俺たちはこの先のレソトに居を構える奴隷商に雇われた盗賊なんす。適当に弱そうな人を拐って奴隷商に連れて行くんです、それが仕事ッス。でもさっきアンタがボスをアッサリ殺っちまったもんだから総崩れにになったんすよ。偵察の奴はギルドランク3の弱そうな奴らが来たって言うから飛び出してみれば、アンタくそ強いんすもん。」

「そうか、ちょうど良かった。俺たちはレソトに向かう途中だ。その奴隷商の所まで案内してもらおうか。」

「わかりやした。命取られねぇならおとなしく言う事聞きやす。」

「ということだ。サイフォン、済まないがレソトの奴隷商に用事ができた。潰しに行く。」

「わかりました。ではその賊も同行させましょう。」

奴隷、この星にもそんな身分の人達がいるのか。

胸糞悪いぜ。

絶対潰してやる。


俺たちが馬車に戻ると、ハルとシルヴィーはスヤスヤと眠っていた。

こいつら緊張感ねぇなぁ。

結局必死だったのは俺だけか。


「あの〜、あっちの馬車にも1人捕まった女の子が乗ってんすよ。」

「おい、何でもっと早く言わないんだ。」

「すんません、必死だったんで、すっかり忘れてたんす。」

「仕方ない、サイフォン、ちょっとのぞいてくる。少し待っててくれ。」

「はい。」


俺は前方に止まっていた馬車に近づく。

確かに人の気配がするな。


コンコン。

「おい、大丈夫か?」

俺は馬車にノックして声をかけてみた。

「うん。」

「そうか、今助けてやる。」

俺が馬車の扉をこじ開けると中から若い獣人の女の子が出て来た。

12、3才くらいだろうか?

毛はフサフサで頭には猫耳がある。

「俺はソラだ。君は?」

「うちはラコルーニャ。見ての通りの猫の獣人や。昨日ヘマして捕まって、奴隷にされてしもてん。助けてもろていきなりで悪いんやけどなぁ、兄やん、ウチを兄やんの奴隷にしてくれへん?」

「はぁ?何をっ!」

「この国では奴隷に落とされたら、一生奴隷のままやねん。身分が変わることはないねん。それやったらウチ、助けてくれた兄やんの奴隷がいいわ。」

ガシッと両手で俺の胸ぐらを掴んでくるラコルーニャ。

目を見ると必死さが伺える。

その顔は決して冗談を言ってるのではないと思わせる。

「まぁ、ちょっと待て。そんなに焦るな。あっちの馬車で仲間が待ってるから、とりあえずそこで話そう。ついてこい。」

「うん、分かった。」

俺はラコルーニャの手を引いて馬車まで連れて行き、馬車に乗せた。

「サイフォン、済まない。もう1人増える。この子はラコルーニャだ。」

「だと思いました。こんな所で置き去りというのも可哀想ですしね。」


馬車でラコルーニャの今後の処遇について話すことになった。

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