表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/30

第17話 目指すはレソト⁉︎

サイフォンの馬車に乗り込んだ俺たちは、御者に任せて車内でくつろぐ。

一応何かに出くわしたらすぐに呼んでくれとは言ってある。

「サイフォン、レソトまではどのくらいかかるんだ?」

「そうですね、順調に行きますと明日のお昼頃には着くかと思います。」

「そうか、結構かかるんだな。ということはどこかで夜営するわけか?」

「はい、馬の疲れ具合にもよります。それと夜はモンスターの動きが活発になりますので、あまり動かぬ方が接触が減ります。夜の戦闘はそれなりに危険ですので、余程実力のあるギルド員を雇わない限りは難しいでしょう。」

「なるほどな。」

「ソラ殿とハル殿がいれば夜間移動も可能かと。」

俺たちはお昼を食べてから村を出たので、すでに昼は回っている。


そういえばこの二日でシルヴィーが少し大きくなった気がするな。

「ハル、シルヴィーちょっと大きくなったよな?」

「うん、そうだね〜。ちょっと体格がしっかりしてきたよね〜、シルヴィー。」

「ギャアギャア〜。」

っていってもまだ体長30センチくらいだがな。

牙も少しずつだが出てきているみたいだ。もうすぐちゃんと肉を噛めるようになるだろう。今は飲み込むしかできないようだ。

歯が生え揃った時には人を噛むなって教えてやらねば。


「モンスターが、この先にモンスターが出ました!」


御者が叫ぶ。


「よし、ハル、久しぶりの戦闘だ。気を引き締めて行くぞ!」

「うん!」

「シルヴィーは中で待ってろ!」

「ギャア〜!」


俺とハルはすぐさま馬車から飛び降りて、敵を確認する。


「アレはハーピィとキメラの群れのようです!ハーピィの空中からの攻撃に気を付けて下さい。キメラは頭が二つあり、尻尾は蛇の頭のようになっています。手数が多いのでご注意を。」

「ああ、わかった。」

サイフォンにどんなモンスターかを聞き、俺はエトワールを抜いて駆ける。


「ハル、数が多いぞ。補助を頼む!」

「うん、ソラくん、頑張って〜。」


距離は約50メートル程先だ。

俺はその距離を一瞬にして詰める。

こりゃあオリンピックでメダル取れるな。

そんな事を考えつつ、俺がモンスターに接近する間際にハルの援助魔法が発動する。


加速(アクセルブースト)!」


俺の速さがさらに加速する。

途端に敵の動きがえらくのろく感じる。

俺は目の前のキメラに攻撃を仕掛けた。

「疾風斬り!」

ヒュンヒュン。

二連撃で左の翼とワニのような頭の方を斬る。

翼はスパンと簡単に切断できた。

ワニ顏も口元が無くなっている。

「ギョワ〜!」

キメラのライオンのような頭が俺に迫る。

しかし、遅い!

俺は斬撃を返してながら、素早く後ろに回り込み、エトワールを振り上げ、尻尾を根元から切断。

このまま押し切る。

気合を込めて上から下にエトワールを振り下ろした。

「行くぞ、大切断!」


シュパーン。


小気味いい音を立てて1体のキメラが胴の部分で縦に両断され崩れ落ちた。

まずは1体。

俺の動きに出遅れたモンスター共が一斉にしかけてくる。

ハーピィが鋭いかぎ爪で飛び混んできたが、軽くいなしてカウンターで一撃を見舞う。

ハーピィの羽か腕かわからない部分を切り落とし、返す刀で背中から一閃。

こいつは脆い。

これで2体目。

俺は次のモンスターに狙いを定めて駆ける。

まだ10体程居やがるな。

キメラが後4体にハーピィが後6体だ。

次のキメラに狙いを定めた瞬間、ハルの攻撃魔法が炸裂。


焰の舞(フレイムストーム)!」


空中に居た6体のハーピィ共が炎の嵐に包まれる。


「キュルルルルゥー。」


ハーピィ共は豪炎の嵐に薙ぎ払われ、断末魔の悲鳴を残して灰塵と化した。


「ハル、スゲ〜じゃん。かなりの広範囲を一掃だな。」

「うん、えへへ〜。」

俺も負けてられないな。

目の前のキメラに狙いを定め、渾身の横薙ぎ一閃。


「はぁ〜、真空斬りぃ!」


素早い横薙ぎにより圧縮された真空の刃がキメラを襲う。


ザシュッ。


キメラがあっけなく真っ二つに。

俺はそれを確認すると同時に次の獲物へ駆ける。

身体がまるで風のように軽い。


「す、すごい!」

サイフォンが改めてソラの闘いぶりに驚きの声をあげる。


俺はそのままの勢いで残りの3体のキメラも難なく蹴散らし、ふぅ〜っと一息ついた。


「やったね、ソラくん!凄いよ〜。」

「ソラ殿、やはり惚れ惚れする素晴らしい闘い振りですね。いゃ〜、間近で見ると凄いです。流れるような無駄の無い動きと剣さばき。お見事です。」

「おう、そんなに褒めても何も出やしないぞ。ハルの魔法も凄かったぞ。アレでハーピィは一掃だったしな。」

「てへへ〜。」

ハルは満面の笑みを浮かべる。


俺もまぁ嬉しくないわけではないが、サイフォンの奴は買い被り過ぎだ。

あくまで俺の力は竜の加護の影響だからな。

ホント、シルヴェスタに感謝だな。この加護の力が無ければ、恐らく最初の闘いで命を落としていただろう。


俺はキメラ共の残した翼や尻尾、毛皮をサイフォンからもらった袋に入れる。一応キメラは帝国クエストの討伐対象だからな。

ハーピィの残したものはハルに渡しておこう。


「では先へ進みましょう。」

「ああ。」

皆乗り込み、馬車はレソトへ向けて走り出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ