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第9話 ティルト村のランカル亭食⁉︎

俺たちはサイフォンの計らいもあってすんなり村に入れた。


「ここがティルト村かぁ。」

初めて見る村の様子に興奮して、ついつい周りの建物に目をやってしまう。

建物は弥生時代の高床式のような様式の木造建てが多い。

文明的には地球の方が進んでいるように思う。

一際大きな建物の前まで案内され、

「こちらで少々お待ち下さい。」

と待たされる事数分。


サイフォンと年輩の人が出てきた。

「お待たせ致しました。サイフォンから話を聞きました。村長のディフォルトと申します。小さな村ではありますが、どうかゆっくりしていって下さい。」


「ありがとうございます。俺はソラで、こっちがハルです。」

「は〜い、ハルです。お言葉に甘えさせてもらいますぅ。」


「では村長、旅のお方はお食事されたいそうなので、ランカル亭に案内してきます。」

「ああ、サイフォン頼む。ソラ殿、ハル殿、ごゆるりと。」

「助かります。」

俺が答えると村長はいそいそと建物の中へ戻っていった。


「ではランカル亭へ案内します。こちらです。」

いよいよ食事かぁ。どんな料理があるんだろうな?

ペコペコのお腹を満たしてくれるうまいものがあるといいなぁ。

「そういやハル、俺たちお金持ってなかったぞ。どうするつもりだ?」

俺はハルに囁く。

今更ながら所持金0の現状に気付いた。

「あ、それならシルヴェスタさんから少し持ってた方がいいって渡されてるよ〜。だから大丈夫だと思うよ、えへへ〜。」

知らなかった、いつの間にそんな事まで。

シルヴェスタの計らいにまた感謝した。


「ここがランカル亭です。オススメはもちろんランカル亭食です。ランカルの肉は柔らかく脂が少なくて非常にうまいんです。」

俺たちは空いてる席に座って、

「そうか、じゃあ俺はそれで。」

「ハルもソラくんと同んなじもので〜、えへへ〜。」

「ギャアギャア〜。」

あ、シルヴィーも同んなじやつでいいか。

結構可愛いめの店員さんが注文を取りにきた。

「すまない、ランカル亭を3つ頼む。」

「私もご一緒しますので、4つでお願いします。」

サイフォンもランカル亭食にするようだ。

まぁ、自分で薦めておいて他のやつを注文するのもどうかと思うがな。

「ランカル亭食4つですね、すぐ用意しま〜す。」

笑顔で対応してくれてカウンターに戻っていく。


店はそれなりに賑わっているようだ。

昼間っから酒飲んでるやつもいるしな。

絡まれないようにそっちは見ないようにした。後々面倒な事になるのはごめんだからな。


程なくして料理が運ばれてくる。

「お待たせしました。ランカル亭食で〜す。」

「おおっ、うまそう!」

「さぁさぁ、熱いうちにお召し下さい。」

「「いただきまぁ〜す。」」

へぇ〜、これがランカルの肉かぁ。うまいな。牛肉のステーキみたいだ。

俺はランカルの肉に舌鼓を打つ。

横を見るとハルはナイフとフォークを上品に使って肉を切ってシルヴィーにあげている。

それをうまそうに頬張るシルヴィー。

付け合わせのサラダも新鮮でうまい。地球の野菜とは色も種類も違うみたいだが、味はこっちの方が断然うまい。農薬とか使ってないんだろうなぁ、きっと。

「お気に召しましたかな、ランカルの肉は?」

「ああ、サイフォン。ランカルの肉はうまい。腹ペコだったから助かったよ。」

「はい、とっても美味しいで〜す。ねぇ、シルヴィー?」

「ギャア〜。」

シルヴィーも気に入ったのかご機嫌のようだ。

「それは良かったです。お気に召されたのようで何よりです。それにしてもお二人はかなりお強いのですね。サイクロプスをいとも簡単に倒されてましたね。」

「まぁ、一撃では倒せなかったがな。」

「この辺りにはサイクロプスを一撃で倒せる者などおりませんよ。」

しまった。余計な事を言ったか。

「そうなのか、山奥の方で修行をしてたからかもな。」

俺は適当に言い訳をする。

「そうなのですか。それはさぞ厳しい修行だったのでしょうね。

ハル殿は魔術師でおられるのですね。あの距離から正確にサイクロプスの上半身を爆破するなど、なかなかできませんよ。」

「えへへ〜。ちょっと加減を失敗しちゃいましたけどね〜。」

「いえいえ、お助けいただいたのは変わりません。そこでお二人の強さを見込んで、少しお願いをしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ん?何だ?とりあえず話を聞こう。俺たちでできる事なら協力するよ。」

俺はランカルの肉を頬張りながら言う。

「ありがたい。実はこの村の西、レソトを経由してべオン帝国の帝都ベオルーンに行く予定でした。

ですがここ最近強いモンスターが村の付近にも現れるようになりまして、先程も馬車が壊されてしまいました。

もう一つ馬車があるのですが、もしよろしければ護衛として随行いただきたいと考えております。

もちろん相応のお礼は致します。」

「ふむ事情はわかった。だがすぐには行けない。この村に立ち寄ったのには理由があるんだ。」

「あの〜、私たちはこの村に古くからある言い伝えについて調べているんです〜。」

ハルが美味しい所を持っていく。

「そういうことなんだ、この村の言い伝えを調べてからでいいなら随行しても構わないが。」

「そうでしたか、それ程急ぎませんので、私もご協力致します。」

「そうか、サイフォン助かる。」

「いえ、こちらこそ助けていただいた上に、護衛まで引き受けて下さるなんて感謝しきれません。」

「いや、俺たちも長年山奥で過ごしていたので、道中いろいろ教えてもらえると助かる。」

「もちろんでございます。」

こう言っておけば、サイフォンからいろいろとこちらの情報を聞きだせる。

俺はハルに話がうまくいったとアイコンタクトを送る。

ハルは、シルヴィーを撫でながらいつものえへへ顏をしていた。


一応話はまとまったので、食事終えて、サイフォンの案内で村の宿へ移動した。

「あの〜ソラ殿、部屋はハル殿とご一緒でよろしかったですか?」

「ん?あ、いや、別々の部屋で頼む。」

「そうですか、では二部屋でお取りします。」

「あ、サイフォンさん。私はソラくんと一緒の部屋でいいです!」

えっ、ハル何言ってんだ?

俺の部屋にお泊りもした事ないのにか?

いろいろ想像してしまう。

俺だって高校生だぜ。下半身の方もそれなりになぁ。

「ハル、おいっ、いいのか、本当に俺と一緒の部屋で?」

「うん、ソラくんの隣で眠りたいの、えへへ〜。」

こう言われると悪い気はしない。

「まぁ、ハルがそう言うならいいか。すまんが、やはり一部屋にしてくれ。」

「はい、では一部屋でお取りします。」


部屋へ案内され、一息つく。

「ふぅ〜。」

「結構広いねぇ、ベッド一つだねぇ、えへへ〜。」

その顏やめれ。ムラムラしてまうやないか〜。

「この後はいかがされますか?早速言い伝えの方をお調べしますか?」

俺は伸びてた鼻の下を即座に戻して、

「いや、今日はさすがに疲れたので、明日から調べようと思う。」

「わかりました。また明日の朝お声をかけます故、私はこれで失礼致します。今夜は良い夜をお過ごし下さい。」

「ああ、今日は世話になった。また明日よろしく頼む。」

「はい、では失礼。」


ガチャ。


サイフォンは扉を開けて、一礼して出て行った。


サイフォンの野郎、一言多いぜ。

何が良い夜だよ。

今夜は寝れないかもな。

ハルとのエッチを想像しつつも、俺はいつの間にか眠り込んでしまっていた。


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