王宮編7
そんなことをつらつらと考えると、王子が話しかけてきた。
「それにしても本当によかった…昨日も私の腕の中で
気を失ってしまわれて、本当に心配で、夜も寝れませんでした。
顔色も戻っていらっしゃるようで、よかった。
貴方の顔を一秒でも早く見たかった……」
王子がほっとしたように、とろけるような笑みを浮かべた。
またか!!と思っていると、なぜか背中に、悪寒が走った。
ギシギシという効果音させながら、その方向を見ると、
リリアとライアが、不自然なほど、にっこり笑っていた…
なぜか黒く見えちゃうのは…俺の気のせい…?
「えへ☆くみ様見苦しいとこみるかもしれないんで、
目をつむっていてくれませんか?」
笑顔完璧なのに、まじで、さっきから悪寒止まんねえぇ!!
ごめん王子、俺はこの迫力には、勝ないいい!!
目を閉じると、ものすごく低音の声が聞こえた。
誰の声だったのか、一応記さないことにしておく…。
「クソ王子、私たちのくみ様に色目使うな…
現役は退いたが、まだ若造に負けるつもりはないぞ…?」
「…久しぶりにヤル?お姉ちゃん…この頃王子調子乗りすぎだしいぃ
旧戦豪主対、現戦豪主対決とでもしゃれこみますか?
手加減はしねえぞ…?」
「はん! 面白い…現役の私に勝てると思ってるのですか?
そのうぬぼれ私が正してさしあげますよ!!!」
今にも、バトルが始まりかけたときに、バンっという音をさせて、ドアが開いた。
その音で俺もパッと目を開けてドアの方を見た。
そこには、怒り心頭したような、黒い瞳と長髪をもった、
メガネをかけて、白衣を着た美形がいた。
とりあえず、俺じゃどうにもならないこの状況に来た男が、救世主に見えた、
逆光のせいか、若干後光がさしてるようにも見える。
「…なにを…なされているんですか?」
三人は、その男を見ると、青ざめた。
「「「げ!!!ク、クラトス…」」」
「…げ?とはなんですか?…うふふ
もしかして、元気ですかと聞きたかったのですか?
ええ元気ですよ、有り余るほどです、試してみたいですか?」
青筋を浮かべながら張り付けたような笑みを浮かべているクラトスと呼ばれた男は
般若のようだった。
「「「クラトス違うんだ(の)…こいつ達(このクソ王子)が…。」」」
罪のなすりつけ合いをしようとするとクラトスが不自然なほど楽しそうな笑顔で、
「そうですか…実はこの前、実験用モルモットが、にげてしまってねぇ…
困ってたんだ…ああ、こんなところにちょうどいい実験台が三匹も…。」
目に本気が入ってるような…。
「「「ひっ!!」」」
3人ともシンクロした動きでビクッとすると、固まった。
「なになに…仕事をほっぽり出して、
独断でメイドになったり、影武者置いて公務をさぼったが、
今すぐ戻りたいと…?そうですよ…ね?」
ね?に力が、圧力が…。
「「「はいいい!!!」」」
「じゃあ、どうぞ?」
クラトスがドアを開けると、脱皮のごとく、三人が駆けだした。
3人が出て行ってたのを見るとクラトスはドアを閉めると、振り返りとてもさわやかな笑顔で、
「まったく困ったものですね?」
と言ってきた。
「………。」
え、俺に今言ったの?周りを見回したが俺しかいなさそうだ。
なにもみてなかったら、人のよさそうな笑顔だなとか思ったかもしれないが、
さっきのを見てた俺としては…その笑顔は怖いいいいい
とりあえずこの人だけには、逆らわないことを心に決め、
必死に笑顔を返して何度もうなずいといた。
ちょっと引きつったかもしらないけど…。俺ものすごくがんばった…。
あとがき
新キャラ出ました!!
どっちとも仕事サボって、健太のとこにいたんですよね…。
ああリリアとライアが、どんどん黒くなっていく…。
メイドさんがあ…。
クラトス今のとこ一番の最強キャラ(笑)
まだなぞな人物です。
更新今日の予定ではなかったのですが、
明日半端なく忙しいので、今日にしときました。
次の更新は27日目指します。