閑話 紅の巫女との出会い(王子side)2
彼女は、大きな目を限界まで大きくして驚いた顔をして、絶叫した。
そして、俺の差し出していたマントをすごい勢いで取って、体に巻きつけた。
目には、涙が、にじみ出ていて、軽くフルフルと震えている。
この体勢からだといやがおうにも上目ずかいになった彼女は、
本当にヤバかった。心の中では、理性を総動員と欲望とがすごい戦いをしていた。
ぽろぽろ泣いている、彼女の涙をすくい取って、抱きしめてあげたい。
でも、抱きしめた後、何もしない自信がない。
そんな、不純な思いにわたわたしている俺に
「・・・泣いてるのは・・貴方のせいじゃないですから・・。ただ・・。」
自分が一番つらいはずなのに、俺を気遣って、かばってくれた。
彼女に限界が来た。
「申し訳ございません・・・。」
生殺しでもいいから!!とりあえず彼女を慰めたい。
彼女の頬を伝っていた奇麗な涙を丁寧に、すくい取って、舐めた。
ちょっと塩辛くて、これまで食べた何よりも、優しい味がした。
そして、彼女を抱きしめた。柔らかくて温かい・・。
髪から彼女の匂いがした。そして彼女の白いうなじを見た瞬間
ああ、もう限界かもしれない・・。自分の理性の限界を感じた。
「王子~~~。」その時腹心の部下のリトル達の声が聞こえてきた。
よかった。これ以上は、耐えられる気がしなかった。
でも、少し残念な気が・・もちろんしてないぞ・・。
彼女は、大切にちゃんと俺を好きになってもらってから・・ね?
「こっちだ!!!紅の巫女は、無事保護したぞ!!!」
そう叫ぶと、近くの茂みから、複数の雄たけびというか、歓声が響き渡った。
あいつら、男臭すぎるんだよ・・。彼女は、怯えないだろうか・・。
そんな事を心配していると、茂みをかき分けて、リトル達が次々と茂みから出てきた。
だが、こちらをみると固まる。もちろん彼女に見惚れてるのだ。
牽制で、またぎゅっと彼女を抱きよせて、また柔らかい感覚に酔いしれそうになった。
でも今はそんな事をしている場合ではない。
リトル達を彼女に見えないように思いっきりにらんだ。
彼女は、怖くなったのか、少し身じろぎをした。
「大丈夫ですよ・・見た目は怖い奴らばかりですが、忠誠心も厚く、心配ありません。
僕に、体を預けていて下さい。絶対に、何もかもから、貴方を守りますら・・。」
小声で彼女の耳元で囁いた。そして安心させるように、細いつぶれてしまいそうな体を、
彼女が、力いっぱい抱きしめられていると感じる強さで、抱きしめた。
顔を覗き込むと彼女の顔が赤くなってた。少し、顔がほころびかけていて、
うれしかったのか、安心したのか目には、また涙がにじんでいた。
俺がにっこり笑うと、なんと彼女も小さくだが笑い返してくれた。
至近距離のその笑顔に、俺の理性は、部下の前であることも、
ぶっ飛ばして、ぶち切れた。
「巫女殿・・・。」
彼女が、顔をそむけて、俺の胸を少しの力で押し戻したことで我に返る事が出来た。
俺は、さっき目の前にあった、赤い果実のような唇に口づけをしようとしていた。
俺は、怯えてた、彼女に何をしようとしてたんだ・・。
自己嫌悪に、腕の力が自然と弱まった。
そんな俺を見て、何を思ったのか、彼女が、何かを伝えようと、ジェスチャーをし始めた。
俺の顔を見てから、リトル達のの方を見て、また俺の顔を見て、彼女を抱きしめてる、腕を指差した。
これって・・・。今は、リトル達がいるから、だめってこと・・?か・・・。
それって・・・彼女は俺を拒否してるんじゃなくて、今はダメってことか!!!
わかった!!!そうだよなこんなムードも何もない場所で、人に見られてなんか、恥ずかしいよな・・。
彼女も同じ気持ちなのか!!!!なんてことだ・・・。こんな・・幸せだ・・。
ドキドキしている鼓動を何とか収めて、頷いて笑顔を見せた。
すると彼女もうれしそうに笑顔を返してきた。。。なんて心臓に悪い。
心臓が止まるかと思った・・。俺の勘違いではないんだな・・。
「・・・特別なものは、焦らず後に食べる・・タイプです・・。」
暗号めいた言葉を彼女の耳元にまた囁いた。
でも、さっきのジェスチャーをしてきた彼女なら分かるだろう・・・、
早く城に帰りたい!!キスまでだったらいいだろうか・・。
それともその先まで?ああ早く帰らなければ!!!!
彼女をお姫様だっこした。
あとがき
どうしても、再UPという形でしか、
順番を帰れないようなので、
やむなく再UPという形をとらせていただきますが、
アクセス数を伸ばすためではございませんのでご了承ください