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特別コーチの指定制服

数多くのスポーツでトップクラスの結果を残し続けている私立のS高校に佐伯麗奈は入学する事になった。


麗奈は小、中とバスケットボール一筋で過ごしてきた。そしてバスケの実力のみで高校に入学する事が出来た。部活を継続している限り学費や制服などの金銭面は全て免除となっていた。


入学式も終わり、次の日から早速練習が始まる。


監督の怒号が毎日のように飛んでくる上、体力的にも厳しい練習が続いていたが、麗奈は最高の環境でバスケが出来る事に充実感を感じていた。


先輩達のバスケのレベルも半端ではなかった。しかし麗奈の実力は先輩達に一歩及ばない程度だったので、監督からも一年生で一番の実力だと太鼓判を押されていた。




7月上旬


監督「もうすぐ夏休みに入りますが、合宿のことはみんな覚えていますね?夏休み初日の7月18日から二週間、特別コーチを雇って山奥の宿舎で行う事になりました。7月18日の朝7:00までに体育館に集合しておくように。7:30にはバスに乗って宿舎へと向かいます。」


監督は敬語なのに威圧感のあるいつも通りの口調で、淡々と合宿についての説明を続ける。


監督「合宿へ向かう際の服装に関して、特別コーチからの指定があります。合宿初日の朝に指定の服装へと着替えてからバスに乗る事になります。お越し頂いているスタッフにその採寸を今から行なってもらいます。それが終われば今日は解散とします。」


麗奈「(服装の指定?なんでわざわざそんなことするんだろう、、、)」


その後スタッフによる採寸が行われ、部員達は帰宅する事に。


首周りや手首周りなどかなり細かく採寸されたが、麗奈はそれほど気に留めなかった。




7/18


麗奈は1年生の友達である南原日和と一緒に登校し、6時50分には体育館前に到着した。


そして体育館に入るととてつもない違和感を感じることになる。


既に到着していた数人の部員達の服装が、真っ白なカッターシャツになっていたからだ。リボンもネクタイも何もつけていないのに、第一ボタンまできっちりと留めている。


何より気になったのが、女子部員の首周りを囲んでいる窮屈そうな襟だった。


いつも威張っている先輩と目が合ったが、恥ずかしそうな顔をしており、すぐに下を向いていた。


麗奈と日和は、ド田舎の中学校に迷い込んだような錯覚を起こしていた。


麗奈「指定の服装ってこういうこと、、、?」


日和「うわ、、、ちょっとダサすぎない、、、?」


麗奈「ダサいね、、、みんな着てるって事は私たちも着ないといけないみたいだね、、、」


監督や先輩から散々な無茶振りを強要されてきた経験もあってか、麗奈と日和は冷静だった。


監督「おはようございます。これが佐伯さんと南原さんのカッターシャツです。スカートはそのままでいいので、セーラー服からカッターシャツに着替えるように。コーチからはボタンはきちんと全て留めるよう言われていますので間違っても外さないように。」


麗奈と日和は最悪だと思いつつも、いつも通りハキハキとした返事をして更衣室へ向かった。




更衣室


麗奈「私カッターシャツなんて初めてなんだけど、、、ていうかリボンもネクタイもつけないで第一ボタンまで留めるなんてありえなくない?」


日和「私もはじめて!ダサすぎてびっくりしちゃった。みんなダサい格好して顔死んでたよね、、、」


そんな話をしながらカッターシャツを開封し、新品の固いボタンを外していた。


2人ともカッターシャツに袖を通したが、かなり窮屈で、二の腕あたりが少し締めつけられている。


そしてカフスボタンを留めようとするが中々留まらない。


かなり窮屈なサイズになっており、カッターシャツを着慣れてない2人にとって、ボタンの扱いは難しいものだった。


麗奈「日和、袖のボタン留めてくれない?」


日和「私もお願いしようと思ってた所」


日和がなんとかカフスボタンを留めてくれた。そして麗奈も日和のカフスボタンを留める。


2人とも手首が締め付けられる程カフスが窮屈で、カッターシャツを脱ぎ捨ててしまいたいと思っていた。


そして2人は前ボタンを下から留めていく。


扱い慣れないボタンを留め続け、第二ボタンまで留め終えた2人だったが、カフスボタンと同様、第一ボタンを留められない。


そもそもボタンがボタンホールまで届かない。


日和「留めたら絶対苦しいじゃん、、、自分じゃ留められそうに無いから、麗奈お願い」


そういって日和は首を差し出してきた。


麗奈は1分ほどかけて、日和の第一ボタンを留める事ができた。その間日和が顔を少し上に向けており、苦しそうな声をあげていた。


日和「いや、、、これやばいよ?苦しさ通り越してちょっと痛いんだけど、、、測られたサイズより絶対小さくなってるよ、、、」


麗奈「ほんとに!?私も留まらなかったし同じになるだろうな、、、もう覚悟決まったから私の第一ボタンも留めて。ていうか日和めっちゃダサいよ笑」


日和「うるさい。麗奈も今から同じ格好になるんだからね。」


麗奈「あーもう最悪、、、」


麗奈の第一ボタンも1分ほどかけて何とか留まった。


麗奈「うーわ、、、これやばい、、、」


日和「やばいでしょ。てか麗奈もダサすぎてこっちまで恥ずかしくなってきた。」


麗奈「やめて!私も同じ事言ったけど、言われたらマジで恥ずかしいから、、、こんな服装指定してくるコーチって絶対やばいでしょ、、、」


そして2人はすぐに更衣室を出た。

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