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ピンクのカーネーション

作者: 清来なる

私は今まで周りを見ようとしてこなかった。

相手の表情で感じる、聞こえないはずの声が聞こえてくる。

なぜだろう。

相手はそんなこと一度も言っていないのに・・・。

もし私の気持ちを伝えても、本当にのことを話しても誰もが信じてくれないとそう思ったのです。

相手に自分の気持ちを話すことが無駄だとそう思っていました。

けれど、それは違うと感じる瞬間ときがあったのです。

これはある少女が自分の殻に閉じこもっていた時、優しく背中を押してれた仲間たちの出会いによって少女は塞ぎ込んでいた殻を破り、自分を取り戻す、そしてさらに広い青空を見る物語です。


時をさかのぼって2年前のことです。

少女はまだ15歳。

もともと明るくて優しくいつも笑顔が絶えない少女で、学校に行くのが楽しみでしょうがなかったのです。そんなある日、いつもと変わらぬ日常がやってくると思っていましたが、その日から変わることになるなんてその時はまだ考えてもいませんでした。

その日はクラス替えの日で、学校でよくあることです。

仲のいい友達とは別クラスでとても寂しいけれど、お別れじゃないし休み時間に会えばいい、一緒にだって帰れると少女はそう思っていました。

新しいクラスでは、あまり話したことない人ばかりで多少不安もありましたが、その不安は最初だけでした。数日経って新しい友達が2人でき、1人は元気でサバサバしているミキともう1人は、真面目でおとなしいヒロです。こんな日が楽しいと少女は思っていました。

しかし数ヶ月後、少女はある異変に気づいたのです。

それは、ミキといつもと変わらぬ会話をしていた時のこと、少女に笑いながらこう話してきました。

「どうしてミキの悪口をほかの子に言ったの?冗談でも悲しい〜」と話し、笑っているはずのミキは、目だけは笑っていなく、少し怒っていたうように見えました。

少女はミキに言った覚えはないしそんなこと思っていない、ということをミキに話しました。なんとか信じてくれましたが、ホッとしたのも束の間なぜそういうことになっているのか少女はミキの話をしばらく続けて聞きました。

その後、ミキからヒロの話しがでて分かったのです。

原因はヒロということを・・・。

ヒロは確かに真面目でおとなしい性格で、そんなこと言わなそうな人だと少女は思っていました。

だけどそれはあくまで上部だけだったのです。

少女とミキに対する態度や話し方が違うことが分かり、ヒロがミキに対して少女のついての話は全て嘘だったことをに対するこの瞬間とき確信しました。

それからというもの、少女は今まで感じていなかった周囲の目を気にするように敏感になっていました。日を重ねるにつれ段々視線や表情が怖くなったっていき、そしてついに人と話していることが楽しかった気持ちを忘れ、友達と話していても疑うようになっていったのです。

重圧と緊張それがストレスとなり、とうとう少女は心を塞ぎ込んでしまい、学校を休むことが多くなりました。

気づくと不登校になって、もう3ヶ月経っていました。

そんなある日、窓から差し込む太陽の光で目を覚ました少女。

その日はなぜか外に行きたいと思ったのです。眩しいほどに、青空がとても綺麗で輝いていたのです。外に出て歩いてゆくと風の匂い、太陽の温かさ、日常の音が全て新鮮でそして進んでゆくとお花屋さんが見えました。

そこにはピンクのカーネーションが置いてあり、少女はそのお花をじーっと見てこんな風に思ったのです。

「今まで近くにあったのに、こんなにも美しいなんて思わなかった。」と思わず涙目になっていたのです。

いつも通りすぎて気づけなかった新鮮なこと、美しいものが少女に踏み出す勇気を与えてくれて、これを機に少しずつ本来の自分を取り戻すきっかけになったのです。

心配してくれたミキから何度か連絡はあったものの、中々返信する気持ちにならずできる時にやり取りをしていた。

ミキともう1人、連絡を取っていた人がいます。

それはクラス替えする前に、仲良かった友達でその子とは今の状況や学校を休むことも話していました。その子に今の状況を話し、「ある提案がある」と言われました。

その提案とはいろんなところに遊びに行こうと言われたのです。そして、ただただいろんな場所へゆき今を楽しむことを大切にしてほしいとその子はそう考えたのです。

その日から、少女は外出することが増えました。

少女の目には冒険するかのように毎日がワクワクして楽しみで堪らなかったのです。

傷ついた心から、ほんの小さな感情を取り戻したのです。

外出と言っても、散歩や近くの買い物とそんな大きいことではないが、少女にとってはとても大きいことなのです。

いろんなことを体験し景色を見てたくさん話し、とても楽しい日々でした。

少女は少しずつ塞ぎ込んでいた気持ちがなくなり、それからというもの学校へまた通えるようになったのです。

ですが、学校に通えるようになってもまだ不安や恐怖心が消えたということはないですが、その子は少女を決して見捨てずに支え続けてくれました。

そして、もっと元気になってもらいたいと少女と仲良い友達を呼んで、会う機会を増やしました。いろんな人と話してほしい、みんなの声を聞いてほしいとその子は心から願っていました。

そして、その願いが少女にも届き今まで感じていた人間不信も緊張も少しずつ薄くなっていき、そして、少女はこう考えるのです。

「みんなが皆、ヒロのような人ではない。私にとってあれは初めての経験でどうしたいいか分からず、独りで混乱していただけだった。そして他の人を信じることができないのは、自分もそうさせてしまっていたから、そう思い込んでしまっていた。」と改めて思ったのです。

あの日見た、ピンクのカーネーションは今でも覚えていて、これからも記憶に残る続けるだろうと少女は思ったのです。

あの瞬間とき、その子が少女に与えてくた感情と仲の良い友達と話し前へ踏み出す勇気を与えてくれたこと、その全てがかけがえのない宝物です。

少女の心は少しず前へと歩き出し、そして改めてこう思うのです。

「信頼できる仲間がいることはとても幸せなこと、そして空は無限であること。だからもっと視野を広くして突き進んで歩んで行こう。楽しんでいこう」と。

少女はまた大きな一歩踏み出したのです。




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