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勇者召喚と聞いたのに目覚めたら魔王の嫁でした  作者: 大豆小豆
第2章 アスモダの深淵で見たもの
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第53話 フェアリィデビル、ただいま幼稚園で育成中、先生は冒険者のおじs……えほんっ。お兄さんたちっ

切りが良かったので長さ調整せずに切ってしまいました。

いつもより1割強、短いです。

『トーマ君、サクルク正面の道にくる前のこの空地でそちらに手を振る人を見つけたらその人たちの胸を見て、黄色いベストを着ていたら攻撃はしないで。』

 翌日、ダヤルタ君はトーマちゃんと相談をして、フェアリィデビルが間違いなく仲間を識別できそうな目印を黄色いベストに決めたようだ。


 簡単な目印だから敵に真似をされる可能性はあるのだけれど、複雑な目印を決めるとフェアリィデビルの全員が覚えられない可能性があるし、一度間違いが起きたら悪戯好きなフェアリィデビルにブレーキが掛けられるか分からない。

 だから、まずは攻撃しない目印を覚えさせて、目印があるのに攻撃して良いときはダヤルタ君の念話があるときだけに限定する。

 普段はサクルクに真性魔法を覚えた女性数人が常駐するようにして、サクルクの施設と常駐する人たちの管理をする一環で悪戯好きなフェアリィデビルたちの群れとも交流して、食事や規則の徹底を図る。

 ダヤルタ君はトーマちゃんとそんな約束をしたようだった。


 私たちがシューバ討伐に赴くのにあんまり時間がないために、ビアルヌ男爵は昨日のうちに兵士の一隊をビアルヌに戻らせてサクルクを維持するための人選を始めたそうで、まずサクルクの守備をする兵士たちが先に来て防衛体制を固め、それと同時にサクルクの管理をする女性は、男爵の所有する施設の管理をしている女性から優先的に募って、兵士たちやシューバもどきから回復させた冒険者たちの面倒を見させるつもりだということだった。

 今はダヤルタ君しか神聖魔法を使える者がいないので、まずは守備要員、管理要員に配置する者の中から神聖魔法を覚えられそうな人材を探し、いなければ別途追加で人員を割り振る予定らしい。


◇◆◇◆


 そして、サクルクに残った私たちがやることはと言うと──

「トーマ君、ユーラちゃんは、ゲイズさんとキューダさんをお願いしますっ。サーヤちゃんとタンズ君はマイスさんとソルグさんを担当してっ。」

「ゲイズさん、トーマちゃんに指示を出させないでっ。他の3人はそれぞれ攻撃を受け流してっ。」

 フェアリィデビルたちの人慣れのために、ダヤルタ君とトーマちゃんたち、俺と冒険者たちでチームに分かれて陣取り合戦をしている。


 ダヤルタ君がタンズ君と呼んだのは、トーマちゃんと最後まで対立していた派閥のボスに付けた名前で、興奮して度を超える攻撃をしたり指示を無視したりしないように、まずは他派閥のボスから馴致することにしたのだ。

 こちらのメンバーは、本当は威城のメイドに頼みたかったのだけど、フェアリィデビルの攻撃を安全に躱すには彼女たちでは実力不足なので仕方なく冒険者のリーダーにお願いした。


 そしてビアルヌ男爵は、我が子がきちんとフェアリィデビルを制御できるか心配で見学していたのだけれど、興奮してダヤルタ君の指示を無視するか忘れるかして、フェアリィデビルたちはときおり暴走する。

 急に数を増やして急所目指して飛んで来て爆発する風弾数発を水盾や風盾などで散らしてフェアリィデビルたちの攻撃をものともせずに本来の陣取り合戦を継続するキューダさんたち冒険者にビアルヌ男爵はしきりに感心していた。


「いや、皆さん、大した実力者揃いで驚きました。

 聞けば、皆さんはそれぞれパーティーリーダーを務めておられるのだとか、息子の訓練にお付き合い頂き、本当にありがとうございます。

 今後、名を挙げていかれる方たちと思いますので、よろしければパーティ名をお教え頂けますか。」

 ビアルヌ男爵の申し入れに、皆さぞかし喜ぶものと思っていたら、皆気まずそうにそわそわと視線を逸らし始めた。


(え? チャンスじゃない、ほら、言って。)

 側で俺がにこにことそれぞれの顔を見回していたら、キューダさんが身を捩りながら真っ赤な顔でぼそりと答えた。

「あの、俺のパーティが姫様親衛隊1で、そっちから姫様親衛隊2,3,5になってます。」

 それから、涙目で男爵に訴えた。


「俺たちっ、テルガの町を出る直前に酔った勢いでこんなパーティ名にしちゃったのに、テルモの町が無人だったものでパーティ名が変更できないまま忘れててっ!

 ビアルヌに戻ったらすぐに変更しますので、この名前のことは忘れてくださいっ!! 」

 うわあ、ひげ面が恥じらい全開の涙目で土下座まで始めて、必死にお願いしてる。

 ビアルヌ男爵もちょっと引きながらも事情は理解してくれたみたいで、後日、残りの姫様親衛隊4も含めて改めてパーティ名を聞いてくれるそうだ。

 うん、テルガの町では下層寄りだった人がせっかくのチャンスに俺たちのことは忘れてくれって男爵にお願いするって、すごく勇気が要ったよね。

 ビアルヌ男爵が懐の広い人で良かったね。


 ……。

 だが残念ながら、ビアルヌ男爵のこの配慮は無駄だったことが、後日判明した。

 魔族対応のために詳細は伏せられていたのだけど、俺たちが何かの功績を挙げて、セルジュさんがガルテム王国の全権大使に任命されてアスモダ政府ほかと対応を始めたことは、アスモダ国内はいうまでもなくガルテム王国でもすでに知れ渡っていて、王太后様や国王様の婚約者である俺が挙げた功績に関連して、某かの功績を挙げたに違いない冒険者たちのパーティ名もアスモダやガルテム王国内ですでに知れ渡っていた。

 ビアルヌに戻った冒険者たちは、ビアルヌ領民からいきなり、”あれが姫様親衛隊だー!”とパーティ名の連呼を受けて呆然として、その恥ずかしさから回復する前にガルテム王国でも急速にパーティ名が広まっていると聞いて愕然としながら身悶えすることになる。

 うん、名前が知れ渡っちゃえばそれが当たり前で、誰もなんとも思わなくなるんじゃないかな。

 どんまいっ。



◇◆◇◆◇◆◇◆


 午後も3時頃になって、ビアルヌからサクルクの維持要員20人ほどが駆け付けてきた。

 先に来た人たちも含めて30人ほどになるんだけど、正直、この人数はビアルヌ男爵の限界に近い人数を割り振っていることになるとセルジュさんが教えてくれて、ビアルヌを護るためにも、私たちのシューバ討伐はいよいよ急務になると耳打ちされた。


サクルクの維持、管理をしてくれる女性たちはまだ選考中だそうで、明日、私たちがビアルヌに戻ったら向こうで神聖魔法の訓練をして欲しいそうだ。


 そういうことならば、ここにいる人たちには今日と明日の早いうちしか時間がないので、休憩してもらっているうちに早速に人選を始めたら、6人ほどに大丈夫と思うほどの魔法の素養があったので、それぞれに伝えて休憩後に訓練を始めたいと伝えたら、みんな上機嫌で了解をしてくれた。

「セイラ教授、よろしくお願いします! 」

 兵士の人たちは魔族から狙われる危険は承知の上で、数少ない新しい強力な魔法を覚えられる唯一の機会と認識してくれたんだけど、教授って、なに!


 物事を教え生涯の技術を授けてくれる先生の上級者を尊敬を込めてそういうらしいんだけど、俺、この間まで生徒だったし、先生と言われても落ち着かないくらいなんだからねっ。  

 でも、それを申し入れたら、ガルテム王妃って言い始めたので、慌てて教授で許可しました。


 成果?

 教授とまで言われて、きちんと教えない訳がないでしょ。

 夕食後も2時間ほどやってしまったけれど、きっちりと神聖魔法を覚えさせましたよ。


 ただ、なし崩し的に俺が本人が持っていない属性の魔法を覚えさせることができる事実は広まり始めていて、母様曰く、

「魔族を引きつけるには絶好のターゲットであると同時に、これくらい分かり易い他国への介入もないから、魔族がいつセイラに手を出してきてくれるか、見物よね。」

って、私は魔族寄せの餌ですかっ!!



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