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第五十三話 いつの間に

 ルミアが寝覚めの布団の中でニヤけている頃、俺とエルゴは北部の街を観光していた。

 

 北西のヨルクの街から、街道沿いに東に進路をとり、いくつかの街に宿泊して、買い物や温泉を楽しみ、今は国の北東の辺境まで来ている。

 北部と言っても、国自体が大陸の南部に位置しているので、さほど寒くはない。街の近くには穀倉地帯が広がっていたりもする。

 

 エルクの街ものんびりした感じなのだが、北の街は輪を掛けてのんびりしていて、この国の人間はそういう気質なのだろうなと思う。そのおかげかこちらも、のんびりと旅を楽しめるので気持ちが良い。

 

「エルゴ、この串焼きは甘辛くて旨いなぁ。ビールが飲みたくなるよ」

「屋台も店も、いろいろと味を工夫していて美味しいです。いろいろと刺激を受けます」

「そうだな、しかし魔法もこうやって工夫すれば、生活も楽になるのに、勿体(もったい)無い話だよな」

「その辺は、なかなか難しいのでしょうね」

 

 屋台の串焼きで小腹を満たしながら、そんなことを話していると、俺の横にストンと何かが落ちてきた。

 

「旦那センサー、ビビビっ」

「そんなセンサーついて無いだろ、アロロク」

 

 アロロクに続いて、大きな虎の騎獣に乗ったヘーデリアも空から降りてきた。周りの通行人が腰を抜かして驚いているのを、エルゴがフォローしている。

 

「ヘーデ、いきなり街中に降り立ったら、人がビックリするからダメだぞ」

「ん、ごめんなさい」

「グロロロ」

 

 突然、小さな獣が俺に飛びついてきた。虎に股がるヘーデの前にうずくまっていた子犬ほどの獣が、俺が手にする串焼きを(くわ)えて肩によじ登ってくる。

 

「そいつはブサイク。助けたら付いてきた」

「顔が不細工(ぶさいく)だからブサイク。シッシッシッ」

騎獣(ロバ)といい、この魔物といい、呼人様は不細工に好かれるようです」

 

 虎縞(とらじま)の体に尻尾が蛇で、顔は類人猿のようだ。確かに不細工ではあるが、まだ子供なのでかわいらしくもある。

 元の世界の伝承にあるヌエって感じだ。

 くぐもった声で鳴く獣は、串焼きを器用に前足でつかみ、串から肉を外して食べては、俺の顔を()めてくる。頬がベタベタだ。汚れるからやめて欲しいのだが、伸ばした手もベロベロ舐められた。

 

 旅の途中で、魔物に襲われているところを助けたらしい。「ヘーデはいらないから、あげる」と、押し付けられてしまう。

 

 しばらくするとブサイクは、串焼きに満足したのか、今度は俺の頭によじ登って、寝てしまったようだ。ブサイクが寝ると、周りに黒雲(こくうん)が発生して姿を隠す。

 

 鏡を見ると俺の頭がアフロみたいだ。

 

 ヘーデに「ダサッ」と笑われてしまった。アロロクは「ブサイクとダサイク」と訳のわからないオヤジギャグを言って「シッシッシッ」と得意気だ。

 ブサイクは、騎乗の魔法でも使っているのか、頭を振っても落ちることはない。魔物は魔法を使いこなしているなぁと、思わず感心してしまう。

 まあ、なんだか知らんが放っておくしかないようだ。

 

「それでどうしたんだ、ふたりとも」

「東部は、きな粉臭い。シッシッシッ」

「キナ臭いだろ、なにか争い事でもあったのか?」

「呼人様、たぶん王家転覆を(はか)(やから)でしょう。東部にも、そんな派閥があったはずです」

 

 アロロクが買ってきた串焼きを食べながら、話を聞くと、ヘーデ達は流行病(はやりやまい)の治療を終えたあと観光をしていたらしい。街から街へは、騎獣で空を飛んで景色を楽しんだと言う。

 

 昨日、とある平原で軍隊同士が(にら)み合っていたそうだ。

 

 面白そうだと見学に行ったら攻撃されたらしい。空飛ぶ騎獣は珍しいので、国の重要人物が援軍に駆け付けたと勘違いされたようだ。

 

「火球と弓矢が、バンバン飛んできた」

「下手な鉄砲は当たらない。シッシッシッ」

「ダメじゃないか、危ないところに近づいたら。どれくらいの規模(きぼ)の軍隊だったんだ?」

「ん、いっぱい」

 

 アロロクに聞くと、広い平原に、豪華な鎧を着た軍隊が3000人ほどいたらしい。都の近衛騎士団かな? 

 (かた)やそれに対峙(たいじ)するのは、平民も含めた5000人ほどの軍隊だったそうだ。王家転覆を(はか)る貴族がかき集めた反乱軍と言ったところか。

 

「総勢八千の戦いかぁ。さぞ大迫力だろうなぁ。殺し合いはなんだけど、本物の戦争を見る機会なんてないから、ちょっと見たかったな」

「すぐに終わった。反乱軍瞬殺」

「そうなのか? ヘーデ。ずいぶん早いな。近衛騎士団の練度が高いのか、寄せ集めの反乱軍が弱いのか」

「ヘーデ達が倒した」

「お前かーい!」

 

 なんでも魔法と矢が飛んできたことに、ビックリしたブサイクが飛び出してしまったらしい。ブサイクは、空を駆けながら雷撃で反撃していたそうだ。

 チマチマやっていても(らち)が明かないと、ヘーデが「スタンボルト」の魔法を広域に放ったと言う。

 

 スタンボルトは雷撃の威力を弱めた、相手を気絶させる(ため)の魔法だ。

 これを「落雷」のように広範囲に同時にカミナリが落ちるように放ったようだ。

 

 雷が雨のように降り注ぐなか、ブサイクが喜び勇んで駆け回り、同じような魔法を何度も放ったらしく、数分で反乱軍の大半が倒れたとのこと。たぶん死んではいないのだろう。

 

「まったくハルナは武闘大会をぶち壊すし、ヘーデリアは戦争に介入かよ。人間がやっている事を邪魔しちゃダメだぞ」

「ん、大丈夫。乙女グリーンに変身した。バレてない」

「乙女ブルーは、森に隠れていた暗殺部隊を潰した。司令官は()めるべき。シッシッシッ」

 

 どう突っ込んだら良いのやらトホホ

 

「潰したって、殺したのか?」

「魔法糸でグルグル巻き、ミイラにしてやった。シッシッシッ」

「近衛騎士団の方は怒ってなかったのか?」

「ん、面倒だから逃げてきた」

褒賞(ほうしょう)を~、とか戦勝パーティーに~、とか叫んでた。イケメン騎士の誘いを軽くあしらう伊達(だて)女。シッシッシッ」

「はいはい。面倒事に首突っ込んだらダメじゃないか」

「あと記者がインタビューを~って叫んでた。記者面倒臭い」

 

 昨日の出来事だそうだ。アロロクとヘーデリアが楽しそうに報告してくる。

 しかし国に喧嘩売るのに、五千の軍勢とかショボ過ぎだろと、エルゴに問い掛けると、西部と南部でも同時に反乱軍が立ったのだと言う。

 西部に最大戦力があり、国軍の倍の戦力が集まったのだとか。そこが主戦場となったらしい。東部の軍隊は(うし)ろから挟撃(きょうげき)するための軍隊だそうだ。エルゴが見てきたように語る。

 

 籠城して、(みやこ)を戦場にする訳にもいかず、かと言ってあまり戦力の分散ができない国軍は、エルゴが事前に流した情報のおかげで、東部の軍隊を先に()つ事にしたようだ。

 

「なんか王族がかわいそうになってきたよ」

「自業自得かと」

「当分内乱が続くのかな。たくさん人が死ぬだろうな…」

「いや、ほとんど戦死者はおりません」

「なんでそんな事わかるんだ? エルゴ」

「昨日、念話で連絡が入りました」

 

 なんと西部の反乱軍は、ハルナにちょっかいを掛けたらしい。そして南部の軍隊は、ルミアに喧嘩を売ったと言う。

 

 西部の主戦力五万は、ハルナと五郎、それにマリア(おっさん)のカプセル怪獣であるベヘモスと黒竜に、取り囲まれ逃げる事もできずに、散々いたぶられて、ほとんどが捕縛(ほばく)されたようだ。

 南部の軍隊二万は、クロールミアのブレスが頭上をかすっただけで大打撃を受け、そして精霊達に眠らされてしまったらしい。ルミアが手加減したので死人は無いそうだ。やけどなどの怪我は精霊達が治したと言う。

 

 エルゴは、城に放った監視ゴーレムからの情報と、マリアとルミアから念話で連絡を受けて知ったのだとか。せっかくの休暇を楽しむために、俺には(しら)せなかったと言う。

 

「へっ? じゃあ各地の反乱軍を、魔法乙女戦隊が全部倒しちゃったってこと?」

「そういうことになりますね。国軍は戦場に出ただけで、戦後処理しかしていないでしょう。早期に解決したので、兵糧(ひょうろう)もさほど減っていないはずです。

 死人は処罰による打ち首だけなので、呼人様が(うれ)う必要はありません」

 

 エルゴはこれで王家に、病の治療と反乱軍討伐という2つの大きな恩を売れたと、黒い顔でニヤついている。

 

「俺の知らないところで、そんな事になっていたとはな。俺だけ呑気(のんき)温泉三昧(おんせんざんまい)していたわけか。なんか申し訳ないなぁ」

「先程も申したように、呼人様が憂う必要はありません。呼人様の生活を快適にするのが、我等(われら)の役目。それに使い魔もルミアさんも精霊達も、楽しかったと言っております。そうですね? ヘーデリア」

「ん、ヘーデ、楽しかった。魔法バババン」

「我が軍の圧倒的な勝利であります、司令官殿。シッシッシッ」

 

 それにしてもハルナもルミアも、本当に万の軍勢に勝ったのかよ。凄いな。

 馬鹿王子が斬りかかってきたのが、発端(ほったん)とは言え、王族を散々言葉攻めして、城を壊し、情報をリークして内乱を誘発したものだから、王族には少し悪い事をしたなと思っていたけど、知らない間に解決してしまうとは、なんとも驚きだな。

 

 

 

 

 

 その後、俺達は薬師ギルドに設置した転移扉を使って、北西のヨルクの街に帰ってきた。ヘーデとアロロクも、騎士団や新聞記者が面倒だからと付いてきた。

 

 ヨルクは、北部で唯一温泉の無い街だ。さびれた小さな街だが、俺は気に入っている。景色が素晴らしいのだ。

 広い草原が広がり、近くに湖がある。そして遠くに見える雪を被った山脈が、なんとも言えない風情がある。

 

「ヘーデ、温泉入りたい」

「俺とエルゴが掘った温泉があるぞ。まだ壁もないから、良い景色が(おが)める露天風呂だ」

「呼人、自重がない。シッシッシッ」

「呼人、メッ!」

「お前達には言われたくないよ。まったく」

 

 ランドルの奥さんの宿屋の食堂で、お茶やジュースを飲みながら、家族(なかま)との会話を楽しむ。甘い匂いにブサイクも起きたので、やっとアフロヘッドから解放された。

 

 ランドル親子が、庭から食堂にやってきたので、仲間を紹介した。

 

「お兄ちゃん、もしかしてこの子達は魔法乙女戦隊なの?」

「ん、ヘーデが乙女グリーン。アロロクは乙女ブルー」

「しかしそれは、公然(こうぜん)の秘密。シッシッシッ」

 

 ランドルの娘がキラキラした目で聞いてくるのに、ヘーデリアがフンスッと胸を張って答える。バラしちゃったら、変身して身分を隠している意味が無いじゃないか。

 

 三兄弟が興奮しながら、ヘーデリアと握手を交わしている。ランドルの娘が、サインが欲しいと言いだした。

 ヘーデが、俺が作った筆ペンを取り出して、食堂のテーブルに『ラーメン大好き、ヘーデリア』と書くと、アロロクも『呑んだくれ用心棒、アロロク』と真似して書く。おいおい、テーブルにサインするなよ。

 

「ダメだろうヘーデ、勝手に落書きしたら。それに本名名乗ってどうする。乙女グリーンのサインじゃないと意味無いぞ」

「間違えた」

「反省。シッシッシッ」

 

 今度は『殲滅天使(せんめつてんし)、乙女グリーン』『青い稲妻(いなづま)、乙女ブルー』と書いている。だから落書きしたらダメだって!

 

「ランドル済まない。テーブルを駄目にしてしまった。後で似たようなのを作って返すから許してくれ」

「なに言ってるんだ呼人。今をときめく乙女達のサインだぞ。家宝にするさ」

「そうだよ、お兄ちゃん。魔法乙女戦隊に会えるなんて嬉しいなぁ」

「呼人さん、乙女戦隊がきた店ってことで、良い宣伝になるよう。連れてきてくれてありがとよう」

 

 息子達も、そうだそうだと相槌(あいづち)を打つ。マリア(おっさん)の作った戦隊がアイドル扱いされているとは世も末だ。

 

 ランドルが、司令官殿のサインもくれないかと言うので、『目立たず楽しく司令官』と書いておく。ついでにエルゴが『司令官の右腕、黒い紳士』と書いていた。「司令官の奴隷」の方が良かったでしょうか?  と真面目に聞いてくるエルゴ。

 

 勘弁してくれ! これじゃあ、なんとも微妙な中二集団だと思われるぞ。

 

 

 

「呼人、相談なんだが温泉の間取りを考えたんだ。アドバイスをくれないか」

 

 庭に出て説明を受ける。ヘーデリアとアロロクは服を脱いで温泉に()かり、フルーツ牛乳を飲み始めた。乙女なんだから恥じらいを持ちなさい。

 今日も温泉には多数の住民がいる。仕事をしろ!

 

 ヨルクの街には、この宿屋と隣にもう一軒の宿屋があるらしい。庭を(つな)げて大きな温泉部屋を作り、共同で管理するそうだ。

 ヨルクの街の近くに街道があり、西部と北部の交易路として(にぎ)わっているが、今までは温泉も無く素通りされていたのだとか。それを取り込めれば客には事欠かないとランドルは言う。

 

「普通の温泉ができたからって、人を呼び込めるとは思えないなぁ」

「呼人、普通じゃない温泉があるのか?」

「他の街の温泉に行ったけど、部屋のなかにしか温泉がなかったし、露天風呂とかあれば良いなと思ったんだが」

 

 ランドルに露天風呂を説明したが、いくらさほど寒くはないとは言え、外はダメだと言われた。今の時期なら大丈夫だが、雪が降ることもあるそうだ。それに雨が降ったらお終いだ。

 

 ヨルクの街の近くには雪を被った山脈があり、素晴らしい景色なのだが残念だ。

 

 箱庭の温泉ハウスのように、展望風呂にすれば良いのだが、この大陸には板ガラスを作る技術はないようだ。

 板ガラスはダンジョンの宝箱からドロップされる高級品らしく、王族や貴族、豪商の家でしか使われていないそうだ。一般家庭の家の窓は木で作られている。

 

 

 

 うーん、どうしたものやら。と考えていたらハルナ達もやってきた。

 

「あらあ、ヘーデちゃん達もいるのねぇ」

「おうマリア。どうしたんだ? アロロク達は東部の反乱に巻き込まれたらしくて、いろいろ面倒だからとこっちにきたんだよ」

「私達も似たようなものだわぁ」

 

 マリア(おっさん)が、やれやれというように答える。

 

「よう、旦那。あたいの活躍は、新聞でチェック済みか?」

「ハルナ、司令官の愛人ってなんだよ。盛り過ぎだぞ」

「いやー、スキャンダルされちまって、まいったよ。がははは」

「自分でしゃべってたじゃない。そんなことより、よぶちゃんにお願いがあるのよぅ」

「断る!」

 

 マリア(おっさん)のお願いなんて、まともだった試しがない。

 

「まだ何も言ってないじゃない。ひどいわぁ」

「どうせ、店はまだか? とか面倒な話だろう。今は休暇なんだから、そういうのは後だ」

「実はねぇ……」

 

 マリア達は昨日、反乱軍を蹴散(けち)らした後、褒賞だの叙爵だの戦勝パーティーだの言っている、国軍の将校を無視して逃げたらしい。アロロク達と同じだな。

 宿を引き払う時に、どこぞの商人に(から)まれたんだとか。なんでもその商人は、奴隷商人で内乱の騒ぎのどさくさに(まぎ)れて、いろいろ悪さをするつもりだったらしい。

 ハルナ達が反乱軍を潰したものだから、内乱が早期に決着して大損(おおぞん)したと絡まれたそうだ。

 

 当然、ハルナに護衛の冒険者ごと()された商人を、街の警備隊に引き渡したと言う。実はこの商人は反乱軍を支援していたらしく、国軍に連絡が行き、すぐに捕縛されたようだ。

 

「それから大変だったのよぅ。奴隷商人の持つ奴隷達の所有権が、私達に移ったらしくてねぇ。いらないって断っても、それでは困るの一点張りで話にならなくて、昨日はろくに観光できなかったわよぅ」

 

 奴隷の中には成人したばかりの子供もいたらしく、マリア(おっさん)男気(おとこぎ)スイッチが入ったようだ。

 奴隷は大人がほとんどで、元冒険者や犯罪奴隷とかもいるため、無闇(むやみ)に箱庭に連れていくわけにもいかず、ゴーレムハウスに入れて、(みやこ)の奴隷商に売り払ったそうだ。

 

 中には家族で借金奴隷となった一家や、違法に奴隷にされた者もいたらしく、奴隷全員と面接して同情に値する奴隷は、売らずに引き取ったようだ。

 

 

 

 それにしても、武闘大会までは良いとして、反乱軍鎮圧に奴隷の処理とは大変だな。観光気分が台無しだろう。北部には反乱が無くて良かったよ。日頃の行いのおかげかな。

 

「引き取った奴隷さん達は、少なくとも一年間は、奴隷から解放できないらしいのよぅ。違法奴隷もいるのにおかしな話だわぁ」

「それで、どうするんだ?」

「私が店を開けば、店員として雇えるじゃない。だから、早く店を作ってちょうだいよぅ」

 

 マリア(おっさん)は前から、酒場か食堂をやりたいと言っていた。今までは忙しかったので、なかなかそこまで手が回らなかったが、子供達も生活に慣れてきたので、そろそろ良さそうだと最近話たばかりだ。

 

 実は店舗はすでにできている。ゴーレムハウスを改造して、1階に酒場、2階に脱衣場と配管設備、3階に温泉が付いた温泉酒場だ。温泉は亜空間転移で、箱庭から引いてくるつもりだった。

 仕事終わりのドワーフやエルクの住人、それに冒険者が汗を流し、酒を飲めるようにと、エルクとドワーフ村の中間辺りに土地を買って、設置すれば良いだけの状態なのだ。その辺の土地などただ同然の値段だ。

 

 南のエルクの景色も悪くない、間近(まぢか)に山脈がそびえ立ち小さな城もある。なかなか良い眺めだ。

 ただ、俺達はエルクが拠点なのでいつでも見れる。ならば北のヨルクに店を建てて、たまにしか見れない景色を楽しんだ方が俺達には得だろう。

 

「確かにそうねぇ。私はエルクでもヨルクでもどちらでも良いわぁ。どうせ亜空間転移でドアトゥードアなのだしぃ」

「今、ヨルクは温泉フィーバーなんだよ」

「ハルナちゃんから聞いたわ。なにも休暇を使ってまで、温泉掘らなくても良いのでは無いかしらぁ」

「つい楽しくてな。それで店の話に戻るけど、どうせなら階数を増やして温泉宿にしないか?」

 

 

 こうして温泉ホテル計画が始まった。ランドル達に話して賛同を得られれば、北のヨルクで展望温泉宿を開業し、ランドル達に断られたら南のエルクで温泉酒場にする。

 どちらにしてもマリア(おっさん)の欲求は満たされるし、奴隷の雇用問題は解決するだろう。

 

 ちょっとランドルに話してみるかな。

 

 

  

 

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