第三十九話 続男女六人
「ハアーッ」
「どうするんだトンキ」
トンキ、シンベ、タンタの3人組は今、非常にまずい状況になっている。迷宮内のとある広場の片隅いるのだが、例によって広場の中央付近には大きな魔物がいる。とてもじゃないが生きた心地がしない。
どうしてこんなことになったかと言うと、話は少し前に遡る。
ヘーデの悩みに便乗して、ダンジョンに挑戦したトンキ達だったが、自身の無力さを思い知る結果となった。
ミノタウロス戦後、アロンとトンキ達は魔力も既に少なく、身体も疲労困憊だ。ヘーデリアは、まだ戦い足りないと言う。
アロロクは、密かに付いて来ているエルゴに、子供たちを預けようと、移動を開始した。多分、元の通路にエルゴがいるだろうと、広場の中央付近から歩き始めた時、
ガコンッ
と音がした。振り返ると、2m×2mほどの落とし穴が口を開き、トンキ達3人組の姿が無い。どうやら油断して罠を踏んだようだ。
しまった! とアロロクが穴に近づくより先に、ネズミが走り寄り「チュチュウ」と鳴いて、一緒に穴に落ちていった。すぐにガコッと、落とし穴の蓋が元に戻り、アロロク達は取り残される。
落とし穴のあった場所は、すでに地面と同化していて「炎弾」を当ててもビクともしない。
「アロロク、どうする」
「エルゴが追った。心配ない。シッシッシッ」
「あのネズミは、エルゴさんなんですか?」
「こっそり覗く変質者。シッシッシッ」
「では大丈夫ですね。アロンは前に…」
アロンは前に冒険者の戦闘映像で、同じような状況を見たことがあると、アロロクとヘーデリアに言った。
心配そうなヘーデリアに対して、通路の落とし穴は槍衾だが、広場の落とし穴は下の階に通じていると説明している。そして即死は無いだろうと言って、ヘーデリアの肩を叩いた。
更に広場の落とし穴は滅多に無いが、下には必ず強い魔物が控えていると続けた。だがエルゴさんなら大丈夫ですと、明るく笑う。
ならばトンキ達はエルゴに任せて、もう少しダンジョンを楽しもうということになった。今後は戦うのは、アロロクとヘーデリアだけだ。
アロンには持っているだけで、常にバリアを張ってくれる魔石を持たせて見学させる。
一方のトンキ達は、落とし穴に落ちたあと、滑り台のような通路をゴロゴロと転がり、とある広場に落ちてきた。身体はあちこちと打ち身があり起き上がれない。3人共に地面に突っ伏して、「ううう」と唸っている。
しばらく唸っていた3人が、ノソノソと起き上がり、今は壁に背を預けて座っている。
「ハアーッ」
「どうするんだトンキ」
「アロロク姉ちゃんたち、心配しているだろうなぁ」
「待っていれば、助けに来てくれるさ」
「その前に、あの化け物に見つからなければいいけど…」
3人がいる広場は広く明るい。例によって中央付近には大きな魔物がいる。ナマコのような図体に、9本のヘビが生えた大型の魔物だ。太いヘビの首だけでも5m、全長は15mほどもある。ミノタウロスなど、雑魚に見えてしまうほど大きな魔物だ。
ぶっ太い胴体が、ズズーッ、ズズーッと動き回り、太い尻尾がバシーンバシーンと地面を叩く。そしてこれも太い9つの首が、ウネウネとうねって、辺りを伺っているのだ。
広い広場なので、大分離れているのだが生きた心地がしない。
泣きたい気持ちを必死に抑えて、うつむく3人。粋がって、ダンジョンにきたことを後悔しているのかもしれない。
「チュウ」
いつの間にか、小さなネズミがトンキの横にいた。体を起こし前足を上げた姿勢で、またチュウと鳴きながら、小首を傾げるネズミが、トンキ達を見つめる。3人組も警戒しながらネズミを見つめる。
突然、ネズミがピョーンと跳ねて、トンキの投げ出された足に乗った。
うわわ! と叫んだトンキが、ネズミを手で払いのけようとすると、ネズミがチュウとバック転して、宙に舞った。そして見るまに、むくむくと膨れていき。大柄な人間の姿となる。
「エルゴの兄ちゃん!」
「シーッ」
思わぬ救援にトンキ達が色めき立つが、エルゴの緊張した様子に口を押さえる。
「ヒュージヒュドラですか。厄介な」
ヒュドラは、9つの頭を全て落とさなければ、死なないと言われている魔物だ。しかもあまり時間を掛けると、落とした頭が再生する厄介な性質がある。ヒュドラが進化したヒュージヒュドラとなると、とても一人では倒せないかもしれないと、エルゴが語る。
さすがのエルゴでも、ひとりでは9本の首を同時に刈れないのだろう。
「見回しても通路らしいものは見当たらないですし、落ちてきた穴もふさがっています。ヒュドラを倒さないと、道が開かれないのかもしれませんね」
「じゃあ、どうするんだ」
「勿論、戦います。トンキ達は、この魔石を持ってここにいて下さい」
エルゴがトンキに渡した魔石は、持っているだけで、周りにバリアを張ってくれる魔石だ。これを持っていれば、ヒュドラのブレスにもしばらく耐えるでしょうと、エルゴは言う。
「ただし、ここから動いてはいけません。ヒュドラに見つかって、近距離でブレスや物理攻撃を受けたら死にますよ」
「「「石になります!」」」
エルゴは自分が戦うが、もしやられても動いてはいけないと言う。呼人が、助けに来るまで待つようにと、収納庫から食糧を出しトンキ達に渡す。
やられるという言葉に、トンキ達は不安そうな顔をする。
「なあに、呼人様だったら、不利な戦いなら死なないように工夫せんかい! と言いますよ。私の心配はいりません。逃げるのも工夫のひとつです。あなた達も死なないように、工夫しなさい。それと自業自得でこの場にいる以上、呼人様を悲しませることは許しません」
子供たちはエルゴの力強い言葉に、ジンと心を震わせた。ヒュージヒュドラに向かって歩くエルゴの背中に、子供たちの畏敬の念が注がれる。
ジャアアア!
エルゴがヒュージヒュドラに近づくと、シャーシャー、ジャージャーと、9つの頭が威嚇してくる。
エルゴがまず落雷を放ち先制する。ところが、バリバリと轟音をたてながら落ちる何十筋の閃光が、ヒュドラの周りで半球に沿って逸れていく。
「結界まで使いますか。厄介な」
次にエルゴが「光線」と言って放たれたレーザービームも、ピキンと弾かれる始末。
「どうやら魔法は、ゼロ距離射撃でもしない限り無効のようですね」
それではと、収納庫からいつもの大刀を出す、エルゴ。風魔法をまとった高周波振動ブレードだ。
ゴオオオッ!
ヒュドラが炎のブレスを吐く。エルゴは飛翔魔法で飛び上がり、ブレスを吐くヘビに向かって、上段から刀を振り下ろす。刀身がヘビの頭を斜めに斬り裂き、右半分がズズンと地面に落下した。
しかし、切断面はモゴモゴと盛り上がり、再生が始まっているようだ。再生を始めた首がビュンと、鞭のようにしなり、エルゴを打とうする。
これを避けたエルゴに他のヘビ首が、次々に追撃してくる。
頭を打ち付けてくるもの、噛みついてくるもの、ブレスを吐くもの、厄介な攻撃が交差する。
ビタアアン!
上から打ち付けられた頭に、エルゴが吹き飛ばされた。地面に叩き付けられたエルゴに、間髪入れずブレスが吐かれる。8本の首からのブレスに焼かれ、一面の地面が黒焦げとなる。焼かれた地面が溶けて、うねっているところもある。
「避けた!」
「いいぞ!」
「あああ、当たった」
「うわー! ブレスだ」
エルゴの勇姿を、トンキ達が手に汗握って観戦するが、ブレスの熱に室温が上がると、恐ろしさに膝が震えてしまう。
エルゴがノソリ起き上がり、いったんヒュドラから距離をとった。エルゴの前面は黒焦げになっていおり、ブレスの威力が伺える。ヒュドラも様子を見るようにブレスを止める。
「いやはや、多勢に無勢。なかなかに大変です。しかしブレスには耐えられそうですが、物理攻撃は厄介です。核を守るのがやっとでした。さてさてどうしますか」
ビュンと、天井付近を移動したエルゴが、急に方向を変えて、ヒュドラに向かって落下する。9つの首を交わし、ヒュドラの背に乗ったエルゴが、大刀を一閃させて首を刈る。
エルゴの一閃に、1本の首が根元から切断されるが、他のヘビに噛みつかれてしまう。エルゴを口に咥え、持ち上げようとしたヒュドラの口から、ドロリと液体化したエルゴが落ちてくる。
「噛みつきや毒は利きません」
再び背に乗るエルゴにヒュドラが唸る。エルゴが背にいる以上、打ち付けやブレスは、自分にもダメージを与えてしまう。
エルゴが背中で魔法を撃ち始めた。結界内での魔法は結界では防げない。ヒュドラの硬い鱗は、すぐにはレーザーで焼き切れないのだが、徐々に穴が開いてしまう。
苛立ったヒュドラが、ゴロンと地面を横回転した。仕方なくエルゴは、天井に向かって飛ぶ。ここぞとばかりに8本の首が、鞭のようにエルゴに襲いかかる。何本かの首を避けた時に、エルゴは横様に衝撃を受けた。
ガッ…ゴッ…ゴロゴロ
地面に打ち付けられたあと、飛び石のようにバウンドして、ゴロゴロと転がるエルゴ。すぐに起き上がり空中に逃れる。ダメージは無いようだ。
「背中もダメですか。ならば手はひとつです」
剣技に関して言うと、ハルナが力で斬るのに対して、エルゴは技で斬るタイプだ。
ハルナが大剣を力任せに叩き付けるのに対し、エルゴは力を使わず引いて斬る。
これは能力の差によるものだ。ハルナは力と速さに特化している。魔法はあまり使わない。エルゴはバランス型だ。魔法も剣術も得意だがハルナほどの力は無い。
魔法を封じられた今、剣技で対抗しようとするが、9つの首を一気に斬ることは難しい。1本1本地道に首を減らそうとしても、すぐに邪魔が入る。
ハルナなら力で押し切れるかもしれない、しかし技巧派のエルゴは、ちょっとしたバランスの崩れや、タイミングの悪さが斬撃に影響する。なかなか難儀しているようだ。
エルゴが意を決したように地上へと降りて、スタスタとヒュドラに近づく。あまりの無防備さに、ヒュドラも訝しんでいるようだ。だが、このまま近付かれるのもシャクだと、一斉にブレスを吐く。
「あああ、何だよ…」
「…あきらめちゃったのか?」
「あんなにブレスにやられたら…」
ヒュドラがブレスを止める頃には、地面には何もなかった。ただただ黒い地面があるだけだ。子供たちはその光景に唖然とする。
「エルゴの兄ちゃん、やられちゃったのか?」
「やられる訳無いだろう!」
「……」
じゃあ、何なんだよ! という言葉を飲み込む子供。
ズズーッズズーッと、ヒュドラが満足そうに動き回る様を見ながら、子供たちはグズグズと声も無く泣いている。
……ジャアアア! ……ジャアアア!
突然、苦しみ出したヒュドラの鱗が、内側から盛り上がり無数の針が突き出る。体内から、まるでウニのように四方八方に飛び出した針が、だんだんと太くなる。そして胴体も膨らんでいく。ヒュドラが苦しそうに声を上げている。
メチメチッ…ボンッ
ヒュドラの胴体が風船のように破裂したあと、無数の肉片が飛び散り、多数の首がドサドサと崩れ落ちる。ヒュドラの身体を破裂させたウニは、スルスルと縮んで最後には人型をとった。
床も壁も天井も、子供たちを守るバリアまで、血と肉片にまみれている。太く長い首がゴロゴロと床に転がっている。
そう、エルゴは1本1本首を落とすのをあきらめ、首が付いている胴体の方を、破壊する作戦に切り替えた。スタスタと無防備にヒュドラに近づきブレスに紛れて、体型をヘビに変形させ、ヒュドラの口から体内に侵入したのだ。その後は見た通りである。自身の身体をウニのように変化させ、刺で体内からヒュドラの身体を突き破り破裂させた。
なんとも豪快な戦い方である。これが彼の言う工夫なのだろう。
しばらくすると肉片や首が光の粒となって舞い上がり、広場には幻想的な光景が溢れ出す。
血みどろの床から一転して光が溢れる様に、子供たちはポカンと口を開け声が出ない。
エルゴが素材を回収して歩いてくるのを見つけると、ハッとしたように走り出し、エルゴの足にしがみついてワンワンと泣き始めた。
エルゴは頭をかきながら苦笑いしている。
「危うく溶かされるところでした。一か八かの作戦が上手くいったようで良かった」
「…うっ…うっ……あきらめたんじゃ無かったんだな」
「そんな選択肢はありません。カレーが食べれなくなります」
「良がったー! 良がっだああ!」
どこかでゴゴゴッと音がする。どうやら出口が開いたようだ。子供たちは、そんなことは関係無いとばかりに泣いている。しばらく3人の頭を優しく撫でていると、少し落ち着いてきたようだ。
エルゴが収納庫から、ハチミツレモン水の入ったピッチャーを出すと、中の氷がカランと音を立て広場に響き渡る。3人がその音に泣くのを止めて上を向く。まだまだ花より団子のお年頃のようだ。
「さて、あなた方のおかげで死に掛けました。あなた方が勝手な行動を取ると、周りが迷惑すると肝に銘じましたか?」
「……」
「あなた方には経験が足りていません。戦闘だけではなく、何かを判断する場合もです。周りには経験豊富な大人がいます。まず周りの大人に相談して、説得する努力を怠ってはいけません。それではいつまで経っても成長できませんよ。未来の村長さん」
「「「ごべんなざーい」」」
「よろしい。では帰りますか」
エルゴ達が広場の階段を昇ると、ミノタウロスと戦った広場に出た。他の冒険者はいないようだ。アロロクに念話で連絡して合流する。
「怖い思いをして反省したようだな、小僧ども。シッシッシッ」
「ごめんよ、姉ちゃん」
「アロンも反省しました。もっと強くならなければいけません」
「……」
話を聞くと、ヘーデリアも大物を仕留めたようだ。満足気に胸を張っている。ぞろぞろと連れ立って出口に向かう。外はすっかり明るくなっていた。
一陣の風が吹き、6人の子供の髪をサラサラと揺らす。どの顔にも疲れと自信が伺える。
「アロロク、では私は先に帰ります。夜通しライブ中継を見ていた。呼人様たちの朝食を用意しなければなりません。呼人様もマリア様もおばば様も、寝不足でお冠でしょう。空腹では、どんな雷が落ちるかわかりません」
そう言って飛び去った、エルゴの言葉を聞いていた子供たちに緊張が走る。ヘーデは微かに顔をしかめ、アロンは青くなって頭を抱える。トンキたちはオロオロと顔を見合せている。みんなの頭に、「ヤバい、怒られる」という言葉が浮かんだのは言うまでもない。
帰り道、砦を抜けたあと6人は、アロロクの魚雷に乗って、一路箱庭を目指して飛んでいる。
「子供の願い~♪ほい!、子供の祈り~♪ほい!、影で!さ~さ~える~♪ご~に~ん組~♪、魔法!乙女せ~んたい~♪、あ~く~を討つ~♪や~みを討つ!
ヘーデリアが何を思ったか、突然歌い始めた。他の子供はギョッとして、ヘーデを注視する。いつも片言で会話が少ないヘーデが、流暢に歌い上げている様に言葉も無い様子だ。
「ヘーデ、なんだ、その歌は?」
「ヘーデ、マリアに教えてもらった」
「魔法乙女戦隊の歌ですか。アロンは良い歌だと思います」
「ん、マリアえらい」
「マリアに感謝。シッシッシッ」
「ヘーデ、マリア好き」
「俺たちは俺達を救ってくれた、マリアさまも呼人の兄ちゃんにも感謝してるよ」
「ヘーデ、呼人も好き」
「呼人は私のもの。シッシッシッ」
6人は、ひとしきり笑った後、また箱庭へと飛び始めた。
「互いに抱きあ~う~♪こ~ど~も達~♪おと~め~、こってりラ~メン~おお~ぉ、は~ぶ~てぃ~♪、だい~好き~~♪
わ~た~し♪ヘーデよ~♪るるららるう!」
ヘーデの歌は続く、アロンもリズムに乗って首を左右に振っている。3人組も「ラーメンって変なの」「変、違う!」「痛っ! 叩くなよ」と楽しそうだ。
今度は「ラ~メン大好き、ヘーデさん~♪」と歌い出したヘーデリアに、「魚雷大好き~」とアロロクが続き、アロンが「映像大好き~」と歌たうと、3人組が「ステーキ大好き~」「プリン大好き~」「刺身大好き~」と、次々に歌いだす。
彼女たちは、魔物、人間、孤児、男の子、女の子、各々の立ち位置に違いがある。だが、そんなことは彼女らにとって些細なことなのだろう。
朝の柔らかな陽光が飛行する6人を照らす。
迷宮のある大きな山をバックに6人は、みんなの待つ箱庭へと急ぐ、そこには、いろいろとやり遂げたことを誇るように陽気に歌う、ヘーデリアがいた。
「「「ただいま~」」」
「ゴンッ」「ゴンッ」「ゴンッ」
ただいまのあとは、拳固の雨が降った。ハルナがトンキ、シンベ、タンタの3人組に拳固をお見舞いし、お小言を言っている。「なんで俺達だけ…」と頭を擦り、不満そうな3人組の頭が、もう一度鈍い音を立てたのは言うでもない。
マリアは、ヘーデに抱き付いてワンワンと泣き、おばば様はアロンに「判断が甘い」「迷宮など10年早いわ」と、アロンの頭を撫でながら言う。行動と言動が一致していない。
呼人は、アロロクに「楽しんだか?」と聞き、エルゴに不利になったら「逃げろ」とは言うけど、「工夫せんかい!」なんて言わないぞ。と拗ねてみせる。
あのあとヘーデリアは、ダンジョンでドラゴンを倒した。
体長30mはあろうかというドラゴンに対して、ヘーデが「ちっちゃい超重力子爆弾ドカ~ン」と、放った魔法がドラゴンの片翼を引きちぎり、飛べなくなったドラゴンを、アロロクの物理攻撃とヘーデの魔法でねじ伏せたのだ。
それを画面で見ていたマリアが、「爆弾は封印したはず」と、呼人に詰め寄ったのは当然のこと。呼人は、え~、あ~、と目を泳がせるしか無かった。
前に精霊さんが話した内容では、ドラゴンを倒した人間の記録は無いとのことだった。呼人が、ダンジョンにはドラゴンが出るのだなと、クロールミアに聞いてみたら、多分ダンジョンの切り札だったのだろうと言う。「過去に死んだ、ドラゴンの遺体を手に入れて作った粗悪品じゃ、大した力も無かろう」と興味無さげに答えていた。
呼人は更に、カプドヴィエル家に喧嘩を売ることにならないのか? と聞くと、「戦うのは自由じゃ」とこれも素っ気ない。
ドラゴンの素材は、魔石、革、鱗、脚肉、背肉、生肝、血、牙、爪など豊富だった。
魔石は呼人がもらい、革、鱗、爪、牙はウーテが買うと言う。ウーテは意外と、人間界の世情に明るく金持ちだった。趣味の武器作りの素材にするそうだ。
生肝と血(瓶入り)は、おばば様が薬の研究をすることとなった。文献でも見たことがない素材に、おばば様の目が血走っている。
そして肉は当然食べる。ヘーデが「ラーメン一丁!」と、言い出したら止まらない。
脚肉も背肉もデカい。当分肉には困らないだろう。どちらも骨付きだったので「分解」で骨を分け、大きな鍋でダシを取った。ダシを取った後の骨はウーテに売る。これも素材にするらしい。
全員で分担して麺をこね、焼竜を作り、スープを味付けする。ドラゴンの背脂をいれた、こってり竜骨味だ。
みんな凄い勢いで食べている。
呼人とマリアは、「ダンジョンで戦うより、ラーメン食べている方が幸せだな」と相槌を打ち。ウーテとハルナは、「戦いの無い人生なんて真っ平ごめんだ」と笑い合う。
それぞれの生き方で生活を楽しむ、呼人たちの午後の食事風景であった。
『猫のつぶやき:今後の予定は、悩みシリーズが続くにゃ。登場人物達は、のほほんと生きているようで、いろいろ悩みを抱えているにゃ。王族案件もあるにゃが、神と戦ったあとで今更と思うかもしれないにゃ。マクロな世界のトップの神様とは決着がついたにゃが、ミクロな世界のトップも面倒な存在にゃ。
その後は帰省編の予定にゃ。呼人の家族やマリアの○○やメリカ帝国(元の世界の一国)艦隊も登場するから楽しみに待つにゃ。
ではでは、ハブァ・ナ~イストリップにゃ』




