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閑話 黄色いあいつ

 彼の名前は五郎。カレーが大好きなウォンバット。彼はマリア(おっさん)の使い魔である。

 

 マリアの仲間の呼人(よぶと)が作り出したスライムゴーレムという魔物は、スライムの体組織をゴーレム魔法陣で動かしている。

 魔物の核となる魔石に、勾玉(マガタマ)と呼ばれる魔導具を使用していて、魔法能力に優れており、スライムの体組織は形状、色、硬さを自在に変化することが可能なので、物理的にも優れた魔物である。

 五郎はベースボディとして、ウォンバットの形状を与えられ、使い魔の中で唯一の動物型として皆にかわいがられている。

 

 ウォンバットとは、この大陸ではないある大陸で、珍獣と呼ばれている動物で、体長は100㎝ほどあり、子熊のように丸々と太っている。いつもマリア達の後ろを、短い足でトテトテと付いて歩く姿はとても愛らしい。

 コアラの近種と言われるだけあって、鼻は大きいがコアラほどではない。目と耳が小さく、尻尾は無い。

 もふもふな毛並みは灰色なのだが、なぜか黄色いTシャツ(胸に赤い熊柄)を着せられている。五郎本人は、勿論(もちろん)気に入っているのだが、マリアもヘーデリアもかわいいと言って褒めてくれるので、自慢の一張羅(いっちょうら)となっている。

 

 マリアは五郎の(あるじ)なのだが、自分達は親子なのだと言う。だからマリアは五郎の親として、もう一人の使い魔のヘーデは、お姉ちゃんとして五郎に接してくれるので、ついつい甘えてしまう。そんな家族と大好物のカレーを食べる日が、五郎は1番好きなのだそうだ。

 

 

 

 五郎は今、街の中をトテトテと歩いている。夜のダンジョン街だ。

 マリアとヘーデと一緒にベッドに入った五郎は、一度は寝入ったのだが、先ほど散歩から帰った同僚使い魔の声に起こされた。

 

 五郎も含めて、使い魔たちは特に寝る必要がない。そしてある程度の自由が認められている。主の呼人が寝たあとエルゴを護衛に残して、ハルナとアロロクは街に散歩に出掛けた。

 2人は食堂に行き、「鶏肉のトマトスープ煮込み」と「エール」を頼み乾杯したのだ。お金は何かあった時のためにと、(あるじ)の呼人から渡されていて自由に使える。

 初めての酒と食事を堪能(たんのう)したあと、ご機嫌な2人は宿の窓の隙間からニュ~っと室内に入り、主の布団に潜り込んでいった。

 そして布団から追い出された幼竜のクロールミアが、「(わらわ)も散歩に出る」と言うので、エルゴと一緒に窓から出て行った。

 

 五郎は、のそのそと布団から()い出して、窓の隙間に身体を溶かすように差し入れる。隙間は極々小さなものだが、核も引っ掛かることなく易々(やすやす)と外に出た五郎は、ある方向を目指して歩き始めた。

 

「おで、気になる」

 

 五郎は、街の中をトテトテと歩きながら(つぶや)く。夜と言っても街には、まだ人通りがある。犬でも猫でもない動物が歩いていれば、人は驚くかもしれない。

 だが五郎は、気配を絶つ技を身に付けている。変形と共に、同僚使い魔のエルゴが教えてくれた技術だ。だから五郎を見咎(みとが)める者は誰もいない。もし見咎められても、影に擬態して逃げれば問題無いであろう。

 

 

 

 五郎は気になっていた。それは昼間のこと、マリアと呼人が街を散策している時に、マリアの腕輪となって、腕に()められていた五郎は、獣の(うな)り声を聞いたのだ。

 他の皆は気にしていなかったが、悲しい唸り声が微かに聞こえた。

 

 五郎は、声が聞こえた付近で立ち止まり耳を澄ます。

 

「おや、五郎ではないですか? あなたも散歩ですか?」


 五郎は期待した声と違う、聞き慣れた声に振り返り、ここまで来た理由をエルゴ達に話した。

 同僚使い魔のエルゴは、お気に入りの燕尾服(えんびふく)に大刀を腰に差して、幼竜のクロールミアを肩車していた。そして五郎の前にしゃがみ込んで話を聞いたあと、興味深げにこう言った。

 

「ほう、悲し気な鳴き声ですか」

(わらわ)は聞こえなんだが、ダンジョンの魔物が抜け出してきたのかのう」

 

 エルゴの(げん)に、クロールミアが答えている。エルゴは、それに対してマニュアルから得た情報を思い出した。

 

「売買用の魔物かもしれませんね」

 

 この大陸では魔法が簡単に手に入る。その中に「騎獣召喚」と言う魔法があるため、乗り物としてやペットしての、生きた魔物の売買はあまり盛んではない。ただし権力者の中には、強い魔物を従えて、(えつ)に入っている者が(まれ)にいるそうだ。

 

「人間とは、(おろ)かな生き物じゃな」

「そうですね。中には愚か者がいると言った方が正しいですよ。呼人様は人間ですが偉大な方です」

「おで、気になる。なぜ悲しいのか」

「五郎よ、生きて捕まった魔物は、妾やお(ぬし)と違って自由が無くなるのじゃ。扱いも苛酷(かこく)と聞く、(なげ)きたくもなろう」

 

 幼竜のクロールミアが自身の知識で答えた。クロールミアは幼竜だが、五郎達より長く生きている。人間の情報も親から聞いていた。

 五郎は、呼人によって最近作られたばかりだ。初めから仲間に恵まれた彼は、日々楽しく暮らしているため、悲しいという感情がよく解らない。それで気になって唸り声の主と話してみたくなったのだ。

 

「確か、こちらに倉庫があったはず」

 

 エルゴが言うように、道を1本(へだ)てた裏手には倉庫らしき建物があった。

 

「大きな倉庫じゃのう。しかし扉の鍵は厳重じゃな、これでは妾だけ入れないではないか」

 

 文句を言いながらクロールミアが、口を大きくあける。ゴオーと音がして、倉庫の壁に幼竜のブレスが炸裂した。余程に高温のブレスなのであろう、壁は瞬時に燃え落ち、直径50㎝ほどの穴が開いた。

 ルミアが中に入った頃には、五郎もエルゴも扉の隙間から内部に侵入しており、中を伺っている。

 

 五郎がキョロキョロと倉庫の中を(うかが)っていると、エルゴが「ライト」と魔法を唱えた。同時にエルゴの右手から、照明球が現れて、倉庫の天井付近までフヨンと飛んで行く。

 照明球は、大きな倉庫の内部を ほぼ全て照らし出している。そこには大小様々な(おり)が数多く並べられていて、檻の中には魔物が入れられていた。

 

「これほど数が多いとは思いませんでした」

「確かに気配は多かったが、これほどとはな」

 

 エルゴとクロールミアが魔物の多さに驚いていると、エルゴ達以外の声がした。

 

「誰だ、こんな夜更けに?」

 

 エルゴ達が声のした方を見ると、一際(ひときわ)大きな檻の中に、獅子の体躯に鷲の顔、前足、翼を持った大きな魔物が寝そべっていた。

 大きな魔物は、深夜の闖入者(ちんにゅうしゃ)を 首をもたげて一瞥(いちべつ)している。

 

「ほう、グリフォンとは珍しいのじゃ」

「おで、気になる」

「その方らは、何者だ? 強き魔物の気配だが」

「夜分に恐れいります。私の仲間が悲しげな鳴き声を聞いたそうで、正体を探るべくお伺いしました」

 

 そう言ってエルゴは、自分と五郎、クロールミアを魔物に紹介した。グリフォンは「我に名は無い」と言った。そしてエルゴ達の訪問理由に対して、こう答えた。

 

「ふむ、我等はダンジョンに住まう魔物。それが人に捕らわれ、自由を奪われるとは(なげ)かわしいと、思っている者も多い。そんな慟哭(どうこく)が、漏れてしまったのであろう」

「これほど多くの魔物を捕らえて、どうするのじゃろうな」

「人間どもは、どこぞに放して人を襲わせると言っておった」

 

 クロールミアの問いにグリフォンが、人間から聞き(かじ)った情報を教えてくれた。

 

「ほう、これほどの魔物をですか。ずいぶんと危険な(たくら)みをする者がいるのですね」

「我は、(ほこ)り高きグリフォン。戦いを挑んできた人間とは戦うが、無益な戦いは好まぬ。しかし隷属(れいぞく)の呪法により(あらが)えぬだろう」

 

 エルゴがニヤリと笑い、グリフォが嘆く。そして五郎はグリフォンに言った。

 

「おで、悲しい。嫌なことやる、家族悲しむ」

「ダンジョンで産まれた我等に家族はいない。お主が悲しむことはない」

 

 グリフォンは、なぜ他人が悲しむ必要があるのかと、五郎に説いた。

 そんな彼にエルゴは、自分たちには人間の家族がいて、その人間に危険が及ぶ可能性のある企みは、排除せねばならないと説明した。

  

「呪法は術者にしか解けぬ。我にはどうにもできぬが、お主なら我等を殺すのも容易(たやす)いはず、如何様(いかよう)にもするが良いさ」

 

 グリフォンは、自分ではどうしようもないことがわかっているのか、何処(どこ)か投げやりだ。

 

「そのようなことをすれば五郎が悲しみます。その呪法とやらを、少し見せて(いただ)いてもよろしいですか?」

 

 答えを待たずにエルゴは、(さく)など無いかの(ごと)く檻を通過して、檻の内部にいるグリフォンに近づいていった。そしてエルゴが、グリフォンの腹の辺りに手をかざすと、魔法陣が浮かび上がる。

 その魔法陣を、ためつすがめつ眺めるエルゴは、時おり「ほほう」だの「面白い」だのと呟きながら魔法陣を解析して、納得した顔で(うなず)いている。

 

「呪法が解けたとすると、あなたはどうしますか?」

「この檻は頑丈だ。我の爪でも破れまい」

 

 魔法陣の解析が終わったのか、エルゴがグリフォンに問うと、グリフォンは、どうにもならないだろうと答えた。そして更にエルゴが問う。

 

「では檻も出られたら、あなたを捕らえた者を探して暴れますか?」

「我が捕まったのも、生き恥を(さら)しているのも我の不覚ゆえ、そのようなことはせぬ。しかしダンジョンにも帰れぬし、さてどうするべきか」

「おでと、カレー食べる」

「フフ、楽しそうではあるな」

 

 五郎の頓珍漢(とんちんかん)な答えに、グリフォンが苦笑しながら答えている。

 

「精霊の森にでも逃がすのが良いのではないか?」

「それしかありませんね」

 

 このグリフォンはダンジョン産の魔物で、外の世界を知らない。しかも今更ダンジョンには帰れないらしい。自分たちが助けなければ、どうにもならないと思ったクロールミアの提案に、エルゴは(うなず)いた。

 

「少し痛いかもしれませんが、我慢してください」

 

 エルゴはそう言うと、魔法陣を書き換えるために、陣にイメージと魔力を流した。グリフォンは、全てをエルゴに(ゆだ)ねるように成り行きを見守っている。

 

「いかがですか? 呪法は解けていると思いますが」

「なんと、頭の気だるさが嘘のように晴れておる」

「呪法と言っても魔法の一種のようです。我が主は魔法に精通していますので、私も多少は(たしな)みます。もっとも我々が知る魔法とは、ずいぶん異なる術式ではございましたがね」

 

 そう言いながら檻の外にでたエルゴは、腰の大刀を抜き放ち、檻の柵を斬りつけた。エルゴの大刀は、高周波振動ブレードなる、この大陸にはない技術を用いた刀だ。いくら硬い檻の柵でも、ひとたまりもない。

 ガランと、大きな音を立てて倒れる数本の柵。エルゴは、音を聞き付けて監視が来るのも気にしていないようだ。

 

 それから五郎が檻を力ずくで壊し、エルゴが魔物に掛けられた隷属の呪法を解除する作業を、繰り返し行った。その間、クロールミアは、魔物たちをジッと見つめていた。まるで悪意を見定めているように。

 

獅子と大鷲の、合の子のようなグリフォン、スローロリスを大きくしたようなカーバンクル、他には黒いフクロウ、黒い狼、鶏に似た魔物、牛に似た魔物、体長50㎝ほどの蜂や大きなイモムシの魔物もいる。総勢60匹ほどの魔物たちには、何処(どこ)か知性のようなものを感じる。

 どうやら隷属の呪法は、本能のままに行動する、ゴブリンやオークなどには使えないのだろう。ここにいる魔物たちは、みんなエルゴの言葉を理解しているようだ。

 

「これで最後ですかね」

 

 作業を終えたエルゴが誰ともなく問うと、クロールミアがそれを受ける。

 

「そのようじゃな、しかしこのもの達に、悪意が感じられぬのは何故(なぜ)かのう。ダンジョンの魔物とは、もっと殺伐(さつばつ)とした者達かと思うておった」

「ダンジョン産の魔物は、外敵を排除するよう作られたからな、戦うように意識下に()り込まれておる。ダンジョンから出たのは初めてだが、出ると魔物本来の感覚を取り戻すようだ」

 

 自分を納得させるかのように説明するグリフォンに、クロールミアが冗談交じりに、こう言った。

 

「ダンジョンに操られ、人間に操られ、お主も散々じゃな」

「わははは、それを言わんでくれ。確かに(みじ)めな気分だわい。しかしこの惨めさが、五郎殿を呼び込んだわけだから、縁とは面白いものよ」

「おで、面白い」


 グリフォンとクロールミアが話している間に、エルゴが魔石からゴーレムビニールハウスを出して、助けた魔物に中に入るよう(うなが)している。

 ゴーレムビニールハウスは、エルゴの主の呼人が穀物や野菜を育てるために作った、内部が亜空間になっている家だ。外観は小さな家だが、内部には広大な畑が広がっている。初めは狭かった内部の亜空間だったが、呼人とエルゴが魔力を注いで改造を重ね、今ではかなり広くなっているのだ。

 

「さあ、グリフォン殿もこの中に。快適とは言えませんが、森に着くまでの辛抱ですよ」

「何から何まで(かたじけ)ない」

「みんなでゾロゾロ歩いていたら、騒ぎになりますからね。私達の主は目立つ行動を好みません」

 

 そんな会話をしながらエルゴがハウスを納めて、3人は飛行魔法でダンジョン街を飛び立った。

 

 

 

 

 

 その後、五郎たちは、何日か前に滞在した河原へとやってきた。街と違い深い闇に包まれた川辺に、せせらぎだけが絶えず響いている。

 そこにはボンヤリと光る少年が、(ちゅう)に浮いていた。事前に聞いていたかのように(たたず)む、少年の姿をした精霊は、ニコニコとした顔で五郎たちを出迎えた。

 精霊も五郎たちも、暗闇を気にしていない。

 

 

「やあ、久しぶりだね。こんな夜更けにどうしたんだい」

「おで、来た」

「久しぶりですね、精霊殿。いろいろありまして、お力添(ちからぞ)えを頂きたく参上致しました」

 

 精霊さんに、五郎とエルゴが挨拶をしたあとクロールミアが悪態(あくたい)をつく。

 

「なぜお主がおるのじゃ」

「僕の知った気配が近づいて来たからね。出迎えに来てみたよ」

 

 怒ることなく答える精霊さんに、エルゴは事のあらましを話しながら、ゴーレムハウスを出して中の魔物を呼び出した。

 魔物たちは、緊張した面持ちで勢揃いしている。やはり彼らも暗闇を気にしていない、しっかりとした目でエルゴと精霊さんを見据(みす)えている。

 

「彼等をこの森に?」

「ええ、人間が近づかないこの森は都合が良いかと思いまして」

「そうかい、僕は構わないよ。この川より奥に入らなければ、強い魔物も出ないだろう」

「おで、ありがとう」

「なんと、高位の精霊の治める森とは…」

 

 グリフォンは驚きに目を見開いている。そしてグリフォンは自身を(ふる)い立たせるようにこう言った。

 

「エルゴ殿も森の精霊殿も、少し我等の話を聞いて頂きたい」

「なんだい?」

「助けられた身で頼み事をするのは心苦しいのだが、ゴーレムハウスとやらの中で皆と話し合ったのだ」

「私に出来ることでしたら、事のついでですから力になりますよ」

「我等を、このゴーレムハウスに住まわせてもらえぬだろうか?」

 

 そう言ってグリフォンが頭を下げると、周りにいた魔物も同様に頭を下げる。

 そんな彼等を見て、戸惑(とまど)いながらもエルゴ達は言った。

 

「おで、呼人にお願いする」

「とは言え、中は広いと言っても、あなた方に合った環境とは言い(がた)いですよ」

「我等は五郎殿、エルゴ殿、クロールミア殿に恩返しがしたい。この農地の維持や収穫の際には、人手がいるはず。我等に手伝わせてもらいたいのだ。我は、この通りの体ゆえに収穫は手伝えぬが、荷物運びくらいは出来よう」

 

 グリフォンの告白に続いて、クロールミアが彼等の本心を問うように、こう言った。

 

「五郎達の(あるじ)は、(わらわ)の友であり精霊の友でもあるが、人間じゃぞ。お(ぬし)らをこんな目に会わせた、人間に仕えることになっても良いのか?」

「我等は、確かに人間が好きにはなれぬ。しかし恩義には(むく)いたいのだ。それにあなた方が主として認め、友と呼ぶ人間に興味が()いたのも事実。この願いどうしても聞いて頂きたい」

 

 グリフォンの本心を聞いて、これまで黙っていた精霊さんが唐突に笑いだす。

 

「あははは、確かに呼人(よぶと)は興味深い人間だね。面白い、僕も手伝ってあげるよ」

 

 何でも精霊たちは普段、亜空間と同じような、次元の違う空間に住んでいるそうだ。「箱庭」と言われるその空間には、擬似(ぎじ)太陽があり、水場があり、天候が存在しているのだとか。そして草木が豊富な箱庭で、精霊たちは楽しく暮らしていると、少年の姿の精さんは語ってくれた。

 

「精霊は、神の眷属(けんぞく)だからね。いろいろと便利な力があるのさ。森の精霊を貸し出すから一緒に連れて行くといい。呼人の亜空間を箱庭に改造してくれるよ」

「よろしいのですか?」

 

 本来ありえないと思われる精霊さんの言葉に、エルゴは念を押すように確認をとる。それに対して精霊さんは、あっけらかんとこう言った。

 

「僕達には寿命がないからね。人の一生に付き合ったところで、良い暇潰し程度さ。森の暮らしに退屈してる中級精霊もいるし、喜ぶと思うよ」

「呼人も喜ぶじゃろう。亜空間には天候が無いからのう。作物に悪影響があるのではと、懸念(けねん)しておった」

「それは良かった。呼人のことだから、ハウスは一つではないのだろ? 精霊を何人か呼ぶとしよう」

「おで、感謝する」

「現在、大麦が5軒、米が3軒、小麦と野菜が1軒、薬草と牧場予定のハウスが1軒の、合計10軒のビニールハウスが稼働(かどう)しています」


 こうして「魔物監禁事件」は解決した。

少年の姿の高位精霊の呼び掛けに、下位の精霊たちが名乗りを上げて、7人の精霊が貸し出されることとなった。

 精霊は霊体なので、亜空間にも出入り自由である。ゴーレムビニールハウスは多数存在しているが、近い内に大きな変化があるだろう。

 きっと魔物たちにも、住み易い環境となるに違いない。

 

 

 

(作者のつぶやき:精霊は神の眷属(けんぞく)なので、数え方は1柱、2柱の方が良いかもしれません。この作品では1人、2人と数えることにしました。精霊さんは、どちらでもあまり気にしないでしょうけどね)

 

 


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