閑話 蛇足
思いつくままに、つらつらと…
説明、まとめ、備忘録的な何か……読まなくてもOKです。
◆ドラゴンの話
精霊さんと話したときに、面白い話を聞いた。この森に、子供のドラゴンが迷い込んだと言うことだ。ドラゴンは力が強く頑丈で、魔法も使うが、とにかくブレスが強力で、擦っただけでも大ダメージを受けるらしい。
子供のドラゴンでも強いので、出会っても逃げた方が良いと忠告された。
精霊の住む森は、邪神の欠片が封印されている。いろいろ厄介な土地だ。精霊さんは、早く森を出るように説得しているが、言うことを聞いてくれないらしい。
幼竜は、気配を絶つのに長けていて、最近ではなかなか捕まらないと嘆いていた。
ドラゴンは、人前に滅多に現れないらしい。この大陸には、いくつかの竜素材の武器があるが、たまたま落ちていた鱗を加工したもので、過去に人間が竜を倒した記録はないということだ。
太古の昔は、精霊と同じ霊体(アストラル体)だったが受肉して、こちらの世界で生活するようになったのだそうだ。
古代竜では、体長が100mを越えるものもいるとか。平均的な大人の竜は50mくらいで、竜凱境と呼ばれる島に住んでいるらしい。
竜は、竜脈から魔力を得ているのだとか。竜脈とは、この大地の奥底に流れる魔力の大流で、竜族はそこから魔力を汲み取り、糧としているのだ。肉や魚も食べるが当然生食だそうだ
竜凱境は、船が航行できないような、荒れた海域の先にあるとか、深海にあるとか、天空に浮かぶ島だとか言われているらしい。
◆支給品の話
政府からの支給品? 起きた時に横に置かれていた。
・メモ紙:「ネックレスを付けて、マニュアル(スマホ)の電源を入れろ」と書いてある。
・マニュアル:スマートフォン状の黒い箱。タッチパネル。魔法で動く。
・勾玉:ピンク色の勾玉形状の石に、革紐を通したネックレス。
・ドッグタグ:身分証。金属プレートを金属チェーンに通したネックレス。名前などの情報が刻まれている。
・衣類:カーキ色のコートジャケット、ベージュのチノパン、ベルト、ゴツいブーツ。サイズは各人に合わせてある。
・ナイフ:小型で樹脂製の鞘に収まっている。
・食料:携帯食品(×5)と水(500mlペット×2)
・金貨:百円玉大の金貨が10枚
◆勾玉の話
魔力精製器官の代わりに、魔力精製、蓄積を行う魔導具。実は意外と高性能。
実のところ俺は、勾玉はヤバい物じゃないかと疑っている。
元の世界に無い物で、今回の旅には必須の物(これが無いと魔法が使えない)なのに、出所が不透明なためだ。ただの小心者の予感なのであてにならないが、こいつにあまり頼り過ぎると、後々、敵の思惑に嵌まる気がする。
だって物語に有りがちじゃん。一番信用していたものや、一番頼りにしていたものに、最後に裏切られるのってさ。勾玉を持っている人間の、精神を操る魔法とか発動されたらおしまいだろ?
そういう意味では、マリアのことも最初は疑っていた。だが今は「こいつになら裏切られても仕方ないか」くらいの気持ちで信頼している。危険の少ない元の世界だったら、違った気持ちで付き合えたと思うけど、性分なので仕方がない。
勾玉に関しては、密かに代替品を探しているところだ。
◆マニュアルの話
黒いスマートフォン状の箱で、魔力によって動作する。以下の機能を有する。
マップ機能:自動マッピング
情報の検索機能
図鑑などのデータベース閲覧機能
言語や初期魔法のダウンロード機能
静止画の撮影機能
通信機能は無い。
◆新大陸の話
五角形を崩したような外形。ワイバーンに食われる。魔法がある。グロい魔物がいる。精霊がいる。異世界?
邪神がいる? ラスボス?
レベルアップはない。
共通言語がある。砦がある。人間?
◆ゴールは目指さない話
俺は呼人、なんの因果か、ある日突然拉致されて、何処とも知れない大陸に、船で連行された不幸な男。
船内でスーツ姿のふざけた男に、目的を知らされた。馬の被り物を被ったその男は、こう言った。
「では、では~、正解発表です。あなた方には、これから新たに発見された大陸に行って頂きま~す」
「新大陸なんて聞いた事ないわよ!」
「そこでの~活動は全て映像に記録され、テレビ番組として、全世界で放送されま~す」
「無視なの?」
「あなた方の~最終目的は、新大陸の中心にある世界樹にたどり着くことで~す」
馬は一方的に目的を突き付けた。ゴールの世界樹を目指せと。
だが断る。俺はゴールを目指さない。
俺達はゴールの世界樹を目指すように、この大陸に連れてこられた。俺達の意思と関係なくだ。政府と運営側によって強制的にだ。しかし政府はやる気が無いという。政府と運営側にゲームの勝利を強制されたわけではない。勝利しないとペナルティか課せられるわけでも、ゴールを目指さないと尻を叩かれるわけでもない。
「逆に世界樹に近付けば近付くほど、他国の軍人と接敵する可能性が高くなるわ、つまり私達の命の危険が増すというわけね」
「そうだ俺達は、真面目にゴールを目指すと確実に死ぬ。相手は自国の威信を背負った軍人だ。この地を他国に渡すくらいなら、殺してでも阻止してくるだろう」
「現状では、そうなる可能性が高いわね」
「だから俺はゴールは目指さず、生き残る道を選ぶ。これが俺の今後の行動原理となる」
実際、他国の軍人が世界樹にたどり着けば、このゲームは終わる。その時点で俺達の役目も終わり回収される可能性は高い。
だから母国に帰れないと決まったわけではないのだが、船内での馬とのやり取りでは、ゲーム終了後の俺達の扱いについて教えて貰えなかった。
◆自分を鑑定した話
前にウォータードッグ(大山椒魚)に鑑定の魔法を掛けた。名前や素材の部位、素材の相場などの情報が判明した。
自分に鑑定の魔法を掛けると、どんな情報が得られるのだろうか?
名前、年齢、性別、加護の情報しか無かった。
マニュアル調べだが、他に貴族の爵位、軍の階級、称号、国家機関の役職、犯罪歴、各ギルドのランクなどの情報が得られるらしい。
特筆すべき事項として、マリアの情報が年齢:超、性別:超、になっていたと書いておく。本人曰く、乙女は年齢も性別も超越しているらしい。
なんでだよ!
因みに、鑑定情報にレベルの情報は無い。この大陸ではレベルなど無いのだ。ゲームやラノベでは、魔物を倒すなどの戦闘経験を積むと、レベルアップしてHPやMPが上がったり、力が上がったりするのが定番だが、この大陸では戦闘経験により、戦闘を上手くこなせるようになるが、レベルアップの恩恵はないそうだ。
まあ、当たり前だ。レベルアップで力の上限が簡単に上がるなら苦労はない。身体を鍛える必要もないし、オリンピックでアジア人が、欧米人や黒人に圧勝できるだろう。現実的には能力の低いものがいくら鍛えても、身体能力の高い者には、おいそれとは敵わないのが現実だ。
後日談だが、鑑定の魔法をいろいろと改造してみた。
感度を上げたり、プロテクトらしき部分を削ってみたり、そうしたら、自分の脳内情報を閲覧できるようになった。コピーして持ち出して、魔石に移植したりもできる。データベースとして使えるかも知れないな。
マリアに了承を得て、他人に使えるか試してみたがダメだった。プライバシーは大切です。
◆魔法の基本セットの話
この大陸では、成人式に国から「魔法の基本セット」が支給される。
魔法の基本セットをインストールすると、
◆生活魔法(着火、給水、灯火、収納、浄化)
「着火」は、指先に小さな火が灯る。威力が変えられないし、火球のように飛んで行くこともない。
「給水」は、指先からチョロチョロと水が出る。
「灯火」は、指先の近くに小さな光の球がフヨフヨ浮いて、指について移動していく。手元を照らす程度のようだ。
「収納」は、6畳ほどの亜空間に、荷物が仕舞える。収納庫はいくつも作れるので、実質無限収納庫だ。
「浄化」は、身体や着衣を洗浄する魔法。
◆飛行:空を飛べる。箒などの補助具が必要。
◆騎獣召喚:騎獣を魔力で形成する。飛べない。
◆鑑定:物品の情報を得る。
◆治癒:軽い怪我を治す。
◆TV:この魔法は詳細不明だ。何がしかの映像を受信する魔法なのだろう。撮影や配信の魔法もあったりして、それを使って元の世界への放送も行っているのかもしれない。カメラが見当たらないのは魔法が絡んでたようだ。
が使えるようになる。どれも便利そうだ。
俺達は、飛行と騎獣召喚とTVの魔法については、最初の街に着くまで使用が制限されているようだ。飛んで行けば森などすぐに抜けてしまうからだろう。
◆魔法の話
少し魔法について話そう。この大陸では、魔法は簡単に手に入る。スクロールに描かれた魔法陣や、他人が発動した魔法陣に手をかざして「インストール」と唱えれば、自分の脳内に魔法陣が登録されて、使用可能になるというお手軽さだ。
この大陸の住人は、成人式に国から魔法の基本セットと言う、いくつかの魔法が配給されるので、大抵の人間が手軽に魔法を使い生活している。
しかし人によって得手不得手はある。この大陸の人間には、俺にはない臓器があり、その臓器の性能には個人差があるのだ。
この大陸の人間には、魔力精製器官と呼ばれる内臓があるらしい。大気中の魔素を取り込んで、魔力に変換する器官だそうだ。変換した魔力を蓄積するのもその器官らしく、蓄積魔力量や変換速度は人によって違うそうだ。魔法の得意、不得意はこの器官によって決まるのだ。
この器官は俺達には勿論ない。だが支給されたピンクの石、つまり勾玉が魔力精製器官の代わりとなる。この勾玉が大気中の魔素を取り込んで、魔力を精製、蓄積するのだ。
勾玉は持っているだけで使えるので、2つあれば、魔力回復量と魔力量が、今の2倍になる。
因みに勾玉は高位の魔導具で、その性能は優秀らしい。この大陸の一般的な魔法使いの魔力精製器官より、精製も蓄積も数倍の性能があると言うことだ。つまり使った魔力がより早く回復して、魔力の蓄積量も多いのだ。
魔法はイメージに魔力を混ぜて、物品や現象を具現化できる。脳内でイメージして発動することもできるが、大抵は魔法陣に頼って発動する。イメージするのに時間が掛かるからだ。
そして魔法陣は改造が可能だ。コンピュータープログラムのように、変数を書き換えて威力などを変えられる。ただし魔法陣の文字は、この大陸の共通言語ではない。神代文字と呼ばれる神が扱う文字だ。
普通の人には読めないので、魔法陣同士を見比べたりして、文字の意味を予想して改造している。非常に面倒だが今は仕方がない。
俺はいろいろ研究して、新たな魔法などを開発しようと思っている。
例えば「魔法の基本セット」にある「収納」や「飛行」は、見るからに有効そうだ。収納庫の亜空間技術を転用できれば、いろいろ使える。飛行魔法は重力制御などの技術が手に入りそうだ。
科学技術では難しいことも、魔法では簡単な場合があるのが面白い。
そして今、取り組んでいるのが対人戦闘における有用な魔法だ。例えば火魔法の火球を飛ばすとする。問題点がいくつか上げられる。
・詠唱することで、魔法を撃つことが、また種類がバレる。
・指先から発射することで、軌道がバレて避けられる。
つまり詠唱する、手を上げるなどの予備動作は、避けてくれと言っているようなものだ。だから指先からではなく、おデコからも発射できるようにした。
魔法がいきなり頭上に現れて、視線の先に飛んでいくのだ相手もビビるだろう。しかもこれなら手を縛られても、魔法が撃てるので便利だ。詠唱も発声しない。心の中で唱えるだけで魔法が発動するようにした。
まだ完成していないが、指先に火球を作って投げるのではなく、直接、相手の身体(魔力)に作用できないかと考えている。つまり視線の先に直接魔法を具現化させるのだ。相手の脳や心臓が突然、燃えたり爆発したら避けられないだろう。もはや魔法というより魔眼だな。
マリアに、この構想を話たときの会話がこうだ。
「あなた、それ無敵じゃないのぅ」
「まあ、そうだな」
「シレッと言うんじゃないの!」
「俺は小心者だぞ。これくらい高い優位性を保持してないと安心できないの!」
だって拳銃だぞ、マシンガンだぞ、対戦車ミサイルだぞ? これくらいないと不安じゃないか。
それに邪神だぞ、ラスボスだぞ? 神相手にこれくらいで勝てると思う方が、どうかしてるぞ。
◆バリアの話
この大陸には風魔法がなかった。空気を認識していないからではないかと思う。風は空気の揺らぎだ。透明な何かが見えない動きをしても、魔法としてイメージできないのであろう。
空気の存在を知っている俺は風魔法を作った。そして空気を操ることを覚えたので、派生でいろいろ魔法を開発している。
雷魔法:空気中の分子をぶつけ合い、摩擦で静電気が発生することを利用して雷撃を飛ばす。
エアハンマー:空気中の分子を強固に結合して、空間に空気の固体を作り出して飛ばす。
バリア:空気中の分子を強固に結合し、自身の周りにカマクラ形状の壁を作る。
バリアは予想外のできだった。空気の壁なので、外部からの物理攻撃を遮断するのだが、内部からも外側に攻撃できないと思っていた。しかし実際試してみてビックリした。外から叩いても、ビクともしないのは勿論だが、内から石を投げたら通ったのだ。
そしてバリアは、魔法結界(飛んでくる魔力に干渉し霧散させる)も兼ねている。当然、魔法も内外から撃ってみた。
マリアにバリアの外側から、いろいろな魔法を撃ってもらったら、外側からの魔法はきちんと遮断した。そして俺が内側から魔法を撃つと、内側からの魔法は通ってしまった。
バリアも、試射した魔法も、同じ自分の魔法だからかな? とも思い、マリアに内部から魔法を撃ってもらったら、これも通してくれた。
これは便利だ。ご都合主義だ。願えば叶う。魔法って不思議だね。
ただバリアを張ったまま移動はできなかった。そしてバリアの範囲から出てしまうと戻れないなど、不便な点も見つかった。
いろいろ試したが、カマクラ状の全周囲バリアではダメだが、盾状の部分バリアなら移動が可能なことが分かった。
因みに、魔法の詠唱文は、魔法を作る時に適当に決めたもので、これを詠唱することで脳内の魔法陣が起動する。
特に母国語に拘っていないが、語呂や雰囲気で決めている。複数登録すれば、違う呪文でも同じ魔法が発動したりする。例えば水を出す場合に「給水」でも「水」でも「ウォーター」でも水が具現化できる。
◆ゲームのおさらいの話
俺は呼人。なんの因果か、拉致られた先の薄暗い船室で、ガチムチマッチョなマリアと同室になった
拉致の目的は、とあるゲームに参加させることだった。新大陸で世界樹を目指せと宣言されたのだ。
ゲームの詳細だと説明された情報は少しだった。
・新たに発見された大陸を所有する国を決めたい。所有国は新大陸でゲームを行い決定される。その模様は全世界に配信される。
・ゲームの勝利者がいる国に、新大陸の全権が委ねられる。(土地、資源、先住民の管理など全てが勝利国の自由)
・参加国は、ビエト連邦、ヨロハ共同体、メリカ帝国、愚国、和賀国の5か国。参加者は、各国20人ずつの合計100人
・ゲーム開始は、今から60時間後の予定。事前に予防接種が行われる。参加各国が大陸の各地に散らばり同時刻に上陸、最終目標の世界樹を目指す。
質疑応答と称した、おふざけタイムにも少し情報を得た。
まず俺達が所属する和賀国以外の、4か国の参加者は全て軍人で、国に選ばれた精鋭であること。
戦闘機や戦車など大きなものは持ち込めない、手に持てる範囲の荷物は持ち込める。
和賀国は、やる気がないので囚人を送り込んだ。
ということだ。戦闘機や戦車などと言っている時点で、武器の持ち込みがあるのだろう。
敵が戦闘技術に長けていて、武器も持っている可能性があることが、事前に聞けて良かった。とにかく奴等に会ってしまったら、俺達に勝目がないことは分かった。
しかし土地とか資源とか、凄まじい利権が絡んでいるのだろうけど、新大陸なんて話し合いで分割統治すればいいじゃん。なんでわざわざゲームとか、テレビ放送とかするかなぁ。本当、意図がわからん。
因みに、馬が言っていたゲームの勝者への報酬は、
10億円。
母国と新大陸に土地と豪邸。
囚人は犯罪歴の抹消。
全世界的な英雄になれる。
だそうだ、どれも軍人80人倒せたらの話だけどな。俺は視聴者側でよかったのに…
こうして俺は、予防接種と一緒に睡眠薬を打たれ新大陸へと運ばれた。




