8話
まだ付き合いはしていないものの、俺と町子はその一歩前くらいまではいけそうになってきた。
まず放課後……。
「一緒にかえろっ♪」
町子が俺の腕に抱きついてくる。
「おう、じゃあ帰るか。おーい、千代」
「……悪いね。ちょっと立てないから引きずってくれ」
「へいへい」
机に突っ伏して動けない千代の首根っこをつかんで引きずる。
「じゃあ自転車置き場に行くか。ん? どうした町子?」
「…………、なんかムード違うわよねー、2人きりでもないし」
「ああ、そうか……」
そうだ。特定の彼女と付き合うというのは、こういうことだ。南のときは、まだそこまで気にしていなくて、一緒に栄子がいることも珍しくはなかったが、今は子供ではない。確かに問題ではある。
「いいぞー。チー先輩。ムードを壊せ! ついでにその超虚弱体質を伝染させてしまえー」
そしてこっそり隠れているのにやたら声のでかい栄子。確かにこれはムードも何もあったものではない。
「はい、失礼しまーす」
すると会長が現れた。
「お、チャンス! その無駄に高い戦闘スキルで共通の敵であるあのドッペルゲンガーを下がってる原価にしてしまってくださいー」
「ごめんなさい。ちゃんと引き取っておくから。来なさい、千代に栄子」
「え、まさか会長は敵? いくらもらったんですか!」
「うるさい。邪魔をしないってことにしたでしょ。来なさいよ」
「うなー!」
「とりあえず会長に乗せてくれー」
そして会長は千代を担いで、栄子を引きずっていった。
ニコニコ。
その状況が満足なのか、町子は笑顔である。
「それじゃあ一緒に帰りましょっ。桂太郎君」
「あ、ああ」
ちょっと怒涛の展開に驚きつつも、俺もうなづいた。




