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6話 

前回行われた中間テストの順位の張り出しがあった。


「今回も私たちのグループが圧勝じゃないの。さすがね皆」

 

昼の時間集合がかかり、全員集合となる。

 

中間テストは主要5科目、国語、数学、理科、社会、英語の5科目のみになる。


「まず3年生は、私だけだけど……、500点中、496点で1位よ。社会を1問だけ間違えちゃって……、あの社会の先生は変な問題を作ってくるから嫌いなのよ」

 

会長の社会の先生は1年の時に自分も受けているから知っている。60点は必ず溶ける問題、20点は頑張れば解ける問題、10点がかなり頑張れば解ける問題、残り10点がまず解けない問題をいう出し方を行い、60点は取れるが、80点以上が非常に難しいという強者に厳しいテストの出し方をする。そのため、


彼が担当になると、暗記科目であるはずの社会のテストが以上に難易度が上がる。


「フハハハ! 2年生は、俺が、500点満点で1位だ」


「私が474点で2位だよ、やはりマーク式じゃないと疲れる……」


「自分は472点で3位です」


「私は転入試験で同じ問題を受けました。465点で4位ですけど……、このグループレベル高すぎですね……、私前の学校ではずっと1位だったのに」


颯斗が100点を取れない問題はそれは問題を作った側が悪いということになっている。事実彼は、例の社会の先生が相手でも100点を取っている。

 

千代は英語のみ74点で後は満点なのだ。もろ大和撫子で日本人丸出しの彼女は英語は苦手らしい。

 

自分は100点はなく、90点前半がちらほら。


「pgrwww、所詮偽物だなー、お姉ちゃんに頭で負けてやがんの!」


確かに南は頭がよかった。颯斗の双子の妹だからな。中身や見た目は似ていなくても、天才肌ではあるのだ。俺は十分成績はいいほうだったが、南には1度も勝ったことはない。


「言ってくれるじゃない……、栄子ちゃんは何位なのよ」

「488点で1位じゃい! どや!」


「うそ……、バカっぽいのに」


「次言ったら、いくら顔が似ててもグーパンするぞ!」


「どう考えても言動とかがバカなのに」


「こいつ確かにバカだが、勉強はきちんとできるんだ。腐っても天才颯斗との血のつながりがあるんだ」


「そういえばそうだったわね」


従兄妹でもやはりスペックは劣らないというわけだ。本当にこの見た目とあのキャラに今でも俺は成績が騙されかける。


「全く、普段からおバカな言動をしているんですから、それで勉強もバカだったら救いようがないじゃないですか。ご飯はたくさん食べるのに、料理は全くできないキャラみたいなもんですよ」


「そのたとえが適切かどうかは俺には分からんが、多分ほとんどの人間はお前の成績を見ない限りはそうとしか思わないぞ」


「嘘! 皆節穴ですか!」


「みんなが普通で気づくやつが慧眼なんだと思うぞ」


こういうタイプのキャラは通常バカなはずなのだ。


「さーて、名誉毀損でこの女を訴えて、ついでに肖像権の侵害でも訴えて……」


「その前にお前が名誉毀損だ。謝れ」


調子に乗り始めた栄子を小突いて謝らせようとする。


「し、しかし先輩も知っているでしょう、私が宗教上の理由で頭を下げられないことを」


「お前のうちも浄土真宗だろうが」


「ちなみに俺が神自身だから、俺は仏は信じない」


「颯斗は面倒だから出てくるな」


「全く、とにかく私はお前をお姉ちゃんとは認めない。先輩とくっつかれたら、私はお前をお姉ちゃんと呼ばなければならない。そんな屈辱は受けれない、カノッサだ」


「別に俺とお前は兄弟姉妹の関係じゃないんだから、そうなってもお姉ちゃんと呼ぶ必要性はないだろうが」


「それは戸籍上の話です。私と先輩はソウルでつながっていますから」


もううるさい。こいつなまじ頭いいから、何言っても何かしら帰ってくるんだよな。






「はいあーん」


「あーん」


さて、今日は町子と一緒に昼食タイムである。会長がおぜん立てしてくれたのである。


「美味しい?」


「うん、美味しい」


小さい頃によく南とやっていて、中学、高校となってもやっていけると夢見た光景が再び。ああ、幸せ……。


「って、何で会長がいるんですか」


だが、2人きりではない。会長同伴である。


「私もそれは気になる……、仮にも初めてのランチタイムで」


「もう既に町子ちゃんもうちのグループ、だからリーダーとして初心者の2人を監視よ。さすが持つべきものはリーダーね」


「まじでやめていただきたい」


「でも仕方ないといえば仕方ないのよ。えーと会長さんって呼んでいいですか?」


「もちろん、あなたも私のグループだから」


「はい、会長さんがいないと、暴走したあなたを止める人がいないの」


「……その件を言われると何もいえません」


俺はどうしても南の姿を彼女に求めてしまい、ちょくちょく暴走してしまう。颯斗は面白がるだけ、栄子は更にカオスにするだけ、千代は何もできない。となると、こうなるしかない。


「♪ 料理苦手な女の子が彼氏に初めてお弁当を作るときの話やけど~、苦手でも手作りして、健気さをアピールするか、お母さんに作ってもらって、これを自分が作ったと言い張ってしたたかさを見せるかは~、自由だ~」


「千代は何してんだ」


また古いネタを口ずさんでいる。古いお笑いが相変わらず好きなようだ。


「今日に関しては私は君たちより最初にここにいる。文句を言われる筋合いはないね」


「というかその歌は何よ」


「おやおや、これは失敬、手作り感あふれるお弁当だったものでね。それは君の手作りだろう」


「そ、そうよ」


「自分で作ったのはえらいね。私はそういう子は好きだ。私も応援しようではないか。町ちゃん」


町子は困惑しっぱなしだが、千代のマイペースには未だに俺達でも困惑することが多い。


「千代、私が背負ってあげるから、一旦離れるわよ」


「そうかい、やはりムードは大事だからね」


「絶対に逃げたり暴走したりしないこと。暴走したら、颯斗の自慢話を3時間聞く刑だからね」


「しません!」


あれは辛い。5割くらい横文字で俺がしばらく俺のしゃべり方が変になるやつだ。あいつとは親友だが、お付き合いはいい距離感がないといけない。


「ごめんね……、でもさ、ちゃんと話がしたかったから。正太郎君私のことを見ると、ずっと我を忘れちゃってるから……」


「……悪い」


そうだ。確かにろくに話もしていない。仮にも俺から告白してるのに。


「謝らなくていいって。これも縁じゃん」


にこっと俺に笑顔を向けてくる。まずい、完全に引き込まれる。気を引き締めていないとやっぱりまずい。


「それにしても、桂太郎君は自分でお弁当つくるんだね」


俺は町子の弁当をもらってはいたが、そのような話は今朝聞いたので、自分用のものも作っていた。


「まぁな、両親忙しいしさ、2人とも高校に入ってすぐくらいに海外に行ってるから」


「へーじゃあ1人暮らし?」


「まぁそうなる」


「1人だと寂しくない? 会長さんに聞いたけど傷心なんでしょ、ずっと」


「そうでもないな。毎週水曜日は千代の家にお呼ばれされるし、金曜日と土曜日は栄子が家にいるし、ときどき颯斗が家に来てくれるからさ」


「……愛されてるのね」


「本当にいいやつばっかだ。俺なんかのために皆さ」


「……会長さんのグループだと思ってたけど、きっとあなたのことを皆大事に思ってるわ。あなたのグループと言っても過言じゃないかもね」


「違うって、やっぱ会長だよ。両親が俺を置いていく決意ができたのも、中学2年のときに、俺に家事全般を教えてくれた会長のおかげだから」


「あの人のカリスマはすごいわよね」


「でもあの人普通に我がままなときもあるけど」


「それは分からないでもないわ。あ、卵焼き美味しい。甘めね」


「時々栄子にもやってるから、基本的に味付けはあいつ好みだ」


土日はそのまま俺の家に栄子がいることも珍しくないので、たまに昼を振舞うこともある。俺は好みの味はそこまでないが、栄子はかなりの甘党なので、味付けが辛いと嫌がる。そうなると、わざわざ味付けを俺だけのときと栄子がいる場合で分けるのが面倒くさいので、こうなった。


「はい、じゃあ私のをあーん」


「む……」


2人きりだと改めて恥ずかしい。


「少しは女の子の期待に答えてね。やっと2人きりなんだから」


「あーん」


「それでいいのよ」


ちょっとしょっぱめの味付けだが、さほど味に問題は感じない。


「苦手な味じゃない?」


「全然、むしろ美味い」


「ふふっ、それなら良かったわ」


町子が笑顔になる。


「味付けの好みがとりあえず大きく異ならないなら、第一段階はクリアじゃないかな?」


「ああ、そうだな」



しかし人から何かをつくってもらうのは久々だな。


栄子は全く作らないし、会長は得意だが、面倒くさがるので俺に教えてくれるような例外的なこと以外では、自分では家事はしない。千代の家ではお世話になるが、カニとかステーキとか高級品ばかりで、こういう感じの素朴なものはやはり嬉しい。


「今度は家にいって、ご飯とか作ってあげるね。彼女っぽいことできると楽しそうだもんね」


とにかく俺は嬉しい。理想の女の子が家に来て料理を作ってくれる。これほど楽しいことがあるか。


町子はいい子だし、きっとうまくやっていける。とは言ってもまだ不安はある。町子の本心が読みにくい。


あまりにもお互いを知る前に勢いで関係を持ってしまった。町子も不安はないのだろうか。


「なぁ町子」


「なぁに?」


「これを何度も聞くのは失礼かもしれないが、本当に本気で付き合ってくれてるのか?」


「……うーん、確かにちょっと流れに乗っちゃったというか、会長さんに押し付けられた感はあるけど……、でもあれだけ熱烈な告白をされたこと自体は、ちょっとドラマみたいできゅんと来ちゃったって感じはあるの。つまり告白自体は嬉しかったって事」


特に俺を気遣った感じではない。良くも悪くも彼女は正直だ。


「いいじゃん、キスしたいとかXXXなことをしたいとかそういう深いことはまだ考えてないけどさ。私達って、いずれ結婚して子供産んだりするわけだけどさ、その相手があなたなら面白いかなって思っちゃっただけ」


「そういうもんかな」


「詳しい事情は聞いてるわよ。いいじゃん、焦んなくても。桂太郎君よりもいい子が見つかったら勝手に別れるし、そうじゃないなら君の心の整理がつくまで待つし、気軽に考えればいいって」


町子はいい子だな。俺もじっくり考えていこう。町子とのこれからを。




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