96.闇から生まれるモノ
突然、『空間把握』スキルの探知・索敵画面に、魔物の反応が現れた。
「どういうことだ?」
探知範囲は、常に2000キュピ(1キロメートル)を保持していたはずだ。
それが、なんの前兆も無く、反応を示したのだ。
あっという間に、反応点が30個程に増える。
「これは・・スケルトンか。距離は100キュピ~200キュピほど。」
ん!また増えた!!
「今度は、グール。いち、にー、さん、20体!」
囲まれたか・・。
動きが、早すぎる。
「それに、秩序があり過ぎる。」
まるで、誰かに操られているかのようだ。
それでも俺は、その時点で馬車のそばまで移動しており、最も近い魔物たちと馬車の間に入って、ショートソードを構える。
「あらあら、囲まれちゃったわねえ。」
「なんで気づかなかったのよ!」
「セイヤお兄ちゃん!」
一瞬、振り向くと、馬車の周りの残り3方を、スザンヌさんとエル、そしてコリンが囲んでいた。
それぞれに武器を構えている・・いや、スザンヌさんだけ素手・・拳を構えていた。
「ちょっと厄介な奴らに囲まれちゃったわね。聖属性か光属性の浄化の魔法を、付加出来ればいいんだけど。」
スザンヌさんが、つぶやいた。
「あ、俺持ってます。」
「そう!じゃあ自分のと、コリンちゃんのショートスピアにかけてあげて。あと、エルちゃんのも・・。」
「スザンヌさんは?」
「大丈夫、あたしはこの拳があるから。」
俺が、自分のショートソード、コリンのショートスピアの順に、魔法を付加しながら、スザンヌさんを見ると、その拳が白い光に包まれていた。
スゲエ・・なんかのユニークスキルか?
半瞬、見とれていて、エルのシャムシールの魔法付加が遅れてしまった。
その隙に、包囲を狭めていた魔物たちが一斉に襲いかかってくる。
「エル!」
やばい、どうする?!
すると、俺がまごついている間に、シャムシールが光に包まれた。
「ボクも出来ます!」
馬車から身を乗り出して、アイリスが叫んだ。
「ありがと!」
「おお!アイリス、ありがとな!」
向かってきたスケルトンの、頭蓋骨を叩き割りながら、エルと俺は、礼を言った。
全部で50体の魔物たちを、4人でどんどん殲滅していく。
残り10体ほどになった時、別な反応が探知・索敵画面に現れた。
「ヴァンパイア?!」
その数20体。
ヴァンパイアが、20体って・・。
「クッ!」
5体のヴァンパイアに囲まれて、エルが苦戦を強いられている。
「キャッ!」
実戦慣れをしていないコリンが、裏をかかれて、攻撃を食らった。
だが、防御力のおかげでダメージは無いみたいだ。
「早いとこ、こっちを片ずけて、加勢に行かないと。」
俺は、目の前の1体を、斬撃と同時の至近距離からの浄化魔法で消し去る。
「な、なんだ!?」
5体目のヴァンパイアを倒して、エルの方へ行こうと振り返った瞬間、背後から、禍々しい魔力を感じた。
もう一度、後ろに向き直る。
まるで、漆黒の闇の中から湧いてくるように、何かが実体化しようとしていた。
感知される魔力が、増大する。




