表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/123

93.君の名は?

 シカルをしこたま飲んで、おとなたちがヘベレケになる頃、子ども組は部屋の隅で、ライアンを囲んで遊んでいた。


 いつの間にか、ガイヤさんや『銀狼』のメンバーも合流しているし、みんな違和感なく騒いでいた。


 当然俺も飲まされたわけだが、未成年のはずのエルまで平気で、グビグビ飲んでいる。




 しばらくして、ライアンを囲む輪の中にいた、アイリスに俺は何気なしに尋ねたのだった。



「ところでさ、アイリスはいま、何歳なんだ?コリンと同じくらいかなあ。」


「コリンはね、5歳なの!」



 コリンが右手をパーの形にして、高々と上げる。


 そして、みんなの視線がアイリスに集まった。






「あの・・・ボク。」




 うつむきながら、頬を薄っすらと赤くして、小さな声でポソリとつぶやく。




「ボク・・・15歳です。」


「「「「ええーーー!!!」」」



 スザンヌさんとガイヤさん以外の全員が、絶句した。

 


「あ、あたしと同い年?!」



 シカルのたっぷり入ったジョッキを持ったエルが、空いている方の手で、自分の顔をゆび指して言った。



「アイリスちゃん、お姉ちゃんだったんだ~!」



 コリンは・・・どっちにしても嬉しいらしい。



「あんたたち、なにそんなに驚いてんのよ。ドワーフ族なんだから、当たり前でしょ。」



 スザンヌさんが、無駄に身体のラインにフィットしていて薄い、なんなら、透けている服を腕まくりして、超特大のジョッキを持ち上げながら、言い放った。


 あらわになった、その太い(ぶっとい)腕には、もじゃもじゃの毛が・・・。


 そういえば、胸毛、手毛、腕毛、すね毛・・・とにかく毛が濃いのに髭は薄い?・・綺麗に剃っているのか?


 色白だから目立つなあ・・・。



「というか、事情聴取で聞いてましたから。」



 ガイヤさんが、冷静に種明かしをした。



「もう!ガイちゃん。言わなきゃ分かんないのに!」



 大きなタレ目で、ウインクをする。


 いま一瞬、悪寒が走ったような・・・。



 それにしても、さすが異世界の種族、分からないものだなあ・・・。



「そういえば、これをお返しするのを忘れておりました。」



 感心している俺に、ガイヤさんが突然思い出したように言ってきた。



「なんでしょう?」


「更新したギルドカードです。先ほどは、時間がなくてお渡しできませんでした。ご確認ください。」



 そう言って、真っ白なセラミック製のギルドカードを渡してきた。


 渡されたカードを見てみると、ランクがBになっていた。



「あれ?なんか書いてあるな。」



『名前:セイヤ 年齢:17 種族:人族 適正属性:全属性 職業:冒険者 ランクB(仮認定:認定者=ローリー) レベル:19』



 『ローリー』?・・・ダレデスカ?



「あの、ガイヤさん。ランクBのあとに、変なことが書いてあるんですが、『ローリー』ってだれですか?」



 俺は、目の前のガイヤさんに尋ねた。



「え~と・・・ギルド長のことです。あっ!元ギルド長です。」


「え?」



 頭の中が真っ白になった。



「いやーねー。あんまり大声で言わないでちょうだい。仮の名よ、あたしの。」



 よくわかんないんですけど。



「仮の名じゃないわ、本名よ。」



 キョトンとしている俺の背後から、エルが冷たい声で言ってきた。



「ほんみょう?」


「そう、本名。スザンヌは、このひとが勝手に名乗っているだけ。」


「ううん。あたしはスザンヌ、ローリーなんて知らないわ!」




 はーーーっ・・・疲れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ