90.あんた、背中が煤けてるぜ
スザンヌさんがそう言った瞬間、エルとガイヤさんの肩が、ビクンと痙攣した。
「条件って、なんでしょうか?」
俺は、恐る恐る聞いてみた。
「あなたたち、この村を出るそうね?」
「ど、どうしてそれを?!」
そんな事、エルとコリンにしか言っていないはずなのに、どうしてスザンヌさんが知っているんだ?
だって、スザンヌさんて、王都に出張してて、昨日帰って来たばかりなんだよな?
「蛇の道は蛇って言うでしょ。」
イヤ、何言っているかよく分かんないし。
「あの、それが何か?」
俺は、ほんとうにスザンヌさんが、何を言いたいのかわからなくて、そう尋ねた。
ふと見ると、エルとガイヤさんの顔が、蒼白だ。
?????
「あたしも、一緒に行くわ。」
はあぁーーー!
意味分かんねー!!
「それはどういう意味で・・?」
俺は、思わず動揺して、そう言った。
エルとガイヤさんは・・・なんか煤けてる。
「文字通りの意味よ。あなたたちの旅に、同行するということよ。」
「あの、全く意味がわからないんですけど。どうして、一緒に行かなきゃならないんですか?」
さも、当たり前のことの様な顔をする。スザンヌさんに言った。
エルたちは・・・灰になっている。
「セイヤくんカワイイし、とっても興味があるから!」
「全く、意味が分かりません。」
「いいじゃない、連れてってよ。」
「ギルマスの職務はどうするんですか?!」
俺は流石に、気持ち悪くなって、思わず大きな声で言った。
「あら、そんなのガイちゃんに譲るに決まってるじゃない!」
あ、ガイヤさんが膝から崩れ落ちた。
「そんな簡単に、職務を投げ出していいんですか?」
「投げ出すんじゃないわよ、譲るのよ。」
あー言えば、こー言う!
「エル、どうすれば良いんだ?」
「あたしはシラナイ・・。」
ダメだ、魂が抜けている。
「コリンは、どう思う?」
「良いよー!たくさんいた方が、楽しい!」
コリンさんの、許可が出てしまった。
意味が分からなさすぎる・・。
スザンヌさんが、Sランクになれないのって、もしかして?
「ガイヤさん、大丈夫ですか?」
「え?あっ、はい、大丈夫です。いつものことですから。」
いつものことって、それはマズイでしょうが!
一体全体、どうなるんだろう?
でも、最近のエルの様子が、なんかおかしかった理由が、これでよく分かったよ・・・。




