84.おねえさんに見せなさい
ステータスを、エルに見せた。
ただし、前世での名前と種族の「?」、ウカノミタマの加護、固有能力はそれぞれ消しといた。
それと称号については、「神に導かれしもの」だけ残した。
「・・・・・やっぱり・・バカね。」
「な、なんだよ!いきなり、ばか呼ばわりとか!?」
たっぷり、数分間の長い沈黙の後の、エルのひと言に俺は抗議した。
「あんたの事じゃないわよ。あ、あんたもバカだけど。」
「ど、どっちだよ!」
「そうじゃなくて、神さまがバカだって言っているのよ。」
え?俺じゃなくて神さま?
「だって、ステータス値百十何万とかって、バカじゃなくてなんだっていうのよ?」
バカ、バカ、ばかって、どんだけバカなんだよ。
「レベル51のあたしでさえ、MPでも10000もいってないのよ?」
「え?どんくらい?」
「HP5915、MP8415。」
「・・・・・。」
エルさんの、おっしゃるとおりです。
あの神ひとたち、・・・バカだな。
「それとさ、スキル関係が全部LV10なんだけど・・あんた、全然使いこなせてないわね。そういうの、何ていうか知ってる?」
「は、はあ・・・。」
エルさん、なんでそんなに怒ってるの?
「『宝の持ち腐れ』っていうのよ。」
「・・・はい、すいません。」
もしかして、苛ついてる?
「べつに、謝んなくてもいいわよ。(これから、あたしが教えてあげればいいんだから・・・。)」
「なんか言った?」
「な、なんでもない!」
確実に、苛ついていらっしゃいますよね?
「あの・・で、どのように隠蔽すればいいですかね?」
「え!?あ、ああそうね。え~と、今回ワイバーンを一人で倒しちゃったから、普通のレベル19の人と一緒の数値では、かえって不自然ね・・。」
たしかに、一般的なレベル19の冒険者ってどれくらいかな?
『世界知識』によると・・・HPが700くらいで、MPが400くらいか・・・。
攻撃力でも2000に届かないくらいねえ・・・。
「・・少なくとも、2000~3000を超えるくらいじゃないと駄目ね。」
「じゃあ、こんな感じでどう?」
【ステータス】
名前:セイヤ
年齢:17
種族:人族
称号:「神に導かれしもの」
加護:イナンナの加護、エアの加護、ニンフルサグの加護
適正属性:全属性
職業:冒険者 ランクE
レベル:19
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使役獣:ラマス(神獣)
名前:ライアン
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HP:3500/3500
MP:3500/3500
持久力:2800
精神:760
知能:760
物理攻撃力:3500
物理防御力:2800
魔法攻撃力:3500
魔法防御力:2800
敏捷:760
運:19
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「どの数値もぴったりで、端数がないのは微妙だけど・・まあいいか。あれ?あんたいつの間にイナンナさまとニンフルサグさまの加護を貰っていたの!?」
あ、まずっ!
そこも、消しとくんだった。
「さっきも、表示させてたけど何にも言わなかっただろ?」
「他の数値が異常すぎて、気が付かなかったのよ!」
・・ごまかせなかった。
「続きいくわよ!?つぎ、『スキルステータス』ね。」
「はい・・。」
こうして、エルによる指導が午前中一杯続いた。
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一方、コリンとライアンは、窓際のひだまりで、お互いを抱きまくらにヌクヌクしていましたとさ。




