83.秘策あり
あまりに大きな声をあげてしまったため、コリンが転がるのを止めて、こっちを見た。
「い、いつエア神さまに?」
「この間、一緒に神殿にお祈りに行った時。」
あ~あの時か・・・エア神さまそんなこと、ひとことも言ってなかったな。
「じゃ、じゃあ。俺が何者かとかも?」
「なにものって、人族じゃないの?」
「いや、そういうことじゃなくて・・。」
「あなたを助けてやってくれって、頼まれたの。」
「それだけ?」
「他に何かあるの?」
「い、いや・・・。」
「ありがたいと、思いなさいよ。このあたしが、手助けしてあげるんだから。」
「は、はあ・・・。」
ありがたいし、嬉しいけど、なんか強引なような・・。
「あ!そういえば、こんなことも言ってたわ。『彼には、特別な加護が授けられているのじゃ。』って。」
やっぱり、他にも聞いてたんじゃん。
「でもなあ・・。正直、俺のステータス見たら、引くと思うぞ。」
人外レベル超えちゃってるものな・・。
「薄々わかってるから、大丈夫よ。コリンも似たようなものなんでしょ?」
「オヨ。あたし?」
急に自分の名前が出てきて、キョトンと首をかしげるコリン。
「ま、まあな。でもさ、また話が戻るけど、やっぱりエルに見せたところで、状況は変わらないだろ?」
「鈍いわね、それでも『知能』のステータス値上がってんの?」
そんな、心底呆れたみたいな顔をしなくても・・。
「ギルマスにステータスを見せろって言われたら、見せるしかなくなると思うんだけど。」
「あ、ああ。」
やっぱりそこは、決定事項なのね。
「たぶんあなたのスキルが神さまから与えられた能力なら、あなたの『隠蔽』スキルは、あのひとの『鑑定』スキルに勝てると思うの。」
「そうなのか?」
「ええ。でも、どう隠蔽するかが問題ね。」
たしかに、全部見えなくするのも怪しまれるし、かと言って、見せる部分の数値やらレベルやらが異常なことになっているから、違和感がないように改竄しないとマズイもんな。
「だからあたしが、他人から見てどうしたら違和感がないか、見てあげようと思ったの。」
「そういうことか。」
『世界知識』を使えば、この世界のレベル19の一般的なステータスを調べることも出来るはずだけど、微妙なさじ加減はわかんないし、なにより折角エルが教えてくれるっていうんだしな。
あんまし機嫌損ねたくないし、嫌われたくもないし・・。
・・・それにしても『世界知識』、使いどころないなあ・・・。
「そういうこと。」
「分かった。じゃあ、お願いするよ。」
「うん。」
「あれ?」
「どうしたの?」
「ステータスって、他人は見れないんじゃ・・・?」
「なに言ってんの、見れないんじゃなくて、見せてもらわないと見れないのよ。」
「えー、そうだったの?!」
イナンナさまに騙された。
でも、それこそ全部見せる必要あるかな?
とくに『称号』とか・・・。
・・そういえば、ライアンのやつどこ行った?
・・・あ、コリンのベッドで丸まってた。
平和なやつ・・。




