82.正直にお言いなさい
結局、ギルマスに会うことになった。
オロオロするボムさんが可哀そうになったのもあるが、俺がギルマスに会ってみたいと押し通したのもあり、エルは渋々了承したのだった。
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「ねえ、ちょっと話があるんだけど、あんたたちの部屋へ行ってもいい?」
ボムさんが帰ったと、朝食を食べながらエルが言ってきた。
「ん?ここじゃ駄目なのか?」
俺が尋ねると、エルはうなずいた。
「お互いに色々と、マズイのよ。」
「え?」
「べ、べつにイヤラシイ意味じゃないわよ!」
顔を真赤にして、エルが言い訳する。
「別にいいけど、なんでそんなに動揺してるんだよ。」
「あんたが聞き返すからよ。」
俺のせいかよ!
そんな俺達のやり取りを、コリンは相変わらず口の中にご飯をいっぱいに詰め込んで、ニコニコと嬉しそうに見ていた。
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「で、話ってなんでしょうか?」
朝食後、俺たちの部屋へエルも一緒に戻ってきて、ベッドの端に座ると、さっそく俺はエルに尋ねた。
お昼前には、ギルドへ行くとボムさんに言ったので、ちょっと気が急いていたのだ。
「セイヤのステータス見せてくれない?」
「へ?」
エルが、俺の向かいに椅子を持って来て座り、真剣な目をして言ってきた。
コリンは、ベッドの上に寝転んで、そのまま両手を上にあげてコロコロと転がっている。
何やってんだか・・。
「す、ステータスって他人ひとに見せるものじゃないんだろ?」
「そうよ。」
「じゃあ、なんで・・?」
エルの表情は変わらない。
「ギルマスに会うんでしょう?」
「あ、ああ。でも、どうしてギルマスのことが出てくるんだ?」
俺は、エルの様子にやや押され気味に聞いた。
「あのひとが、『鑑定』のユニークスキルを持っているからよ。」
「まっ!]
ま、まじで?!
「あんたさ、ステータス見られたらどうすんの?」
「で、でも。そ、それこそ、ステータスって他人ひとに見せるものじゃないし、み、見るものでもないんだろ?」
俺以外に、あのスキル持っている人いるんだ。
「普通はね。でも、あのひとにお願いされたら、断れない可能性が高いと思うわ。」
「どういうことだ?」
「会えばわかるわ。」
とても嫌そうな顔をして、横を向いた。
「会ってみなきゃわかんないだろ?」
「無理ね。」
エルがこっちに向き直って、断言する。
「だから、会いに行く前に、あたしに、あんたのステータスを見せなさい。」
俺が思わず固まっていると、エルはもう一度同じことを言ってきた。
「エルに見せたところで、状況は変わらないだろ?それに、なんか俺が、ギルマスにステータスを見られたくないと思っているみたいに言うけど、どうしてそう思うんだ?」
俺は、抵抗を試みた。
「あんたのステータス、とんでもないことになっているでしょう?それに、たぶん『隠蔽』のスキル持ってない?」
そんな俺の問を無視して、さらにエルが言ってくる。
「ど、どうしてそれを!?」
あまりの動揺に、肯定するに等しい言葉を発してしまった。
「・・・あたしもエア神さまに会ったから。」
「エエエェェェッ!!!」
「フニュ?」




