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82.正直にお言いなさい

 結局、ギルマスに会うことになった。


 オロオロするボムさんが可哀そうになったのもあるが、俺がギルマスに会ってみたいと押し通したのもあり、エルは渋々了承したのだった。



********



「ねえ、ちょっと話があるんだけど、あんたたちの部屋へ行ってもいい?」



 ボムさんが帰ったと、朝食を食べながらエルが言ってきた。



「ん?ここじゃ駄目なのか?」



 俺が尋ねると、エルはうなずいた。



「お互いに色々と、マズイのよ。」


「え?」


「べ、べつにイヤラシイ意味じゃないわよ!」



 顔を真赤にして、エルが言い訳する。



「別にいいけど、なんでそんなに動揺してるんだよ。」


「あんたが聞き返すからよ。」



 俺のせいかよ!


 そんな俺達のやり取りを、コリンは相変わらず口の中にご飯をいっぱいに詰め込んで、ニコニコと嬉しそうに見ていた。



********



「で、話ってなんでしょうか?」



 朝食後、俺たちの部屋へエルも一緒に戻ってきて、ベッドの端に座ると、さっそく俺はエルに尋ねた。


 お昼前には、ギルドへ行くとボムさんに言ったので、ちょっと気が急いていたのだ。



「セイヤのステータス見せてくれない?」


「へ?」



 エルが、俺の向かいに椅子を持って来て座り、真剣な目をして言ってきた。


 コリンは、ベッドの上に寝転んで、そのまま両手を上にあげてコロコロと転がっている。


 何やってんだか・・。



「す、ステータスって他人ひとに見せるものじゃないんだろ?」


「そうよ。」


「じゃあ、なんで・・?」



 エルの表情は変わらない。



「ギルマスに会うんでしょう?」


「あ、ああ。でも、どうしてギルマスのことが出てくるんだ?」



 俺は、エルの様子にやや押され気味に聞いた。



「あのひとが、『鑑定』のユニークスキルを持っているからよ。」


「まっ!]



 ま、まじで?!



「あんたさ、ステータス見られたらどうすんの?」


「で、でも。そ、それこそ、ステータスって他人ひとに見せるものじゃないし、み、見るものでもないんだろ?」



 俺以外に、あのスキル持っている人いるんだ。


 

「普通はね。でも、あのひとにお願いされたら、断れない可能性が高いと思うわ。」


「どういうことだ?」


「会えばわかるわ。」



 とても嫌そうな顔をして、横を向いた。



「会ってみなきゃわかんないだろ?」


「無理ね。」



 エルがこっちに向き直って、断言する。



「だから、会いに行く前に、あたしに、あんたのステータスを見せなさい。」



 俺が思わず固まっていると、エルはもう一度同じことを言ってきた。



「エルに見せたところで、状況は変わらないだろ?それに、なんか俺が、ギルマスにステータスを見られたくないと思っているみたいに言うけど、どうしてそう思うんだ?」



 俺は、抵抗を試みた。



「あんたのステータス、とんでもないことになっているでしょう?それに、たぶん『隠蔽』のスキル持ってない?」



 そんな俺の問を無視して、さらにエルが言ってくる。



「ど、どうしてそれを!?」



 あまりの動揺に、肯定するに等しい言葉を発してしまった。




「・・・あたしもエア神さまに会ったから。」



「エエエェェェッ!!!」


「フニュ?」

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