81.お出迎えでゴンス
『トレース』と『限界突破』、どっかで聞いたようなスキルだけど・・。
『トレース』
直前に見た魔法(初見でも)を全て習得できる。ただし、初期レベルは1。
「これって、コリンの持ってた『模倣』の上位スキルか?」
『限界突破』
ステータスレベルに上限が無くなる。(通常MAX100)
ステータス数値に上限が無くなる。(通常MAX500万)
「・・・・・・まあ。神さまと戦えって言うんだから、な・・・ハハハ。」
すごい疲れたので、残ったスキルPはそのままにしとこう。
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(『成長促進』忘れてますけど・・。)
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「おはよ。」
「おはよ!」
「・・おはよう・・。」
翌朝、食堂に行くと、いつもの窓際の席にエルがいて、めずらしく彼女から挨拶をしてきた。
コリンは、満面の笑みで挨拶を返したが、俺はまだ半分ぼ~っとした頭で答えた。
「なに?機嫌悪いの?」
エルが、ちょっとムッとして言った。
「いや、ちょっとよく寝れなくて。」
ステータスいじりで、夜更かししすぎたとは言えない。
ましてやその結果が、人外レベルを超えて、神の領域に足を突っ込んでしまって、眠れなかったなんて。
「そう。」
「セイヤお兄ちゃん、寝不足はお肌の大敵ですよ!」
コリンさん、どこでそんなこと覚えたのかな?
だいいち、俺は男だし。
「「そうなの?」」
「うん!」
なんで、エルとサリーさんが喰いついてんだよ。
「すいませ~ん!」
そのとき、宿の玄関の扉を開けて、誰かが入って来たようだった。
「は~~い。」
サリーさんが、応対をしに食堂から出ていった。
「セイヤさん、冒険者ギルドの方がお話があるそうよ。」
すぐにサリーさんが戻ってきた。
「え?俺にですか?」
「エルちゃんも。」
「あたしも?」
サリーさんに言われて、俺たちはロビーへ移動した。
「どうも、おはようございます。じつは、ギルド職員のボムと申します。朝早くから申し訳ございませんです。」
ちょっと小太りな、狸人の男の人が待っていた。
「おはようございます。べつに構いませんけど、俺たちに話ってなんでしょうか?」
「じつは、今回の討伐の件で、色々とお聞きしたい事があるので、大変申し訳ありませんが、ギルドの方へいらしていただきたいのですが?」
俺が挨拶を返して、要件を尋ねると、ボムさんは額の汗を拭き拭き、すまなそうに言ってきた。
今朝、そんなに暑かったっけ?
「討伐した魔物の精算とかもあるから、行こうと思っていたんでそれは構いませんが、なぜ改まって呼び出しに?」
俺は不思議に思って聞いた。
「は、はい。・・・じつは、お話を聞きしたいと申しているのは、ギルド長マスターなんです。」
ボムさんは、吹き出す汗を一生懸命に拭きながら答える。
「ちょっと!なんで、ギルマスがあたしたちを呼び出すのよ!だいたい、あのひと王都に長期出張中じゃなかったの?」
エルがすごい剣幕で、ボムさんに詰め寄る。
「い、いや。じつは、昨晩遅くに戻られまして・・・。」
汗の吹き出す量が、尋常じゃなくなる。
「エル、いいじゃないか。どうせ、会ってみたいと思ってたんだし。」
なんか、ボムさんが可哀そうになって、間に入る。
「会わないほうが良いって言ったでしょ?ギルドには行くわ。でも、ギルマスには会わないわよ?」
エルが、俺~ボムさんの順で言ってくる。
「なあ、どうしてそんなに会うのが嫌なんだ?」
「き、きもちは分かりますがぁ・・・。」
俺の問にそっぽを向くエルの横で、ボムさんが小さくつぶやいていた。




