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81.お出迎えでゴンス

 『トレース』と『限界突破』、どっかで聞いたようなスキルだけど・・。




 『トレース』

 直前に見た魔法(初見でも)を全て習得できる。ただし、初期レベルは1。



「これって、コリンの持ってた『模倣』の上位スキルか?」



 『限界突破』

 ステータスレベルに上限が無くなる。(通常MAX100)

 ステータス数値に上限が無くなる。(通常MAX500万)



「・・・・・・まあ。神さまと戦えって言うんだから、な・・・ハハハ。」



 すごい疲れたので、残ったスキルPはそのままにしとこう。



********


 (『成長促進』忘れてますけど・・。)


********




「おはよ。」


「おはよ!」


「・・おはよう・・。」



 翌朝、食堂に行くと、いつもの窓際の席にエルがいて、めずらしく彼女から挨拶をしてきた。


 コリンは、満面の笑みで挨拶を返したが、俺はまだ半分ぼ~っとした頭で答えた。



「なに?機嫌悪いの?」



 エルが、ちょっとムッとして言った。



「いや、ちょっとよく寝れなくて。」



 ステータスいじりで、夜更かししすぎたとは言えない。


 ましてやその結果が、人外レベルを超えて、神の領域に足を突っ込んでしまって、眠れなかったなんて。



「そう。」


「セイヤお兄ちゃん、寝不足はお肌の大敵ですよ!」



 コリンさん、どこでそんなこと覚えたのかな?


 だいいち、俺は男だし。



「「そうなの?」」


「うん!」



 なんで、エルとサリーさんが喰いついてんだよ。



「すいませ~ん!」



 そのとき、宿の玄関の扉を開けて、誰かが入って来たようだった。



「は~~い。」



 サリーさんが、応対をしに食堂から出ていった。




「セイヤさん、冒険者ギルドの方がお話があるそうよ。」



 すぐにサリーさんが戻ってきた。




「え?俺にですか?」


「エルちゃんも。」


「あたしも?」



 サリーさんに言われて、俺たちはロビーへ移動した。



「どうも、おはようございます。じつは、ギルド職員のボムと申します。朝早くから申し訳ございませんです。」



 ちょっと小太りな、狸人の男の人が待っていた。



「おはようございます。べつに構いませんけど、俺たちに話ってなんでしょうか?」


「じつは、今回の討伐の件で、色々とお聞きしたい事があるので、大変申し訳ありませんが、ギルドの方へいらしていただきたいのですが?」



 俺が挨拶を返して、要件を尋ねると、ボムさんは額の汗を拭き拭き、すまなそうに言ってきた。


 今朝、そんなに暑かったっけ?



「討伐した魔物の精算とかもあるから、行こうと思っていたんでそれは構いませんが、なぜ改まって呼び出しに?」



 俺は不思議に思って聞いた。



「は、はい。・・・じつは、お話を聞きしたいと申しているのは、ギルド長マスターなんです。」



 ボムさんは、吹き出す汗を一生懸命に拭きながら答える。



「ちょっと!なんで、ギルマスがあたしたちを呼び出すのよ!だいたい、あのひと王都に長期出張中じゃなかったの?」



 エルがすごい剣幕で、ボムさんに詰め寄る。



「い、いや。じつは、昨晩遅くに戻られまして・・・。」



 汗の吹き出す量が、尋常じゃなくなる。



「エル、いいじゃないか。どうせ、会ってみたいと思ってたんだし。」



 なんか、ボムさんが可哀そうになって、間に入る。



「会わないほうが良いって言ったでしょ?ギルドには行くわ。でも、ギルマスには会わないわよ?」



 エルが、俺~ボムさんの順で言ってくる。



「なあ、どうしてそんなに会うのが嫌なんだ?」


「き、きもちは分かりますがぁ・・・。」



 俺の問にそっぽを向くエルの横で、ボムさんが小さくつぶやいていた。

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