7.いきなりここは、ないでしょう
気がつくとそこは、ベットの上だった・・・わけはなく、薄暗い空間だった。
足元はゴツゴツした岩肌で、ジメッとしている。
空間の大きさとしては、大きな体育館が2つは入る程もあり、天井は恐ろしく高い。
薄暗いのは、閉ざされた空間で壁全体が僅かに発光しているからみたいだ。
「・・・これは、明らかにダンジョンだよね。」
だが、どうもおかしい。
魔物が襲ってくる気配もないし、シ~ンと静まり返っている。
「どういうこと?」
ひとりで、つぶやくしかない。
「ん?」
あたりをよく見回していると、遠くの方に何かが転がっているのが見えた。
周囲を警戒しつつ、近づいてみる。
・・・人?
薄明かりの中、ようやく見えてきたのは、横たわる2つの人の様な物体だった。
片方は、やけにデカイ。
10mくらいまで近づいても、どちらもピクリとも動かない。
恐る恐る、更に近づいてみる。
・・・ヤッパリ人か?
それにしても・・・。
「ボロボロだな。」
至近距離まで来ても動かない、人らしきそれに、声をかけてみる。
「あの~、大丈夫ですか~?」
・・・・返事がない。
どちらもうつ伏せ状態のようだ。
小さい方を仰向けにする。
「ウェッ。」
手には剣を持ち、プレートアーマーを着ている、俺とそう違わない年齢の男だった。
髪の色は金髪。
だが、その金髪は赤黒く染まっている。
首から大量の血が流れ出ている。
固まり具合から、それほど時間が経っていないのが分かる。
人の死体なんて見たことのない俺は、口を押さえて吐きそうになる。
「こ、こっちは?」
しばらく我慢し、息を整えると、もう一つの大きい方へ近づく。
「これは、明らかに人じゃないな。」
意を決して、仰向けにする。
「ゲッ!」
我慢しきれずに、吐いてしまった。
昼飯抜きだったので、胃液しか出ない。
「首が・・・無い。」
牛よりも大きな体で、ボロ布の衣を腰にまとい、手には巨大な両刃の斧を握っている。
あたりを見回すと、少し離れた所に、その首が転がっていた。
頭に二本の角・・・ウシ・・・ミノタウロス?
首の切断面が、ヌメヌメと光っていて生々しい。
よく見れば、あたりの地面はボコボコ状態だった。
「ついさっきまで戦っていたのか・・・。」
・・で、相打ちだったと。
ピロリロリン!
『スキルを獲得しました!』