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69.蒲焼き食べてたらゴメンなさい

 一瞬俺は、帰りたくなった。


 だって流石に、地面を埋め尽くす細長い物体を見たら、普通、生理的にキツイでしょ?


 サーペントは・・まあ、いいですよ。


 顔はドラゴンだし、ヒレみたいなの付いてるし、それなりに風格がある。


 でも、ワームはねえ・・。


 デカイのはいいんですよ?


 大蛇らしくて。


 でもね、そいつらの間の隙間を埋めるように、うじゃうじゃ、うねうねしているミミズのデッカイの?


 まじで、吐きそうになったわ・・。



******



 戦いは、先制攻撃に続いて、範囲魔法の攻撃で、徐々にではあるが、敵の数が減って行った。


 ただ、火属性の魔法で焼かれたワームの残骸を見すぎた俺は、当分の間は、蒲焼きは食べれないなと思った・・・この世界にあればの話しだけど。



 ーーそして、いよいよ俺たちの出番となる。


 シャムシールを構えたエルと、ショートソードを手にした俺は、魔法攻撃によって、一瞬開いた空間に、素早く飛び出した。



 互いに背中を合わせ、右周りに回転しながら敵を次々に斬り伏せていく。


 小さかった俺たちの周りの空間は、その回転に合わせて、徐々に広がっていった。



 ーーそして。


 俺たちは、いつの間にか、敵の集団のど真ん中で、輪舞曲ロンドを踊るようにクルクルと軽やかに舞っていた。


 魔物たちは、行進をやめ、エルと俺の踊りの輪の中に吸い込まれて行く・・・。



 ・・・やがて、魔物たちの歩みの変化に気づいた、他の冒険者たちは、自分たちの攻撃の手を止めて、その不思議な光景に目を奪われていた。


 灯火に誘われて、吸い寄せられる羽虫のような光景に・・・。



「グギャーーーーオ!!」



 最後のサーペントが、エルのシャムシールによって、斬り伏せられる瞬間、冒険者たちの頭上から、耳をつんざく咆哮が聞こえた。


 エルの姿に見とれていた冒険者たちは、一瞬、反応が遅れた。


 咆哮のした方を向いた時には、目の前に紅蓮の炎が迫っていた。


 冒険者たちが、その炎に一瞬にして包まれる。


 エルは、目を見開いてその場で固まってしまっている。


 俺は慌てて、みんなの頭上に、ウォーターウォールを全力で展開した。


 紅蓮の炎は、水の壁に阻まれ、ぶつかり合った場所から、凄まじい水蒸気が発生する。



「みんな、大丈夫ですか?!」


 俺は、魔法を維持しながら、冒険者たちに声をかけた。



「だ、大丈夫だ・・・。」


「ガイヤさん!無事だったんですね。」


「ああ、ちょっと油断してしまったようだ。他の人たちは・・・。」



 俺とガイヤさんは、周りを見回す。



「俺たちも、なんとか・・・。」


「良かった!」



 銀狼のメンバーも、無事だった。


でも・・。



「残ったのは、たったの18人か・・・。」


 ガイヤさんが、肩を落とす。



「ガイヤさんすいません。俺がもっと早く魔法を・・!」


「セイヤ、危ない!」



 俺が、仲間たちの惨状に気をとられて、自分の反応の遅れに泣言を言おうとしていた時、エルの叫ぶ声と共に、彼女に思いっきり突き飛ばされた。



「ズザシャシャシャー!」



 さっきまで俺が立っていた地面が、何かに大きくえぐり取られた。


 上空を見上げると、炎は消えていて、立ち込める水蒸気の間から、巨大な影が姿を現した。



「ワ、ワイバーン・・・。」



 ガイヤさんが、掠れた声で呟いた。

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