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61.ずう~~~~~~っと。

「ふにゅ~~~。」



 エルに色々とレクチャーを受けて、ようやく開放された俺は、コリンと自分たちの部屋へ戻ってきた。


 シカルを結構飲んだので、腹がパンパンだ。



「にゅにゅにゅ~~。」


「コリン~。一緒に寝るとは言ったけど、なんでベッドの上で転がっているんだ?」


「にゅ?だって、楽しいんだもん。」


「さよデスカ・・・。」



 それにしても、本当にこの子がエルと手合わせできたのか?



「なあコリン、できたらでいいんだけど、お願いしてもいいか?」


「ぷは~~!にゃに?」



 俺の枕に顔をうずめて、香りを堪能していたコリンが、キョトンとこっちを見る。


 何をやっているんだか・・。



「お前のステータスを、見せてくれないかな?」



 駄目なのは分かっている。


 だが、見ておかないと駄目なような気もするんだ。



「・・・・・セイヤお兄ちゃんになら、見せてもいいけど。・・・そのかわり、コリンのお願いも聞いてくれる?」



 コリンが、なぜかとても不安そうな顔で聞いてきた。


 どうして、そんな表情(かお)をするんだろう?



「あ、ああ。・・聞くよ。な、なんだ?」


「・・・・コリンのこと嫌いにならないで欲しいの。そして、ずぅーーと一緒にいて欲しいの。」



 ベッドの上に四つん這いになり、俺の顔を覗き込む。



「・・・・き、嫌いになるわけ無いだろう。コリンは、可愛くてとってもいい子だし・・。」


「何があっても、一緒にいてくれる?」



 なぜ、そんなに不安そうな顔をするんだ?


 可愛いと言われたコリンの表情は、嬉しそうに微笑んではいたが、それはとても儚い(はかない)笑顔だった。



「大丈夫だ、どんなことがあっても、一緒にいる。」



 俺は、そんなコリンの頭に手を置いて、優しく撫でてあげながら言った。



「ほんと?コリンのこと、独りにしない?」


「ああ、ホントだ。」


「良かった!」



 コリンは、心底安堵したような表情で、笑った。



「じゃあ、見てもいいよ。」


「ありがとう、見せてもらうな。」


「うん。」



 俺は、コリンに『鑑定』スキルを使った。





***************





「・・・・・突っ込みどころが多すぎる。」



 全体的に、チートスキルなのはいい・・・良かないけど。



「ウカノミタマの加護ってどういうことだ?」


「だってコリン、きつねだもん。」



 そうじゃなくて、ウカノミタマさまって地球(日本)の神様だろ?


 それに、俺と同じ加護・・・。



「それに、称号が「追いかけしもの」?」



 何を、誰を追いかけるんだ?



「・・・。」



 コリンが、両手の人差し指を突き合わせて、モジモジしている。



「・・・を追いかけてきたの。」


「ん?」


「セイヤお兄ちゃんを追いかけてきたの!!!」



 それって!


 え!?



「俺、きつねに知り合いいないぞ?」


「助けてくれたじゃない!黒くておっきくて、目玉がこ~んなのに!」



 コリンはそう言って、人差し指と親指で、まぶたを広げてみせた。



「ああ!あの時の!!」



 あの子ぎつねが、コリン?



「まさか!」


「えへ。」



 コリン、おまえ・・・どうして・・。



「なんでこんなとこまで、追いかけてきたんだよ!せっかく助かったのに!」


「だって・・・。」



 異世界(こっち)に来たということは、地球(あっち)では、死んじゃったってことだろ?



「それに、親きつねとか、兄弟とかが、悲しむだろ。」


「みんな死んじゃったもん・・。」


「なっ、だからってお前まで死ぬことは!」


「コリンは、ちゃんと長生きしたよ。セイヤお兄ちゃんのおかげで。」



 え?



「天寿を全うして死ぬときに、ウカノミタマさまが、あたしのお願いを聞いてくれたの。」


「お願い?」


「セイヤお兄ちゃんにもう一度会いたいって、会ってずっと一緒にいたいって。」


「コリン、おまえ・・・。」



 俺は、頭が真っ白になって、胸の奥が熱くなる感覚がした。



「いいよね?一緒にいていいよね?」


「いいに決まってるだろ!!」



 俺は、コリンのことを力いっぱい抱きしめていた。

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