6.説明してください
「なんか言った?」
俺が絶句していると、イナンナがまた俺の顔を覗き込んでくる。
近い、ちかい!(二回目)
「いえ・・。あの、俺もゲームとかやるし、ラノベもいくつかは読んだことがあるんで、だいたい理解できるんですけど・・・。」
「そう!じゃあ、説明はいらないわね。さっそく、転移を・・・。」
イナンナは立ち上がると、右手を振り上げようとする。
「す、すいません!」
「どうしたの?分からないところがあったら、画面をタッチすれば説明が出てくるわよ?」
やっぱりそうなんだ・・。
「じゃなくて!このステータスポイントとスキルポイントのところなんですけど、なんで(1000 ×100)なんですか?」
「ああ、それね。」
イナンナが、俺のステータス画面を覗き込んで頷いた。
神様は見れるのね・・・当然か。
「1000は、転生者のボーナスポイント。」
「なるほど。・・なんか、ありがとうございます。」
「いいのよ。で、×100は・・・・・。」
イナンナは、そう言ったっきり言い淀む。
「?・・・イナンナさま?」
「・・・・あなた、初詣でお賽銭いくらあげた?」
「へ?お賽銭ですか?・・・ん~と、100円。あ!」
「そ、その分の特典だって。ウカちゃんの。」
ということは・・・。
「もし、5円だったら5倍?」
「そう。」
「仮に、10000円だったら、1万倍!!」
「残念だったわね。」
がっくりと肩を落とす俺を、憐れむような目で見ている。
「まあ、100倍だって大したものよ。ポイント10万も割り振れるんだから。」
「そ、そうですよね。でも、今度の世界の一般的なステータスって、わからないんですけど、今のオール2ケタってどうなんですか?」
「加護もスキルもナイナイ尽くしなら、そんなものよ。10万ポイントあったら、トンデモスキルよ。」
「じゃあ、我慢します!」
「現金な子ね。」
今度は、イナンナは苦笑する。
「じゃあいい?向こうに行ったら、まずはステ振りするのよ?じゃないと、すぐに死んじゃうからね。」
「え?もう行かなきゃいけないんですか?」
「わたしもじつは、忙しい身なのよ。」
「わ、分かりました。お世話になりました。」
俺はそう言って、頭を下げる。
「これからお世話になるのは、こっちなんだから、お礼なんていいわよ。それから、何かあったら、わたしを祀る神殿に来なさい。そこでなら、わたしに会えるから。」
「はい!」
「それじゃあ、今度こそ、いくわよ!!」
イナンナが、振り上げた右手を下げた瞬間、足元に魔法陣が現れて、俺の体は光に包まれた。