52.もらったチカラ
セイヤくんとドアの前で別れて、自分の部屋に入った。
いつもは、ホントはすぐに、全身にクリーンをかけるところだけど、あたしはそのままベッドの上に頭から飛び込んだ。
「ふう・・・。」
うつ伏せの状態で、ふわふわの枕を抱きかかえて、ため息をつくと、ポフッと枕に顔をうずめた。
「なんなんだろう・・・。」
セイヤくんたちと一緒にいると、いつもの自分じゃなくなる。
なんか、胸のあたりがとっても暖かい。
こんな感覚、いままで無かった。
「あ、でも・・。」
エリスさまに、命を助けていただいた時、少し似たような感覚があったような気がする。
いままで、他人のことなんてどうでもいいと思っていた。
魔物に復讐できればいいと思っていた。
だから、強くなるためには、友達とかそういうのは、いらないと思っていた。
***************
『戦い方を教えてやって欲しい。共に戦ってやって欲しい。』
あたしに出来ることがあるのかな?
***************
『新たな加護を授けよう。』
「加護?」
***************
仰向けになった。
『ステータス』
「・・・ん?」
【ステータス】
名前:エル
年齢:15
種族:人族
称号:「手を差し伸べる者」
加護:エンリルの加護、エアの加護
適正属性:水・風属性
職業:冒険者 ランクA
レベル:51
-----------------
中略
-----------------
[固有能力]
・摸倣(直前に見た魔法を1度だけ真似できる。ただし保有魔力量に依存する)
・経験値複製(自分の得た経験値を複製し、譲渡できる▽)
-----------------
「固有能力が増えてる!」
『模倣』は、1撃目を回避できれば、初見の相手でも反撃できるってことね。
この能力は、直接的には助けにはならないわね。
もう一つの『経験値複製』って、なにがすごいんだろう。
確かに、ただで経験値がもらえるなら、レベルアップは早いだろうけど・・・。
それだけでは、特別な加護とは言えないわ・・。
***************
「セイヤくんの方に、経験値を有効利用できる特別な能力があるとか?」
***************
ドン、ドン、ドン。
「エル~、夕飯だってよー。」
セイヤくんの声だ!
「わ、分かったわよ。そんなに叩いたら、ドアが壊れるでしょ!!」
「壊れるわけねえじゃん。」
「うるさい!」
***************
ステータスの秘密、教えてくれるかな?
もっと仲良くならなきゃダメか・・・。
「先行ってるぜえ。」
「今行くわよ!」
あたしは、氷魔法で透明な氷の板を作って、自分の姿を映し、髪の毛をサッと整えると、ドアを開けて部屋を出た。




