47.屋台は楽し
ガンツさんの店の前を、通り過ぎたあたりから、にわかに通りが賑やかになってきた。
道の両側に、屋台の出店が並んでいるのだ。
朝通った時には、なかったはずだ。
「いつの間に。」
「お昼どきになると、こうしてズラッと並ぶのよ。」
『グゥ~。』
「いい匂い過ぎて、死にそう。」
コリンはもはや、開き直っている。
「おっ、アレなんかどうだ?」
串焼きの肉料理を指差して、言ってみた。
ああいうの、シシカバブって言うんだっけ?
香ばしく焼けてて、めちゃくちゃ美味そうだ。
「うん、あれがいい!」
コリンが屋台に、駆け寄っていく。
「おいおい、ひとりで行くなよ。」
慌てて、俺たちが追いかける。
「お嬢ちゃん、何本欲しいんだい?」
「んとね、3本!」
コリンが、指を3本差し出して答える。
「そうか、じゃあお嬢ちゃんかわいいから、1本おまけしてあげよう。」
「わーい、ありがとう!おじちゃん。」
微笑まし過ぎる・・。
そのあと、ナンみたいなもので、肉味噌を野菜と一緒に巻いたやつとか。
短いパスタみたいなものが入った、テールスープのようなものとか・・・肉ばっかだな・・・旨すぎる屋台料理をタップリ堪能した。
「もう腹いっぱい!」
「セイヤ、食べ過ぎ。」
俺が、お腹をさすっていると、エルがジト目で言ってきた。
「だって、旨すぎるんだもん。」
ん?いま、セイヤって、名前で呼んだ?
なんか嬉しいぞ。
3人で、食べ歩きしながら、進んでいくと、ものすごい人だかりが、出来ている屋台があった。
すかさず、コリンが駆け寄って、人垣の間から何が売られているのか確かめようと、一生懸命にぴょんぴょん跳ねている。
「なんか、ふわふわした白いの!甘~い匂いがしたよ。」
俺たちのところに、駆け戻ってくると、身振り手振りで、そう言ってきた。
「へ~、どれどれ。」
俺も、その屋台を覗いてみた。
「あ~、綿アメだな。」
どうやら、風魔法を使って、水飴から作っているみたいだ。
スゲーな。
「あれ食べたいのか?」
「うん!」
「ヨシ、じゃあ並ぶか。」
ちゃんと、綿アメになってた。
魔法に、こんな使い方もあるのか。
エルも、最初は思ったよりも食べずらくて、苦心していたようだったが、やっぱり、甘い物は好きらしく、何げに気に入ったようだった。
コリンは、口の周りも、両手も、ベトベト星人になっていた。
「さて、どうしようかな。ギルドに行って、クエストでも確認してみようかな。」
俺は、ベトベト星人の口の周りを拭きながら、言った。
お金も稼がなきゃ、生活していけないしな。
新たな目標のため、レベル上げもしなきゃだしな。




